『大脱走』のメンバーがまた一人消えた…。
拙著『外国映画男優名鑑』の記事から抜粋して追悼の意としたい。
ジェームズ・ガーナー James Garner
1928年4月7日、米オクラホマ州ノーマン生まれ。本名ジェームズ・スコット・バムガーナー。185センチ。母はチェロキー族の血を引く。ハイスクール中退後、陸軍に入隊し朝鮮戦争に従軍。除隊後、オクラホマ州立大学に進学。54年にブロードウェーに進出し、56年に映画デビュー。
陽気で温和。それでいてどこかひょうひょうとした味わいもある。出世作はテレビ西部劇「マーベリック」(57~62)。以後は『大脱走』(63)の調達屋ヘンドリー、レーサーを演じた『グラン・プリ』(66)、『墓石と決闘』(67)のワイアット・アープなどのアクションや西部劇、『夕陽に立つ保安官』(69)『地平線から来た男』(71)『ビクター/ビクトリア』(82)といったコメディーの両面で活躍。両面の魅力を生かしたドラマ「ロックフォードの事件メモ」(74~80)は長寿シリーズとなった。請われて出演したメル・ギブソン製作・主演の『マーヴェリック』(94)では、父親役で見事にギブソンを食って返礼とした。近年も『スペース カウボーイ』(00)や『きみに読む物語』(04)などで渋い演技を披露した。
台湾の観光映画的な面白さで引っ張る 『南風(なんぷう)』
ファッション誌の編集者の藍子(黒川芽以)は、恋人に振られたばかりか他部署に異動となる。企画ページの取材のため渋々台北を訪れた藍子は、ガイドを買って出た16歳のトントン(テレサ・チー)と共に自転車で台湾を半周する旅に出る。九イ分(キューフン)淡水(タンシュエ)日月譚(リーユエタン)といった台湾の名所をたどりながら行く、日台合作のサイクルロードムービー。監督は萩生田宏治。
正直なところ、ストーリー展開や演じる俳優たちの演技は今一つだが、台湾の観光映画的な面白さで引っ張っていく。特に、アーチ型の鉄道橋である龍騰断橋、青い客車を利用したホテルなどが印象に残る。
友人が参加している「第2回80年代早大シネ研上映会」にお邪魔して2本鑑賞。
『ハーケンクロイツの男』(88)監督・脚本 高橋洋
整形手術を繰り返し、他人になりすましながら逃亡を続けるナチスドイツの残党が日本に潜入…という発想が面白いミステリー。
『死人に口なし』(86)監督・脚本 岩路充子
殺し屋と殺された男の情婦との逃避行を中心に描いたジャパニーズ・ハードボイルド・アクション。マカロニウエスタン風の趣があって楽しめる。
どちらもフィルムが持つ独特の色調の中に80年代の風景が映し込まれていて懐かしい気分に。あらためて、映画は時代を映し取るものなのだと感じた。
『複製された男』にちなんで
思い付くくままに“二役映画”を挙げてみる。
『雪之丞変化』(35ほか)監督:衣笠貞之助 二役:林長二郎(長谷川一夫)
『どんぐり頓兵衛』(36)監督:山本嘉次郎 二役:榎本健一
『チャップリンの独裁者』(40)監督・二役:チャールズ・チャップリン
『ダニー・ケイの天国と地獄』(45)監督:H・ブルース・ハンバーストン 二役:ダニー・ケイ
『遥かなる国から来た男』』(56)監督:マルセル・カルネ 二役:ジルベール・ベコー
『一心太助』シリーズ(58ほか)監督:沢島忠 二役:中村錦之助
『めまい』(58)監督:アルフレッド・ヒッチコック 二役:キム・ノバク
『底抜け大学教授』(62)監督・二役:ジェリー・ルイス(『ナッティ・プロフェッサー』(96)監督トム・シャドヤック 二役:エディ・マーフィ)
『キャット・バルー』(65)監督:エリオット・シルバースタイン 二役:リー・マービン
『世にも怪奇な物語』(67)第2話「影を殺した男」監督:ルイ・マル 二役:アラン・ドロン
『愛のメモリー』(76)監督:ブライアン・デ・パルマ 二役:ジュヌビエーブ・ビジョルド
『影武者』(80)監督:黒澤明 二役:仲代達矢
『戦慄の絆』(88)監督:デビッド・クローネンバーグ 二役:ジェレミー・アイアンズ
『デーヴ』(93)監督:アイバン・ライトマン 二役:ケビン・クライン
『Love Letter』(95)監督:岩井俊二 二役:中山美穂
『オースティン・パワーズ』(97)監督ジェイ・ローチ 二役:マイク・マイヤーズ
まだまだたくさんあると思うが…。知っている方はぜひご教授ください。