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映画の王様

映画のことなら何でも書く

渡辺武信 その3『銀幕のインテリア』『スターダム ハリウッド現象の光と影』

2024-12-26 21:34:12 | ブックレビュー

『銀幕のインテリア』(読売新聞社・1997)

第一章・玄関 『花嫁の父』『破れ太鼓』『ペギー・スーの結婚』『男はつらいよ』『なつかしい風来坊』『利休』『あ・うん』

第二章・鍵と扉 『ナイトムーブス』『テルマ&ルイーズ』『サボテンの花』『サンシャイン・ボーイズ』『刑事マディガン』『愛がこわれるとき』

第三章・居間と席 『逢う時はいつも他人』『わが心のボルチモア』『ラジオ・デイズ』『素晴らしき休日』『裸足で散歩』『暗くなるまで待って』

第四章・椅子 『喝采の陰で』『ゴースト/ニューヨークの幻』『恋の手ほどき』『くたばれ!ヤンキース』『赤ちゃんはトップレディがお好き』

第五章・ソファー 『或る上院議員の私生活』『ハバナ』『刑事マディガン』『ハーフムーン・ストリート』『ジョンとメリー』

第六章・食卓 『ママの想い出』『女たちのテーブル』『再会の時』『グリーン・カード』『結婚記念日』『グッバイ・ママ』

第七章・台所 『男はつらいよ 寅次郎サラダ記念日』『TOMORROW/明日』『秋刀魚の味』『アダム氏とマダム』『お茶漬けの味』『グループ』『スクープ/悪意の不在』『モーニング・アフター』『酒とバラの日々』

第八章・寝室 『赤ちゃんはトップレディがお好き』『恋人たちの予感』『我等の生涯の最良の年』『愛と喝采の々』『東京上空いらっしゃいませ』『泥棒成金』『いつも二人で』『南海漂流』『吸血鬼』『恋におちて』『殺しの分け前ポイント・ブラック』

第九章・書斎・本棚 『ダイヤルMを廻せ!』『招かれざる客』『バラキ』『七年目の浮気』『マイ・フェア・レディ』『女は女である』『いまを生きる』

第十章・子供部屋 『普通の人々』『優駿』『さびしんぼう』『ウホッホ探検隊』『家族ゲーム』『陽のあたる坂道』『E.T.』『クレイマー、クレイマー』『ギャルソン!』

第十一章・浴室 トイレ 『四季』『男はつらいよ 口笛を吹く寅次郎』『ミスター・アーサー』『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』『テキーラ・サンライズ』『リーサル・ウェポン』『遺産相続』

第十二章・階段 地下 屋根裏 『情婦』『風と共に去りぬ』『となりのトトロ』『さよならコロンバス』『日曜日が待ち遠しい!』『ホーム・アローン』『偶然の旅行者』

第十三章・縁側 テラス 『息子』『東京物語』『アラバマ物語』『優駿』『八月の鯨』『愛と哀しみの果て』『マカロニ』『カラーズ 天使の消えた街』『デストラップ・死の罠』『夏に抱かれて』『お茶と同情』

第十四章・灯火 『バウンティフルへの旅』『7人の愚連隊』『殺意の香り』『シー・オブ・ラブ』『リベンジ』『黄昏のチャイナタウン』『ロッキー3』『インパルス』『悲情城市』

第十五章・暖房 暖炉 『市民ケーン』『ベストフレンズ』『めまい』『逃亡者』『007/ドクター・ノオ』『終電車』『影の軍隊』『月山』

第十六章・インテリア 室内の色彩 『幸せはパリで』『ローズマリーの赤ちゃん』『インテリア』『愛と哀しみの旅路』『プリティ・ウーマン』

第十七章・インテリア 個性との関わり 『ティファニーで朝食を』『恋人たち』『愛と追憶の日々』『ドライビング・ミス・デイジー』『若草の萌える頃』『家族の肖像』『少年時代』

第十八章・増改築 『幸せはパリで』『心みだれて』『パシフィック・ハイツ』『ローズ家の戦争』『マネー・ピット』

第十九章・豪邸 『愛がこわれるとき』『砂の上のロビンソン』『二重の鍵』『推定無罪』『華麗なるギャツビー』『イナゴの日』『フォーエバー・フレンズ』『ボディ・ダブル』

第二十章・住まいの祝祭 『マグノリアの花たち』『昔みたい』『イヴの総て』『秋刀魚の味』『荒野の決闘』『刑事ジョン・ブック/目撃者』

渡辺さんは建築家でもある。

 


