久しぶりにテレビで再見。
西部開拓期のフォレスト・ガンプ
白人の家に生まれたが、孤児となり、先住民に育てられ“小さな巨人”と呼ばれた男がいた。やがて彼は白人の怪しい聖職者に引き取られるがなじめずに逃亡。ニセ薬売りを経てガンマンとなるが、人を撃てないので商人になって北欧移民の娘と結婚する。ところが、だまされて店を手放し、妻を先住民に奪われ、その後は先住民と騎兵隊の間を行き来することに…。
西部開拓時代から生き続け、121歳になったジャック・クラブ(ダスティン・ホフマン)がたどった流転の人生を、ジャック本人を語り部として、実在のワイルド・ビル・ヒコックやカスター将軍らと絡めながら描いた意欲作。監督は『俺たちに明日はない』(67)のアーサー・ペンで、ニューシネマを代表する一本とされる。
同じく1970年に製作された『ソルジャー・ブルー』同様、タブーとされていた騎兵隊による先住民虐殺のシーンを入れながら、カスター隊が全滅した「リトルビッグホーンの戦い」も描いてバランスを取っている。
つまり、白人対先住民の戦い、白人にも先住民にも成り切れないジャックの姿を通して、アメリカ西部開拓の矛盾を鋭く突くという手法。そこには当時の、ベトナム戦争への屈折した思いが反映されているのだろう。
ところが、ホフマンと先住民の族長役のチーフ・ダン・ジョージのひょうひょうとしたたたずまいが生み出すユーモアや、「私の心は鷹のように空を飛ぶ」「死ぬにはいい日だ=Today is a Good Day to Die」など、達観を感じさせる族長の含蓄あるセリフの効果で、重いテーマなのにちっとも暗さを感じさせないところがある。
久しぶりに再見し、この映画を壮大な寓話やホラ話の類だと考えれば、同じく、ユニークな主人公の数奇な人生を通してアメリカ史を眺めた『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)とも通じるものがあると気づかされた。
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