広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

セリオン

2010-01-25 20:22:45 | 秋田の季節・風景
秋田市の北部、土崎地区(地名としては土崎港(つちざきみなと))は北前船の時代からの港町。
その海沿いに「秋田ポートタワー・セリオン」「秋田市ポートタワー・セリオン」というタワーがある。【名称については下↓の2013年12月の追記参照】
セリオン(SELION)という名称は、海(sea)と展示館(pavilion)からの造語。秋田市内では、セリオンオープンの数年前に駅前の県総合生活文化会館「アトリオン」(吹き抜けの“アトリウム”とpavilionの合成語)が命名されたのをきっかけに、当時「○○オン」という命名が流行っていたのだ。

秋田市民は単に「セリオン」と呼ぶことが多いが、ブログなどを見ると「セリオンタワー」と表記する方もおられるようだ。セリオンだけではタワーであることが分かりにくいからかもしれないが、馴染みがない呼び方だし、ことばの順番が入れ替わっていて落ち着かない。「ヨーカドーイトー」みたいな感じで…
 ※以下、本記事では「セリオン」と表記します。
1994年のオープン当初は、秋田市が出資する第3セクター経営の有料展望施設だった。たしか入場料は800円で後に400円に値下げされたが、入場者は減り続け、経営は芳しくなかった。
そこで、2006年に秋田市が9億円で買い取り、3セク解散・市有化。以後の運営は指定管理者制度になり、現在は近くの商業施設などを経営する秋田市内の会社に委託され、無料で開放されており、入場者数が増えている。
【2013年12月2日追記】秋田市が買い取った時点で、名称が「秋田“市”ポートタワー・セリオン」と変わったらしい。ところが、2013年時点の指定管理者による公式ホームページでは旧称の「秋田ポートタワーセリオン」のまま。他の観光サイト等でも「市」がないほうが一般的で、「秋田市~」は定着していない。

最近、役所の業務を民間に委託するやり方として、「指定管理者制度」が全国的に流行っているみたいが、契約期間が決まっており、定期的に委託先が見直される。
セリオンは今年度末が更新時期で、同時に「道の駅」化を視野に入れて選考した結果、県外の企業へ委託されることになったが、昨年末の市議会でひともんちゃくあったらしい。
つまり、今の管理者がセリオンを“明け渡す”ことになるわけで、その準備として、今月から一部閉鎖になる部分があるというので、行ってみた。僕はオープン直後に1度だけ行ったことがあるが、それ以来。
 ※訪れたのは1月上旬です。
公共交通機関は、秋田駅前から新国道経由セリオン(玄関前にバス停がある)行きのバスが出ている(約25分、420円)。平日の昼間に1時間に3本も運行される時間帯があるが、セリオンへ来る利用者が多いからではなく、バスの折り返し・待機場所として、住宅地からほど近く手頃なセリオンを使っているだけだろう。(飯島方面行きのバスで「土崎郵便局前」等で降りても徒歩10分程度)
僕は、JR奥羽本線で土崎駅まで来て(190円)、歩いた。徒歩15分ほど。
男鹿へ行く臨海道路側の港から

こちらが正面
タワーの付帯施設として、秋田市所有の多目的ホール「セリオンプラザ」や秋田県所有の覆い付き緑地「セリオンリスタ」あがる。上の写真に写っている、背の低いガラス張りの建物がセリオンリスタ。
セリオンリスタ内部
ガラスで覆っただけで加温していないが、ほのかに温かく気持ちいい。母子あるいは祖父母と孫で来て遊んでいる人が多く、賑やか。トイレと自販機もある。外で走り回れない秋田の冬には、有意義な施設だ。
この時はサザンカが咲いていたが、今日、梅が2部咲きだとテレビで紹介されていた。
表示によれば、1995年に総工費14億3千万円で造られ、県の「秋田港湾事務所」が管理しているそうだ。県の施設だったとは意外。
県内各市町村の花と木が表示された地図があった
やけに市町村の数が多いが
「(平成の)合併前の旧市町村で表示」していた。
手間や費用の問題だろうが、これは貴重な資料だし、市町村合併反対派としてはこのまま残していただきたい。

セリオン本体へ。1階の物産コーナーや2階の「ちびっこコーナー」はなかなか賑わっている。以前は入場券を買ってエレベーターガールの案内で上ったが、今は無人でそのまま右奥のエレベーターホールへ。
  
階数は「5」までだが、2と3の間が長い。お客用としては1台しか稼働しておらず、待ち時間も長い。地上からの各階の床面の高さは3階が93メートル、4階が96メートル、5階が100.0メートル、アンテナを含めたてっぺんまでは143.6メートル。
今までは、5階が純粋な展望室、4階がレストランのあるスカイラウンジ、3階が展示場のギャラリーだったようだ。
ただし、管理者交代に伴う工事で3階と5階が使えなくなるので、4階を臨時の展望室にするそうだ。たしか僕が見た情報では明日、26日から3・5階を閉鎖するはず。
この日は3・5階がまだ閉鎖されておらず、3~5階すべてで展望できた。

エレベーター内からは外側の景色も見えるが、乗り合わせた親子連れに譲った。内側にも窓があり、吹き抜けの白い鉄骨が見える。
おもしろい光景
約70秒で到着。
5階の展望室(他の階は椅子があったり床が違ったりしたがほぼ同じ)
タワーは星形のような形で、直線的ながらも複雑な断面。おかげで写真を撮る時、光が写り込まない角度を探しやすかった。
6272枚のガラスが使われている
この日は雪が舞ったり晴れ間が出たり変わりやすい天気で、晴れても遠くが霞んでいて男鹿半島・太平山などは見えなかった。これで有料ならがっかりだが、無料ならまあいいや。

まずは、北西方向の秋田港。同じ日、わずか10分ほどの間の撮影です!
 
先日、昔の雄物川の図面の記事で少し触れた、秋田運河(旧雄物川)河口の秋田港の現在の姿。右下の白い船は海上保安庁の巡視船。
セリオンの上にはフジテレビ系列秋田テレビのリモコンカメラが設置されており、このアングルの映像を見ることがある。
西方向
手前が秋田運河、木材が置かれた向浜地区の工場地帯を挟んだ向こうが日本海。
東方向
土崎の町。天気がよければ奥に山並みが見るのだけど…
東側に自らの影を落とす
臨海道路(港湾通り)の車を止めて、斜めに秋田臨海鉄道の貨物列車が通過している。JR貨物や県が出資した貨物鉄道で、現在は1日に数本、奥羽本線と向浜の製紙工場とを行き来している。

帰りのエレベーターではおばあさんと孫と乗り合わせた。展望室にもママさんグループと子ども達やお年寄りグループがいて、セリオンリスタ同様、思ったよりも人が多く、しかも地元の人が多い気がした。地域の人の交流の場として親しまれているようだ。
観光施設だけでなく地域の拠点として、もっと有効活用できるかもしれない。

3セクから市が買い取った件など、秋田市の無駄遣いの象徴のように扱われることが多いが、セリオンの総工費は43億円。
セリオンリスタの14億に比べると安い気がするし、それに秋田県が700億円もかけて穴掘りした「秋田中央道路」のトンネルの方がよほど無駄だと僕は思う(←シツコイ)。
管理者がコロコロ変わり、うまく引き継ぎがされるのか(っていうか今後も無料なんだよね?)は心配だが、賑わいには安心した。天気のいい日にまた来てみたい。

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