広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

工藤口取り 松

2019-01-08 00:22:52 | 各地お土産・食べ物
青森と北海道限定の正月の風習として「口取り菓子」という、和菓子の存在が挙げられる。
これまで、そのことがいまいち理解できないでいた。
「口取り」は正月に限らず和食とか茶道で使う言葉のはずだし、全国的なお節料理セットにも、和菓子がちょっと入っていることが多い。
それに、秋田のスーパーでも、正月用に和菓子が売られる。地元のたけや製パン、北海道の日糧製パンのものが多い(どちらもヤマザキ系)が、正月らしいめでたいアイテムの形の練り切り(上生)が2~4個くらいセットになったものをよく見る。
そういうのとの違いがよく分かっていなかった。

今回、弘前の店を見て、青森の口取りについて、多少理解できた。
大みそかの夕方、ベニーマート松原店へ行ってみた。19時の繰り上げ閉店の2時間ほど前で、既に値引きされていたものの上に「半額」シールを貼っているところだった。
口取り菓子コーナーには、5種類くらい並んでいたが、半額だから思い切っていちばん高いのを買ってしまった。
口取り 松 8個入り1145kcal 下はPETボトルのキャップです
おなじみ工藤パン「工藤の和菓子」マーク入り。800円ほどのものを半額。
賞味期間は1月7日まで。だからイトーヨーカドーなどでは、まだ3割引き程度だった。ベニマでは、売り場を空けたくて、早々に半額にしたのかもしれない(鏡餅はまだ値引いていなかったが、在庫は少なく場所はふさいでいなかった)。

秋田に多い同じサイズの上生2~4個入りよりも、青森ではこのような大きな容器に違うサイズのものをセットにしたタイプが、口取り菓子の主流のようだ。まずは、これが大きな特徴だろう。【8日追記】このような菓子セットは、秋田市内の店ではまず見かけないと思うし、たけや製パンでは製造していないはず。

これは8個入りとなっているが、形が同じなのは2つだけ。
内訳は、松、鯛、海老、竹、サクランボが練り切り。「壽」の下は羊羹。色違い2つの渦巻きについては後述。
サクランボは2つに見えるがくっついていて、ヘタはプラスチック。松竹梅と鶴もプラスチックの飾り、「壽」は紙。品質保持剤のシリカエタノールも入っている。


練り切りは、形が違っても味は同じ。中は黒いこしあん。
秋田では、しなしなっとした食感の鯛のお菓子を通年で見かけるが、それではなく、ちゃんとした上生の食感と味。
あんこ好きの我が家では、好評。とてもおいしい。

渦巻きは、落雁のような干菓子に近い「雲平(うんぺい)」かと思った。
だけど、これは違う食感。雲平を餅っぽくしたような感じ。ちょっと硬く、粉っぽいような気もしたが、緻密な餅みたいで、食べているとクセになりそうな不思議なお菓子だった。


工藤パンのこれは「松」であることから想像が付くように、「竹」と「梅」もあった。むしろ松は置かずに竹や梅を扱う店が多そう。
松竹梅の違いは、お菓子の個数の多~少。鯛、海老、壽羊羹はどのセットにも入っているようだ。
ネット上の情報によれば、工藤パンの口取りセットは、東京の青森県アンテナショップでも売るらしい。

同じようなセット品が工藤パンのほか、日糧製パン、そしてベニマでは「かさい製菓」のものもあった。
かさい製菓は、バナナ最中を作っている弘前のメーカー。最中の皮状のお盆の飾り「盆とうろう(※下のお供え詰め合わせのリンク先参照)」も製造していて、それは秋田のたけや製パンの盆とうろうと、モノも袋もそっくり(どっちかのOEMってこと?)。


改めて考えてみれば、こういう形の口取り菓子では、切り分けないといけないし、お節のデザート的に食べるのは不便。
調べてみると、北海道や青森の口取り菓子は、本来の食材が入手しづらかった頃、やはり貴重品ではあったが砂糖を使ってそれらをかたどったのが起源らしい。
お節のデザートでなく、お節本体の代用というのがもともとのようだ。

さらに、少なくとも青森では、このセットを仏壇に供える家庭が少なくないようだ。
また、年末の弘前のスーパーの中には、お盆や彼岸に工藤パンが販売するのと同じ、まんじゅう類のお供えセット(お供え詰合せ(大))を売るところもあった。【8日追記】自分で過去記事に追記していて忘れていたけど、過去には秋田のスーパーでも正月に同じセットが売られていた。最近はどうだろう。あるとしても目立たない。つまり、やはり秋田では正月にさほど仏壇にお供えする風習はないということではないだろうか。

津軽では、お寺に初詣に行く人も多い。
家庭によっても違うでしょうけど秋田では、正月は仏壇に明かりを灯すくらいで、別段、特別なお供えなどしないことが多いのではないだろうか。それに、正月にお寺に参拝する風習も、まずないと思う。
津軽の人たちは、正月もご先祖を大切にしていて、そのために口取り菓子が存在するのかなとも思った。


由来の邪推はともかくとして、入れ物が大きくて持ち帰るのにジャマだったけど、しっかり練ってあるせいか傾いても中で動く【9日追記・8個が緩やかにくっついているので、箱の中でバラバラにもならずに】だけで、変形しなかった。
きれいで、おいしく、お得な口取りセットでした

翌年は「竹」を購入。 2021年正月は「梅」。リンク先後半。

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4 コメント

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ハッピードラッグ (FMEN)
2019-01-10 00:08:46
泉のハッピードラッグで1月2日の午後に見切り売りしてました。
もちろん件の品。
あんま売れてないみたいでした。
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灯台下暗し (taic02)
2019-01-12 20:10:16
うかつにも最近は行ってなかったです。
秋田市進出初年ということもあって、見こみが違ったのでしょうか。来年はどうするやら。
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2022、ナイス (FMEN)
2022-12-30 21:16:00
フォンテのナイスでかまぼことかと一緒にありました。
ナイスは工藤を入れてないのでたけやでしょうか。
クリスマスにはたけやケーキを入れた冷蔵ケースでしたし。
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たけや版 (taic02)
2022-12-30 23:33:08
マックスバリュでは、以前から日糧製パンの口取り菓子を多く置いていました。北海道でも口取り文化があるようで。
2022年は、たけやでも力を入れたのか、工藤や日糧と同じような大型の口取り菓子を出しているようで、マックスバリュで見かけました。ナイスのもそれかもしれません。
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