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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

東海軒 茶飯弁当

2023-01-31 22:55:00 | 各地お土産・食べ物
2022年10月、静岡旅行の続き。静岡駅弁について。
静岡駅の駅弁業者は「東海軒」。明治創業で、仕出しは静岡市外にも拠点を持つが、駅弁は静岡駅だけ。昔は、静岡市内の小さい駅(例えば用宗駅)のキヨスクで、一部商品を売っていたが、今はそのキヨスク自体がなくなった。
スーパーマーケットの記事で触れたように、静岡市内でも清水駅は別の業者。一方、スーパーマーケット「しずてつストア」では、清水区や県東部・沼津駅前の店舗でも、下記の主力商品の一部を少量取り扱っていた。

東海軒の駅弁は「元祖 鯛めし」と「幕の内弁当」を、自他ともに看板商品としている。「親子飯」や「サンドイッチ」「助六寿司」もファンが多いようだし、期間限定商品もいろいろある。
幕の内を代表商品とするのは珍しいが、かつては24時間製造販売し、東海道本線の夜行快速(通称「大垣夜行」)が停車する深夜に立ち売りを行っていたというエピソードとセットに語られることが多い。

僕が推す東海軒商品は、それらではない。2003年1月に初めて買って食べて気に入り、その後、いつもやっぱりそれを選んでしまう。いかにも静岡らしく、おいしい弁当。

静岡駅改札外では、昔はコンコース(南北通路)の中央付近に自社売店があったと記憶するが、今回行ったら、南口(新幹線)側に移り、大きくてきれいな店になっていた。ラインナップは充実しており、1社単独の駅弁店でこれほどなのは、全国的に見てもほかに崎陽軒くらいしかないかも。
どれにしようか悩む…よりも久しぶりなので、迷わずに、今回もまた買った。
706kcal 税込み1150円
包装(箱の蓋)では「静岡東海軒 茶めし」、シールやホームページでは「茶飯弁当」表記。
つまようじ付き、お手拭きなし。

「茶飯(ちゃめし)」とは、全国的には醤油ベースで味を付けた炊き込みごはんのこと。「茶色」のごはん。秋田での合意形成がされているかは知らないが、うちのばあさんは、かなり濃い茶色に炊き込んだのを「おちゃごはん/おちゃまんま」と呼んでいた。
【26日補足・秋田のお茶ごはんについて・秋田魁新報購読者向け「秋田さきがけ コミュニティー マガジン ふるさとのゆとり生活誌 郷」2023春号・vol.153で特集された。
「秋田市の一部地域で通称「お茶ご飯」と呼ばれている家庭料理は、いわゆるしょうゆ味のおこわ。「お茶まま」「茶まま」などとも呼ばれている。」
由来はその色だとし、秋田市内の「秋田ごはん工場」や「コープあきた土崎店」での製造を伝える。
JAの産直「ファーマーズマーケット彩菜館」では「炊き込みご飯」の名称だが、作る人が「お茶ままといえば、お祝いやお祭りのときに食べるごちそう。昔は農作業が一段落したときにもお祝いと慰労を兼ねてみんなで食べた」とコメント。】

静岡(奈良でもそうらしい)では、「お茶」で炊いたごはんのこと。お茶っ葉を入れるのではなく、抽出した液体のお茶で炊くようだ。学校給食でも出るとか。
そんなわけで、この駅弁、
ごはんが淡い緑色

お茶の新芽が載る
おかずは、オーソドックスな幕の内と言える内容で、エビフライ、卵焼き、かまぼこと、同社の幕の内弁当と重なるものも。広義の幕の内弁当であろう。
かまぼこの上は「焼鯖」、エビフライの右は「鶏照焼」。
静岡らしいのは、卵焼きの下の「鮪角煮」。
漬け物の下の緑の蓋は、コーヒー用クリームみたいなポーション容器に入ったわさび漬け。東海軒以外でも、静岡の駅弁にはわりと入っている。東海軒は「田丸屋本店」のわさび漬けだそう。かまぼこに付けて食べるといいという声あり。

