むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『炎のなかの休暇』吉村昭(新潮文庫)

2021年01月03日 | 読書
戦中戦後の暮らしを描いた著者の自伝的短篇集です。
吉村昭らしく、誇張のない淡々とした文章ですが、それがリアリティを醸し出しています。
題名の"休暇"は、モラトリアム時代のことだと解釈しています。現在で言う中学~高校時代をちょうど戦争の時代に過ごした著者は、思春期の冷めた目で社会を見つめられた貴重な世代でした。
大人たちの行動を俯瞰して見る余裕があるのです。
やたら悲惨だとか、勇猛だとか芝居がかった表現がないので、その場の空気感が感じられました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする