むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『後期日中戦争』広中一成(角川新書)

2021年10月13日 | 読書
多くの日中戦争の書籍は、太平洋戦争前までの記述は詳しいが、太平洋戦争に突入後の記述はほとんど無い。
そこで、太平洋戦争開戦後に、日本は終戦までどう戦っていたかを詳しく解説していました。
日中両軍のもくろみをマクロ視点で記述し、その後、兵士の証言などをもとにミクロ視点で臨場感をにじませる構成で、わかりやすく感じました。

日中戦争は、なんとなく始まり、終わらせることができない目的がぼやけた戦争だった感じです。終戦後に明らかになる蒋介石と日本軍上層部とのお友達感には、そんなのありかよ~と思いました。

そんな、目的がハッキリしない戦線のため、太平洋戦争開戦後は、その動きに引きずられ、グダグダな戦いになっていきます。米軍の日本本土空襲を阻止するため、中国の飛行場を使えないようにするのが目的になってしまったりしています。
また、細菌兵器や毒ガスの使用もしています。しかも、日本軍が使用したそれらの兵器により、日本軍にも被害をだしています。

制空権は連合軍にありますが、地上戦は日本軍に有利とよくわからない戦線です。地上軍を攻撃できる飛行機の数が少ないのでしょう。
また、日本軍の補給は悪く、現地調達に頼るため、悲惨な状況に陥る部隊も多々あったようです。

なんとなく始まり、収拾のメドもなく、太平洋戦線に引きずられ、なんとなく終わってしまった戦争だったようです。

これじゃあ、本に書いても面白くないだろうなと思いますが、この本は、よくできていて、新しい知識として面白い本でした。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする