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元こまち 現美新幹線乗車

2019-09-28 23:03:54 | 旅行記
新潟旅行記※前回の記事
今回の旅行の大きな目的が3つの乗り物に乗ること。GV-E400系電気式気動車、連節バス、そして「GENBI SHINKANSEN(現美新幹線)」。

JR東日本が「のってたのしい列車」と称する、乗ることを楽しむ列車=ジョイフルトレインの1つだが、新幹線区間なのが珍しい。
しかも、その車両は、秋田新幹線「こまち」として使われていた初代(E6系の先代)E3系電車(のうち、比較的新しい1本「R19」編成)を改造したものなのも、秋田県民としては気になる。
2016年の運行開始間もない頃、長岡駅で向かい側のホームから見ることができた。今回はそれに乗る。


現時点では、現美新幹線は、土日祝日に越後湯沢-新潟間(つまり上越新幹線の新潟県内区間のみ。所要時間は50分ほど)を1日3往復する。※例外あり。利用の際は都度、確認願います。
「とき」451~456号で各駅停車。指定席が1両、残りは自由席扱いなので、通常の新幹線と同じ料金で乗車できる。びゅうプラザ経由の旅行商品もある。

さて、何号にどの区間で乗るか。乗車券部分は、新潟県内の上越新幹線全区間で有効な「えちごツーデーパス」だから問題ないけど、新幹線だけに特急料金はバカにならない。といって短距離ではせっかくのたのしい列車を楽しめないだろう。別段目的地もないだけに、かえって困ってしまった。
結局、長岡駅前のホテルが安く取れたのを理由に、下り始発451号(長岡8:50発)で新潟(9:14着)まで乗ることにした。30分以下に指定席ではもったいないから自由席で。
発車標

(再掲)
2016年は時計の下に「とけい」というご丁寧な説明があったのがなくなっていた。

発車標の列車名の欄では単に「とき451」の表示。
下のスクロール表示で「とき451号は「現美新幹線」車両で運転します。」と案内。いつも出ているわけではないし、下りは全列車新潟行きだから、知らずに乗ってびっくりする客がいそう。
指定席券では「現美新幹線とき451号」と表記されるようだ。

乗車位置案内。上から2番目が451号
とき451号に10分ほど先行して、東京始発の「Maxとき303号」が走っている。高崎は通過、越後湯沢以降各駅停車という、新潟県内行きに特化したダイヤで2階建て8両編成。
乗車位置案内では、ミニ新幹線車両のサイズ感がうまく出ている。停車位置は中央のやや新潟寄り、号車番号はこまち時代のまま11~16号車。上越新幹線では唯一のミニ新幹線車両として、存在感は放っている。


長岡の街は、イトーヨーカドー丸大が閉店するなど以前より少し寂しくなった感じもしたが、駅の中は人が多い。土曜の朝だから、東京や新潟にでも行くのか。
現美新幹線に乗る人は、10分前に定期列車が出た後だし、多くはないだろうと予想していたが、予想よりは多かった。旅行客ではなさそうな地元の人もいたから、定期が混雑するのか、あえて現美新幹線に乗りたいのか。
※車両先頭の外観などは、黒っぽくてつるんとしてうまく撮れないし、前回もアップしたので今回はなし。
来た列車の自由席部分は、ちらほら空きがあったのが、長岡から乗った人で埋まった感じ。
越後湯沢方面から乗っている人たちは、特に子ども連れの旅行客が多い。これは想定済み。
「土日きっぷ」が使えるし、新幹線の特急券は、列車を乗り継いでも改札を出なければ通しでいい。ダイヤ的には、東京から来て越後湯沢でこの列車に乗り継ぎ、新潟で乗り換えて新津まで行けば、「SLばんえつ物語号」に間に合う。現美新幹線&SL目当ての人がけっこういたようだ。「新潟で降りる? それとも新津でSL見る? SLは見るだけで乗るんじゃないよ」と、親に選ばされている子どもも(SLを選んだ模様)。
ちなみに、上り最終456号は新潟16時42分発で、SLからは接続しない。もしかしたら、この下り始発451号が、いちばん乗車が多い現美新幹線かも。

最後尾11号車が指定席。とりあえず先頭車の16号車に乗りこむ。こまち時代は青い座席(元自由席)で、秋田発時点で大曲側だった車両。
車内の銘板(シール)は「Kawasaki2016」「E322-702」
R19編成は2002年に新造されたそうだが、その表示は車内にはなくなっていたようだ。2016年に川崎重工で現美新幹線用に改造されたことだけ示している。
製造番号も-19から-702に改番。JR東日本では、リゾートしらかみのキハ40系などのように、ジョイフルトレイン向けに改造した車両に700番台を付けるのを好む。E3系の-701は、山形新幹線「とれいゆつばさ」。
編成番号はR19のまま。

いよいよ車内へ。
16号車
細長いから列車の中なのは分かるかもしれないけれど、片側に窓がなく、窓際はソファーという、およそ新幹線とは思えない光景。窓が半分ないこと、照明が暗めなことにより、朝にしては落ち着いた雰囲気が漂う。
これが元「こまち」だと思うと…
(再掲【29日追記・こまち時代の車内】)「金萬」なんかの広告があった車端の壁も

こうなった(この向こうはデッキではなく運転台なので、扉は元から別物)
通路扉の幅や上の文字情報装置は、こまち時代のままだと思われ、ちょっとだけ懐かしい。


さて、改めて「GENBI SHINKANSEN」とは。
「世界最速の芸術鑑賞」として、車両ごとに異なる注目のアーティストが、この列車のために作った現代アートを展示するもの。
13号車は半分ずつ、それに外観も作品なので、計8つの作品が鑑賞できる。

というわけで、乗ったら座りっぱなしではいけない列車ということになろう。写真のように乗ってすぐに、もしくはある程度見たら座ってしまうお客さんも多いけれど。
一般に、列車内でうろちょろするのは迷惑だけど、この列車では基本的には迷惑がるほうが迷惑がられるだろう。

自由席車として扱われる12、14~16号車は、作品展示と着席スペースを兼ねる構造。
窓を背にするソファが並ぶ、ある種のロングシートになっていて、そこに座る人たちの前を通りながら鑑賞することになる。
ソファに座った眺め
ソファーは革張り(?)で座り心地は悪くない。テーブルもあり、車両によって配置が若干違う。荷棚はない。各号車とも新潟に向かって左側が窓、右側が作品。
ソファーなのでリクライニングしないけれど、1時間弱程度なら座っていても疲れない。これを好んで現美新幹線に乗る人もいるようだ。

各号車を順に巡る。
15号車
15号車は作品に厚みがあるせいか、ソファーは凹凸がなく1列に並んでいる。まさにロングシート状態。

14号車

13号車
13号車は、おそらく定員外。
半分がカフェ、半分がキッズスペース。それぞれでデザイナーが違う。
カフェでは、地元のコーヒー、新潟県産品を使ったオリジナルスイーツ、グッズが買える。テーブル1つに椅子4つしかないから、席へ持ち帰るのが原則か。10月以降の消費税率は?
キッズスペースはプラレールを取り入れて、その周辺環境をデザインした感じ。
どちらもけっこうにぎわっていた。というか人が多く、通路も狭めで、ちょっと大変。

12号車

そして11号車が、指定席。
ここは「こまち」時代グリーン車だったわけだが、その座席はそのまま使って普通車扱い。グリーン車時代は、ミニ規格なのに1列に2席+2席で、必ずしも評判が良くなかったけれど、それが普通車なら、むしろ乗り得。だから指定券を買おうか、ちょっと迷ったのだった。
そして、この車内も作品の1つ。デッキの案内板に作者名が書いてあったし、指定券がない者は立ち入るなといった表示もなかったから、ここも自由に入って鑑賞していいと解釈できる。
でも、入室してみると、けっこう乗客がいて、その人たちに見られている気がして、早々に退出。そこで新潟到着後に車外から。
車体は長岡の花火のドアップで、ここは青系
こまち時代は、座席や床は黒系統だったのが、蛍光の黄色をメインにしたものに張り替えられてとても鮮やかに!
座席やロールカーテンは、ロールシャッハテストみたいな柄で、動物の顔らしきものが隠されているみたい。
床は黒と蛍光黄色のランダムなうろこ模様。ずっと乗ってると、座り心地はいいけど目が疲れるかも…
E3系客席の特徴(末期製造分を除く)である荷棚と天井をつなぐアーチ状の構造は、他の号車では撤去されているが、11号車は色も変わらずそのまま。


アートが分からない者の感想。※作者の制作意図などは調べていません。
まず、やっぱり人が座っている前、他の人も歩き回る走っている列車の中で、じっくり鑑賞するのは難しい。落ち着かない。
その意味では、動画や写真を展示した14、16号車は、この展示方法には合わないと感じた。
なお、2018年春に、14、16号車、カフェの展示(上映)内容がリニューアルされているようだ。

一方、15号車は気楽に見られて、眺めているだけでも楽しかった。
色鮮やかな花のようなものを何層にも重ねてぶら下げた作りで、列車の走行によって軽く揺れる。

それに12号車も、座ってぼーっ見ていたくなった。
壁際に、金属を凹凸や鏡面/くもり加工したものが張ってあり、車内と反対側の車窓が写る。
写りこんだ車内と車窓
狭いミニ新幹線の車両が広く感じられ、新幹線の大きくはない真四角な窓越しに新潟の水田が時速240km/hで流れていくのが、おもしろい。