『スターダム ハリウッド現象の光と影』アレグザンダー・ウォーカー・渡辺葉子共訳(フィルムアート社・1988)

 

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渡辺武信 その2『映画的神話の再興 スクリーンは信じ得るか』

2024-12-26 12:51:37 | ブックレビュー

『映画的神話の再興 スクリーンは信じ得るか』(未来社・1979)

1.夢の再確認
夢の再確認-ロベール・アンリコ『ラムの大通り』
夢として語られる無垢の憧憬-ジョン・ヒューストン『ロイ・ビーン』
古典的夢とその回帰-『カサブランカ』『カサブランカ』に憑かれて
映画を包む至福の闇-フランソワ・トリュフォー『アメリカの夜』
青春映画の内にひそむ映画論的構造-羽仁進『午前中の時間割』

2.夢からの覚醒-痛ましき覚醒者としてのピーター・ボグダノヴィッチ
ある至福の時の終り-『ラスト・ショー』
爆笑に隠された映画的憧憬-『おかしなおかしな大追跡』
映画はただの映画じゃない-『ペーパー・ムーン』
六000本の映画を見た男-ボグダノヴィッチ論

3.アクション映画の啓示性
アクションの啓示性-『ダーティハリー』『フレンチ・コネクション』
ヒーローとは暴力に病んだ者の呼名か?-サム・ペキンパー『わらの犬』
鮮烈な暴力と甘美な叙情-サム・ペキンパー『ガルシアの首』
銃声と流血の中に香る感傷-ジョン・ミリアス『デリンジャー』
血まみれのアリスの悪夢-マイケル・リチー『ブラック・エース』
ギャングたちの野獣的精気-テレンス・ヤング『バラキ』
死によって報われる自己愛-ドウチオ・テッサリ『ビッグ・ガン』
男たちの死闘をおおう組織の影-マイケル・ウィナー『スコルピオ』

4.日活アクションの残照  
あるプログラム・ピクチャーの終焉-ダイニチ映画の崩壊に想う
算出された映画・日活ニュー・アクション-文芸座の四0本連続上映を見ながら考える
遊戯による存在の挑発-藤田敏八論
アクションによる空間の蘇生-長谷部安春論

5.任侠・また旅映画の崩壊
任侠映画の閉鎖性と視覚性-山下耕作『博奕打ち・総長賭博』の回顧上映
任侠映画の変質と退潮-石井輝男『現代任侠伝』加藤泰『日本侠花伝』
侠花は還らず 加藤泰『昭和おんな博徒』加藤泰『日本侠花伝』
股旅映画に希望はあるか-中島貞夫『木枯し紋次郎』
世界の寒さの中で若者たちはくたばる-市川崑『股旅』
サムライ的自己完成への西欧的視点-シドニー・ポラック『ザ・ヤクザ』

6.ぼくたちにとって映画とは何か

装丁、絵:和田誠

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渡辺武信 その1『映画は存在する スクリーンを信じ続ける作家たち』

2024-12-26 07:48:03 | ブックレビュー

『映画は存在する スクリーンを信じ続ける作家たち』(サンリオ出版・1975)

1.ジャン・ピエール・メルヴィル-あるいは映画的昂奮の罠

2.山田洋次-あるいは日本の虚構化

3.ハワード・ホークス-あるいはアクションの啓示性

4.フリッツ・ラング-あるいは超越的空間

5.ブレーク・エドワーズ-あるいはパイ投げの拡大

6.山下耕作-あるいは象徴の文法

7.マーク・サンドリッチ-あるいは遥かなる祝祭

8.スタンリー・ドネン-あるいは空間の躍動

9.加藤泰-あるいは夢の立証

10.アルフレッド・ヒッチコック-あるいは話術の極北

11.ルキノ・ヴィスコンティ-あるいは空間の充溢

12.ロマン・ポランスキー-あるいは怪奇映画の夢

13.ジャン・リュック・ゴダール-あるいは夢の覚醒

装丁、絵:和田誠

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『仰天・平成元年の空手チョップ』(夢枕獏)

2024-12-18 08:16:11 | ブックレビュー

『仰天・平成元年の空手チョップ』(夢枕獏)(1993.5.)

