素人は戦略を語り、玄人は兵站を語ると言いますが、陸上自衛隊元陸将が書いた本なので完全な玄人本になります。
著者は、兵站を分析する上で、6つのキーを使って語ると主張します。
すなわち、「兵站を心臓・血管・血液・細胞などの譬えで説明する」「内線作戦と外線作戦」「マハンのシーパワーの戦略理論と兵站」「ケネス・ボールディングの『力(戦力)の逓減理論』」「作戦正面の長さ・面積と兵站の関係」「地政学と兵站」です。
それに従って、第二次世界大戦から朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、コロナ戦争と語られて行きます。
これに従って、本には書いていませんが、ウクライナ戦争を分析してみましょう。
「兵站を心臓・血管・血液・細胞などの譬えで説明する」
心臓……ウクライナ(小)、ロシア(大)ですが、ウクライナはNATOやその他の諸国からも補給を受けており、心臓がたくさんある状態になっています。
血管……google mapなどで見るとわかるが東ヨーロッパの道路は、車線が少なく良好とはいえません。
血液……トラック輸送が主だが、ロシアに十分な数のトラックが揃っていないし、ドローンなどで標的にされています。
細胞……ロシア軍の士気は低く、ウクライナは高いように見えます。
「内線作戦と外線作戦」
ロシア軍は、外線作戦をとっており、好きなところから攻めていけますが、補給をしっかり行えないと厳しくなります。
ウクライナ軍は内戦作戦となり、兵站面からは有利です。
「ケネス・ボールディングの『力(戦力)の逓減理論』」
これは、策源地から離れるとそれだけ戦力が低下する理論であるが、敵地へ深く入るほど補給が難しくなるということです。
ロシア軍は、キーウまでの最短距離も進めない兵站力しかないので、世界第2位の陸軍を持ちながら、僅かな距離しか進撃できていません。これでは全面染料は無理なため、一部の割譲に目標を切り替えたようですが、その一部も完全に掌握できず、停戦にもっていくことができていません。
ざっと見るとこんな感じになります。
小さな心臓のウクライナも他国からの血液が流れ込んできているので、ロシアの物量を抑えているようです。
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