車内をひと通り見て気づけば、ソファーは区画ごとに誰かが座っており、座りに行きづらい。新潟まで大した時間じゃないので、デッキに立って外を眺める。
普通に見てもきれいな水田

車内放送は、自動放送は他の列車と共通のチャイム(東北方面とは違う曲)&日・英のアナウンス。
新潟到着前には車掌による放送もあり「優雅な時間をお過ごしいただけたでしょうか」「ご来場ありがとうございました」と言っていた。
新潟駅に到着。
2020年度には全廃されるらしいE4系Maxと

乗車口案内
折り返し越後湯沢行きになる表示が出ているが、ミニ新幹線だけに表示機とドア位置が一致していない。

幅が狭いミニ新幹線車両では、フル規格のホームではすき間が大きく空く。
ミニ新幹線ならではのステップが出る
新潟駅ではホーム全面に柵があるわけではないから、車体の美しさに見とれたり、記念撮影したり、色が違うから感覚が狂ったりして、うっかり落ちてしまいそう。気をつけて。

降車が終わり、ドアが閉まっても、ホームに残って鑑賞や撮影する人たちもちらほら。特に15号車に集中していたので行ってみると…
これはきれい
花のようなものが吊り下げられた展示が、窓越しに外からもきれいに見えていた。万華鏡のような、顕微鏡でのぞいているような、そんな雰囲気。車体外観の赤系統の花火との組み合わせもきれい。
外から鑑賞するのもまたいい
反対側だったら、窓がないので見られないけれど。


現美新幹線の定員は6両で105名。おそらくうち23名が指定席で、残り82名がたぶんソファーの座席数。
この編成の「こまち」時代の定員は394名もあったから、現美新幹線は、とてもぜいたくな新幹線だ。

車内の座席を取り払って、展示スペースにするということでは、国鉄時代1980年代に在来線で全国を巡回した「サイエンストレインエキスポ号」や「アメリカントレイン」に通ずるものがある。(どちらも秋田駅にも来て、どちらも見に行った記憶がある)
これらは走行中は客を乗せず、停車中に内部を公開する方式だったから、乗りながら見るというのもまた楽しい。

最近、現代美術、現代アートが何かと注目されるけれど、素人にはなんだかよく分からない。秋田公立美術大学の先生も、魁のインタビューで「難しい」と認めていたはず。
現美新幹線に乗っても、結局はよく分からなかったけど、まあ楽しいものを見ることができた。まさに「のってたのしい列車」。
ついでがあって、時間が合えば、乗ってみてはいかがでしょうか。
あと、“里帰り”して秋田へ来てくれるのもいいのでは。

これで今回の旅行の大きな目的は達成。こまごまと続く

【2020年7月28日追記】現美新幹線は、2020年12月で運行を終えることになった。車両はその後、どうなるだろうか。

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2 コメント

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Unknown (とき)
2019-09-29 18:45:39
新潟秋田間を
いなほみたいに運行してくれたら良いですね。
金萬広告残ってるなんて!(新潟住んでた時、秋田の方から貰うまで金萬知りませんでした)

きらきらうえつが昔期間限定運行で新潟から象潟まで走ってたので、前新潟から秋田に戻る時に乗りました。同じ路線ですが、電車違うだけでも楽しいです。

MAXときあまり乗ることなく、昔はムーンライトえちごが毎日運行してたので、青春18きっぷの季節なんかはよく使ってました。
MAXとき乗るなら2階席がいいなと思い埋まってなければ2階席にしてました。
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きらきらうえつ、Max (taic02)
2019-09-29 22:47:04
金萬の広告の写真は、転用前こまち時代の撮影ですので、今はありません。壁の色・柄も違っています。

「きらきらうえつ」、最近はごくたまに秋田駅まで来ていました。なかなか席が取れないほど人気のようでしたが、JRとしては特急料金収入がないから、あまり多くは走らせたくないでしょう。
通常の酒田止まりでも、象潟や羽後本荘までの延長運転でも、秋田方面への接続は悪くかったですね。
10月からは後継の「海里(かいり)」という列車が新潟-酒田を走ります。秋田まで来てくれることはあるのか… いずれにしても、乗れたら楽しいはずです。

Maxの1階はほとんど壁しか見えないけれど、2階より空いているのは魅力で、夜などは悩むところ。
一時期は上越新幹線の多数派でしたが、遠くないうちになくなってしまうようです。
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