 昭和38年に亡くなった力道山は、実は冷凍睡眠で眠っていただけだった。そして平成元年に当時の肉体のまま蘇生し、前田日明と闘うことに。時空を超えたこの試合の前座を務めるのはジャイアント馬場とアントニオ猪木だった。

 あとがきに「嫌いなレスラーひとりもなし」とあるように、今や細かい団体に分裂してしまったプロレス界の全ての団体やレスラーたちに愛を込めたおかしくも悲しい話であった。

 何しろこの話は、それらの団体の垣根を取っ払うのが冷凍保存化されたかの力道山であり、そうした過去の人物を生き返らせるというSF的な突飛な発想がなければもはやプロレス界の一本化が不可能だということも同時に語ってしまっているからだ。

 とはいえ、この夢の作業は見事であり、ジャイアント馬場が、アントニオ猪木が、前田日明が、藤原喜明が、ラッシャー木村が、生き生きと己の存在をアピールし、こちらが思う通りに行動してくれるくれるのは快感であった。現実には起こり得ない夢を描くのがSFだとすれば、これは優れたSF小説であるに違いない。

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『飢餓俳優 菅原文太伝』(松田美智子)

2024-12-15 20:28:15 | ブックレビュー

 菅原文太の人生には常に暗い影がつきまとう。幼少期に母親が出奔して家庭崩壊。大学は除籍。俳優業は脇役ばかり。じりじりするような焦りの中、やっとつかんだ『仁義なき戦い』で不動の地位を築くも、最後は出演を拒否してしまう。誰も信用せず、盟友と決別し、約束された成功を拒んだ男が生涯を懸けて追い求めたものは一体何だったのか。名優の内面に迫る評伝。

 最近、高倉健の没後10年、鶴田浩二の生誕100年ということで短い評伝を書いたのだが、その際、菅原文太も没後10年だから健さんと並べて…という案が出たのだが、調べてみると2人はタイプが違うし、東映での活躍の時期もずれるので並べて書くのは難しいとなった。

 しかもインタビューで健さんのことは嬉々として語った八名信夫や谷隼人も、文太さんについてもと水を向けると急に口が重くなった。というか、彼のことはよく知らないと言うのだ。そこに文太の東映での微妙な立場が垣間見える気がしたのだが、その理由は単に文太が外様だったからというだけではないとも感じた。本書は、その理由の一端を明らかにしてくれたようで興味深く読んだ。


「没後10年高倉健の世界」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/61665843deec91d685ed38707ecc65cd

「生誕100年 鶴田浩二」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/11333db40bb880de0f7316a5cd83925e

健さんに続いて今度は文太が…
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/b609c8badd47cd309098b86d6343b8b9

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スター評伝 参考文献2

2024-11-24 00:54:58 | ブックレビュー

『石原裕次郎 昭和太陽伝』(佐藤利明)

「西部警察」世代が知らない裕次郎がここにいる!!  石原裕次郎三十三回忌に娯楽映画研究の第一人者が送る渾身の本格評伝。710ページの大冊。恐れ入りました。

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スター評伝 参考文献

2024-11-20 22:44:42 | ブックレビュー

ここのところ、スターたちの評伝を書くことが続いている。その際、参考にした文献を。


『任俠映画が青春だった』全証言伝説のヒーローとその時代(山平重樹)

60年代から70年代にかけて一大ブームを巻き起こした東映任侠映画の魅力を、関係者から取材した撮影秘話も交えながら再現。


『任俠映画のスタアたち』(近代映画・田中雄二)

邦画雑誌「近代映画」の記事を基に復刻掲載。高倉健、菅原文太等を通して“任侠映画のスタア”に憧れたあの時代を振り返る。


『悪役は口に苦し』(八名信夫)

日本を代表する名悪役の波瀾万丈の88年間の歩みを綴った自伝。


『任俠映画伝説 高倉健と鶴田浩二』 上下巻(大下英治)

時代劇の東映が危ない!高倉、鶴田の任侠路線に猛進!スターの確執、裏抗争、やくざの面子。霧と闇の中、新作がスタート。


『キネマ旬報』2011.5下旬号 映画俳優・西田敏行を知っているか?


『役者人生、泣き笑い』(西田敏行)

生い立ちや家族、『釣りバカ』や大河ドラマの裏話、監督・俳優との交流秘話…。“全身役者”が、痛快無比な70年の人生を赤裸々に明かす、初の自伝。芸能デビュー50周年・古希記念出版!

 

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『八犬傳』(山田風太郎)と人形劇「新八犬伝」

2024-08-16 20:05:40 | ブックレビュー

 映画『八犬伝』(10月25日公開)関連の取材予定が入ったので、原作となった山田風太郎の『八犬傳』(廣済堂文庫)を図書館で借りて読んでみた。

 『八犬傳』は、曲亭馬琴の伝奇小説『南総里見八犬伝』をモチーフに、馬琴と絵師の葛飾北斎との交流を描いた「実の世界」と「八犬伝」の「虚の世界」を交錯させながらの二重構造で描くという興味深い趣向。いわば「伝記」と「伝奇」の融合だ。 

 中でも虚構で正義を描く馬琴と、虚構で現実の闇を見つめる『東海道四谷怪談』の鶴屋南北との物語についての問答が印象に残る。ここには作家としての風太郎の思いや葛藤も投影されているのだろう。

 最後は盲目となった馬琴の口述を、息子の嫁で無学のお路が筆記する様子が描かれる。お路なくして八犬伝の完成はなかったのだ。風太郎は「これを馬琴のえがく神変をしのぐ奇蹟といわずして何といおう」と書き、「『八犬傳』の世界を、江戸草創期における『虚の江戸神話』とするならば、この怪異壮大な神話を生み出した盲目の老作家と女性アシスタントの超人的聖戦こそ、『実の江戸神話』ではあるまいか」とも書いている。ここで初めて虚と実が一つになり、実が虚をしのいだのだ。見事な大団円である。

 さて、「八犬伝」については、NHkの人形劇「新八犬伝」(73~75)脚本:石山透、音楽:藤井凡大、人形:辻村ジュサブロー、語り(黒子):坂本九で親しんだ。

 九ちゃんの名調子に乗って繰り出される「因果は巡る糸車、巡り巡って風車」「抜けば玉散る氷の刃、名刀村雨」「八犬士の前に立ちはだかる玉梓(たまずさ)が怨霊」「さもしい浪人、網干左母次郎(あぼしさもじろう)」「関東管領、扇谷定正(おおぎがやつさだまさ)」「本日、これまで!」といった口上や名文句が印象的だった。九ちゃんが歌う挿入曲「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」とエンディングテーマ「夕やけの空」もよかった。

 『七人の侍』(54)『荒野の七人』(60)のメンバーを覚えたのと同じように、犬江親兵衛「仁」、犬川荘助「義」、犬村大角「礼」、犬坂毛野「智」、犬山道節「忠」、犬飼現八「信」、犬塚信乃「孝」、犬田小文吾「悌」といった具合に、八剣士の名前と珠の字も覚えたものだ。

 調子に乗って『南総里見八犬伝』日本の古典文学 15 ジュニア版 (福田清人・偕成社)を読んだりもした。ちょうど中学生の頃だった。


「夕やけの空」
https://www.youtube.com/watch?v=i2e9SH7sRqs

「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」
https://www.youtube.com/watch?v=1XNVetkB0Y8


『里見八犬伝』(83)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d9178f195e1a1962b8d60d6ffd48fdbb

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『桃色じかけのフィルム 失われた映画を探せ』(鈴木義昭)

2024-06-14 11:44:54 | ブックレビュー

 昭和30年代後半から、弱小プロの成人指定映画が量産される。ピンク映画である。世の中のひんしゅくを買いながらも、熱気あふれる現場からは山本晋也、若松孝二、高橋伴明、和泉聖治などの名監督も生まれた。だが、今やその作品の多くが失われてしまった。忘れ去られた映画人や作品を追った傑作ルポ。

 主な登場人物は、芦原しのぶ、山際永三、本木荘二郎、関多加志、山本晋也、香取環、若松孝二、佐々木元、新高恵子、港雄一、木俣堯喬、和泉聖治、武智鉄二、中村幻児、高橋伴明…。

 浪人生だった1979年。予備校近くのエビス地球座や新宿昭和館地下などで、友人と一緒に、半ばやけくそな気分でピンク映画を見まくった時期があった。自分にとってのピンク映画体験はほぼこの一時期に集約される。

 ただ、一般映画は見たら必ずメモを取っていたのに、ピンク映画や成人映画については途中で取るのをやめた。羞恥心や後ろめたさもあり、どこかでさげすんでいたのだろう。今となってはタイトルも定かでないこれらの映画をもっと大事にすべきだったと後悔している。

