打倒!破廉恥学園

旋風寺武流PLが意味もなくただ、だらだらと掻き散らかすブログです。

子供の世界 ~美味編~

2010-11-07 06:03:57 | Weblog
まだ私が小学校にあがる前の話。

夕食に出されたササミフライとサラダを食べていたら、フライにかけていたケチャップがサラダにかけていたマヨネーズの上にポタリと落ちたのです。

「おっと、いけない」と、私は箸でケチャップが乗った部分をすくって、ケチャップとマヨネーズが混ざったものを口に運んだのですが、激しい衝撃が脳に走ったのを覚えています。

美味い、とにかく美味い。ケチャップとマヨネーズを混ぜると、こんなにもコクと旨みのある味が生まれるのか……と!

私はすぐさま周囲を伺いました。家族が美味を発見したことに気づく様子もなく、暢気に夕飯を食べています。

ああ、父も母もこの美味を知らずにここまで生きてきたのだな、と。すごい優越感を抱いたのを覚えています。今思い返せば、就学未満児童の癖にとんでもないガキですね。

「誰にも教えない。これは僕だけの味だ!」と一子相伝(子どころか恋人もいねーくせに)レベルの機密にしてました。私は親が見ていない隙に、一人こっそりとパンに塗ったりして、この美味を楽しんだのです。

そんな数ヵ月後のことかな。暑い夏の盛りだったことを覚えています。

親戚のおじさん一家たちと一緒に、旅行に行った時のことです。ホテルに一泊して朝食のバイキングに私たちは行きました。

「両親にも教えていない美味を、どうしておじさん達に教えることができようか」と、私はケチャップもマヨネーズも単品で使ってサラダと目玉焼きを食べていたのですが、とんでもないことが!

おじさんが普通に、目玉焼きにケチャップとマヨネーズをかけて食べていたのです。本当にびっくりしました……。私だけが知っているはずの美味を、おじさんは普通に味わっていたのです。

ショックでした……世界一の美味の機密があっさりと漏れて……いや、最初から私だけの美味ではなかったのです。誰もが考えて、味わっていたものだったのです。

自分の世界の小ささに落ち込んだのを覚えています。

……それからしばらくして、クリームソースに少しだけ醤油がまじると、とんでもない美味になると発見して、同じような展開になるのは、また別の話。

小学生になって図書館で「一休とんち話」の和尚さんの水飴の話を読むたびに、壺の中の水飴を独り占めにしていた和尚さんに感情移入しちゃうのです。

子供の世界の小ささと深さ。面白いものです。