打倒!破廉恥学園

旋風寺武流PLが意味もなくただ、だらだらと掻き散らかすブログです。

レスラーという人々

2013-09-27 05:57:28 | Weblog
コンビニで分厚い本を見つける。題名は「プロレス地獄編」。

梶原一騎のドキュメント風劇が「プロレススーパースター列伝」の作画をされていた原田久仁信先生が描かれた、ノンフィクション形式のプロレス劇画だ。プロレス業界の裏の部分が、克明に描写されている。

「プロレススーパースター列伝」は、レスラー同士の友情とか魂の真実(事実ではない)が梶原一騎のファンタジー要素がいっぱいだったが、本作はそういったものはない。金と面子。この二つに翻弄されていくレスラーやプロレス関係者の悲喜こもごもがストーリーのメインになっている。もっとも列伝の方は少年サンデー連載、こちらは別冊宝島と読者層も全然違うから当たり前かもしれないが。

読んだ感想は、レスラーというのは基本的にお金にはシビアで貪欲なのである、というもの。考えてみれば当たり前なのだ。レスラーという職業は、今日の仕合で怪我をして戦えなくなったら、明日の保証がなくなってしまうのだ。

あと若い内から業界に入るケースが多いので、社会というものに学ばずに大人になってしまい、社会の厳しさにぶち当たって、潰れてしまう事も多いようだ。これはプロレスラーだけでなく力士や野球選手にも当てはまることなのだろうが。黒い交際も珍しくないので、羽振りのいい選手が詐欺師や取り巻きに金を吸い取られる話も多い。

猪木たちが北朝鮮に行った話なんて、こんなこと描いていいのかよ、と作者を心配してしまうくらいレスラーの下半身事情について描かれている。ブル中野に言い寄る永島勝司が囁いていた「ブル……君は平壌に咲く一輪の花……」というフレーズが妙に面白かったので、いつかどこかで使わせて貰おう。

本作を読んでいて思ったことは、やはり猪木と馬場はレスラーの中では別格の存在のようだ。もちろん人間だから好かれているばかりではないが、圧倒的なカリスマ性や怖さは今のレスラーたちにはそうそう出せるものではないだろう。

本のボリュームの割に値段はお安めなので、猪木・馬場好きはもちろん、三沢、橋本といった世代が好きな人たちにもオススメできる一冊だ。