 ところで、ピンク映画とAVとの違いは何だろう。いまさらピンク映画を必要以上に持ち上げる気もないが、それは作り手たちがちゃんと"映画"を撮っていたことに加えて、フィルムとデジタル(ビデオ)の違いなのかとも思う。つまりピンク映画への思いはフィルムへのノスタルジーとつながるところがあるのだ。

 本書は、そんな諸々のことを思い出させてくれた。著者のピンク映画への愛があふれた好書だ。


メモに残っていた一部。今ならタイトルだけで上映禁止だろう。

『暴行女刑務所』(78・新東宝)監督・高橋伴明 出演・丘尚美、日野繭子、中野リエ

『谷ナオミ 縛る!』(77・新東宝)監督・渡辺護 出演・谷ナオミ、鶴岡八郎、下元史朗
『鞭と緊縛』(79・新東宝)監督・高橋伴明 出演・丘尚美、日野繭子、宮田諭
『縛り責め』(79・東活)監督・小林悟 出演・高木マヤ、早川洋子、山崎かおり

『残酷 女子大生私刑』(79・東映セントラル)監督・東元薫 出演・青木奈美、青野梨魔、笹木ルミ
『女子学生 変態』(79・東活)監督・小林悟 出演・黒沢薫、千葉久美子、真木忍
『女高生 昂奮』(79・大蔵映画)監督・小川和久 出演・三条まゆみ、中野リエ、沢木ミミ
『女高生 快感』(79・新東宝)監督・中村幻児 出演・深沢ゆみ、杉佳代子、鶴岡孝史

『痴漢透明人間』(77・新東宝)監督・関孝二 出演・杉佳代子、市村譲、しば早苗
『快楽痴漢バス』(77・ミリオン)監督・早坂絋 出演・北川玲子、杉佳代子
『痴漢快速電車』(78・新東宝)監督・稲尾実 出演・東祐里子、沢木ミミ、浜恵子 
『痴漢横丁交番前』(78・日活)監督・代々木忠 出演・ちなみらら、青山涼子

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「季節のない街」(山本周五郎)

2024-04-09 00:04:28 | ブックレビュー

『季節のない街』(山本周五郎)(1981.11.8.)

 最近、本(特に小説)を読むのがおっくうになっている。そんな中、久しぶりに読む気力を起こしてくれたのがこの小説だった。その動機は、ここのところ伴淳三郎と芥川比呂志が相次いで亡くなって、2人に共通するものとして思い当たったのが、黒澤明監督の『どですかでん』(70)での名演だった。とはいえ、なかなか見られない映画なので、この際原作をじっくり読んでみようと思ったのだ。

 というわけで、どうしても映画を思い浮かべながら、映画と比べながら読んでしまったので、あーこの場面は映画の方がよかったとか、この描写は小説ならではだなとか、読みながら妙な感じ方をしていた。

 それは例えばこんな具合だ。小説も映画もたんばさんが狂言回しの役割を果たしている。黒澤は映画にしやすいエピソード(自分が好きなエピソード?)を選んでいる気がした。「とうちゃん」は小説のイメージのままに三波伸介が見事に演じていた、などなど。小説を読んでいるというよりも、読みながら映画のシーンを思い出そうとしていたのだろう。

 ところで、庶民の悲哀や嫌らしさ、あるいは人情、バイタリティなどを書かせたら山本周五郎の右に出る者はいないだろう。浪人時代に読んで大いに感化された『さぶ』『ちいさこべ』『ちゃん』『赤ひげ診療譚』のような時代物から、『青べか物語』のような現代物まで、貧しいながらもたくましく生きる人々の姿が浮き彫りにされている。自分にしても、金持ちが登場する夢物語よりも、こうした話の方が性に合っている。

 と言いながら、自分と同年代で山本周五郎を読む奴なんてあまりいないだろうなあとも思う。そう考えると、ひどく自分に若さがないような気分になる。

【今の一言】42年前に二十歳の自分が書いた何とも拙い文章だが、あの頃から今に至るまで、この原作も映画も、そして武満徹の音楽も、大好きであることに変わりはない。そして今、宮藤官九郎によるドラマが作られた。


『どですかでん』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/657b78d783fb148163c7bf94f7c66dec 

名画投球術No.2「ダメな人間ばかり出てくる映画を観て安心したい」黒澤明
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5b428edd45778476ab0530bc08c0ef67

「並木座」『酔いどれ天使』『どですかでん』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f8e984d9841f9f1c3e4dfebad1e35c7b

名脇役であり、怪優でもあった三谷昇
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6e407775792a7b776ce79331c59c34ae

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