おかずはどれもおいしいけれど、やはり茶めし。
食べたことがないと想像できないと思うが、さわやかでさっぱりして好き。新芽も柔らかくて食べられる。
幕の内弁当こそ駅弁であり、製造元の力量が分かると思っているが、茶飯弁当は東海軒にしか作れない幕の内だろう。


ところで、初めて食べた2003年1月の商品の写真があった。
2003年1月の茶めし弁当
950円。包装は、栄養成分表示等細部を除いて変わらず。箸袋は紙製。
お茶の新芽は、2022年のほうがしゃきっとして立派。
おかずは、今ミニトマトの位置に、カットしたミカン(だと思う。オレンジでなく)があった以外変わらず。あとは卵焼きが手作り風だったり、かまぼこの赤い部分がギザギザしていたり小変化。
約20年前とほとんど変わっていなかった。200円の値上げはやむを得ないというか妥当だろう。某駅弁の劣化と比べれば…
【2月1日追記・2009年5月の茶めし弁当は、950円、ビニール箸袋、ミニトマト、手作り風卵焼き、ギザギザでないかまぼこの構成であった。】

東海軒では、一時期(2022年始頃まで?)は東京駅「駅弁屋 祭」や新宿駅「駅弁屋 頂」へ、幕の内や鯛めしなどを輸送販売していたようだが、茶飯弁当はなかったようだ。静岡市周辺以外では、入手できないと思われる。茶どころ静岡ならではの駅弁として、もっと前面に押し出してもいいのでは。

旅行記は続き、他の駅の駅弁の話もいずれ。

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2 コメント

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東海軒 (タロー犬)
2023-02-01 08:23:38
記事を読ませていただき、あらためて思ったのですが、近年は、駅弁として「幕の内弁当」が販売されているのに滅多にお目にかからなくなりましたね。たまに駅弁を買おうとしても、それなりの値段の特殊弁当ばかりなので、観光旅行ならともかく、ビジネス旅行だとあまり買う気になれません。そんな中、今でも「幕の内弁当」を販売していて、しかもそれが看板商品となっている東海軒は素晴らしいと思います。ローカルメディアでも「東海軒の幕の内弁当は美味い」というのを何度となく見聞きしており、私も地元民ですが、ときどき買っては食べています。
ところで、静岡駅では駅ビル「パルシェ」の食彩館内に、「崎陽軒」も出店しています。崎陽軒の静岡進出がいつだったか忘れましたが(そんなに昔ではないはず)、初めてパルシェ内で崎陽軒のお店を見つけたとき、「これから、食べたくなったら『シウマイ弁当』がすぐ食べられるんだ!」と、感激したのを覚えています。駅弁文化が衰退しつつある中、静岡駅で「東海軒」と「崎陽軒」、両方のお弁当が買えるのは本当に幸せです。かつて、駅弁の種類が充実した駅と言えば、真っ先に仙台駅が頭に浮かびましたが、今は静岡駅もそれに負けず劣らずの状況になっているかと思います。
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ロングセラー駅弁 (taic02)
2023-02-01 20:13:53
駅弁大会や旅行客には、ご当地食材オンリーの駅弁が好まれてしまうのでしょうね。後日アップするつもりですが、今回は沼津・桃中軒の幕の内も食べ、おいしかったです。東海軒の幕の内もいつか食べてみないといけません。
東海軒は、しずてつストアのほか、静岡の市中にも自前の店舗があるそうで、そのことからも地元の人にも愛されているのが分かります。
仙台駅弁は、牛タン以外は品揃えがコロコロ変わって、決め手の商品に欠けます。選ぶのは楽しくても、落ち着かない感じです。その点、東海軒、崎陽軒もですが、ロングセラー商品を持ち、それが愛されるのは大きな強みではないでしょうか。
JR東日本は各地の駅弁を首都圏へ輸送させて売るのに対し、JR東海はそれはなく、自社系企業が駅弁を作るほど。それでも、東海道本線には、東海軒以外にも地元業者が多数あって、このご時世にそれぞれがんばっているのだと思います。
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