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違うけど同じ標識

2010-12-27 19:34:25 | 秋田のいろいろ
【2020年9月17日訂正・この記事で取り上げる2つの道路標識について、初回アップ時は大きな違いはないと認識していました。しかし、その後、警察庁「交通規制基準」を見ると、明確な違いがあることが分かりました。タイトルの「違うけど同じ標識」は誤りです。以下、初回アップ時のままの内容です。詳しくはこちらの記事も併せてご覧くださるようお願いします。また、2020年に標識が交換されて問題は解消しています。】
冒頭の画像は、2つの道路標識(国土交通省道路局サイトの資料より)。
左側の標識は「自転車及び歩行者専用」。全国的にも多いと思うが、秋田市内では学校の周辺や自転車が通行できる歩道などでよく見かける。

右側の「歩行者専用」は、秋田県外ではアーケード商店街などに設置されているのを見たことがあったが、秋田では稀少。
僕が子どもの頃、住宅地の細い道に設置されていたような記憶があるが、そこは現在、左側の自転車マーク付きのものに替わってしまった。それ以外では、見た記憶がなく、秋田から“絶滅”したのかと思っていたが…

秋田市中心部で
発見!
数か月前に気づいた。わりと頻繁に通る場所なのだが、真新しいわけではなさそうなので(古いわけでもなさそうだが)、見落としていたようだ。
ところで、上の写真の標識には、「自転車を除く」という補助標識が付いている。補助標識がなければ、自転車は降りて押して通らないといけないが、補助標識によって乗ったまま通行できることになる。

じゃあ、「自転車及び歩行者専用」と一緒じゃないの? という疑問がわく。
秋田以外でも同様の組み合わせで設置している例があるので、間違いではないのだろう。おそらく、「自転車も通っていいけど歩行者が優先」という意味で、歩行者を強調し、自転車を控えめにしているのではないだろうか(憶測です)。

一方、上記の通り、よく見かける
こちらの標識
ここでは「歩行者用道路」という補助標識が付いている。
「歩行者用道路」という言葉を解釈すれば、「自転車」は通れないように受け取れ、誤りではないかと思える。
でも、これも、秋田県以外(例えば弘前)でも同じ設置がされているので、妥当なものなのだろう。「歩行者“専用”道路」というより「歩行者(などの)道路」という意味なのだろうか?
「自動車(クルマ)が入ってはいけない」と言いたいのだろうから、「歩行者用」の文字で代表・強調しているのかもしれない。

結果的に、どちらの標識も補助標識を含めて解釈すれば
クルマは通れない。歩行者、さらに自転車に乗ったままでも通れる」ということだ。
なお、自転車以外の「軽車両」については補助標識で触れていない。したがってリヤカーとか人力車とか犬ぞりとかは通行できないと解釈できる。

さて、実は、上の2つの標識、
同じ場所に設置されているのです!(秋田市民の方ならどこかお分かりですね)
道の左側に「歩行者専用」が、右側に「自転車及び歩行者専用」が仲良く並んでいる。
ちなみに、標識のサイズやポールの色も統一されていない。
撮影できる場所が限られていて、うまく画面に収めるのが難しい
僕はこのことに気づいた当初、大いに悩んでしまった。同じ道路の右側と左側で言っていることが異なると思ったから。
しかし、上記の通り、よく考えると図柄が違うだけで、言っていることは同じだった。矛盾してはいない。【2020年9月18日冒頭の訂正の補足・「歩行者と自転車は通行可」という点では、2つの標識に矛盾はない。しかし、交通規制上は両者に大きな違いがあったのだった。自転車マークありのほうは、歩行者は右側通行・自転車(と許可されたその他車)は通常走行可と、規制のない道路と同じ通行。対して、歩行者専用では歩行者はどこを歩いてもよく、通行する車両(自転車も含む)は徐行(=直ちに停止できる速度、時速4~5キロ)する義務が課せられている。したがって、この2つを1つの道路に併設するのは、矛盾があり、歩行者が関わる事故になる可能性があることになる。】
なんて悩ましい道路標識なんだ。


見落としを防いだり、強調のため、まったく同じ標識が道の左右などに並ぶことはある(一方通行の入口【2013年6月17日訂正】出口など)が、同じことを言っているのに違う標識というのは初めて見たし、分かりにくい。ぱっと見てすぐ理解できることが道路標識には求められるはず。
なぜこんなことが起きたのだろう?

道路標識は、公安委員会(警察)が設置するものと道路管理者(国や自治体)が設置するものとがある。
ここにある2つの標識は「規制標識」というくくり。

僕はてっきり、規制標識はすべて警察が設置するのだと思い込んでいたが、実際はそうではなかった。
「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」第四条で細かく規定されており、この2つの規制標識は「道路管理者又は公安委員会が設置するものとする。」となっているようだ。
つまり、警察も道路管理者(ここは市道なので秋田市)も、どっちも設置できるらしい。

改めて標識を観察すると、「自転車・歩行者」の方は、駐車禁止などこの道路の他の標識とサイズや材質が同じで、ポールも共用している。比較的古そうな標識。
ポールには、シールがあった
「秋田県公安委員会 設置:平成52年…」!?
警察が設置した標識のようだ。
ここ数年に始まったのだと思うが、県警管轄の一部の標識やそのポールに、上の写真のようなシールが貼られている。
おそらく、標識の管理台帳のようなものの内容を転記したのだと思われる。

上のシールでは「昭和52年に設置された」ということなのだろうが、その当時はこの道路はまだ現在のように整備されておらず、この標識そのものは設置されていなかったはず。標識が交換され“代替わり”しても、書類上は同じ標識とみなすのだろう。
ちなみに、「中央」とあるのは秋田中央警察署管内ということを示すのだと思われるが、同署ができた(名称変更)のは2005年。


一方、歩行者専用の方は、反射材の材質から比較的最近設置されたものだと思われる。シールなど、管轄を推測できるものはない。
秋田県警が設置した標識であれば、上記のほか、何らかの表示があることが多いので、これは警察が設置したものではないのかもしれない。憶測に過ぎないが、こっちは道路管理者の秋田市が設置したものではないだろうか。(違ったらゴメンナサイ)

つまり、このちぐはぐな標識設置は、標識を設置する権利のある者どうしが連携を取らずに、めいめいに設置した結果なのかもしれない。
それにしたってすぐ隣にあるんだから、設置時や点検時に気づかないもんなんだろうか。


なお、県警設置の歩行者・自転車の方には、
「平成22年点検済」
県警では、定期的に標識の点検を行い、済んだものには「点検済」のシールを貼っているらしく、ここは今年、点検されたことになっている。
どんな観点から点検したのか分からないが(標識の見え方や安全性・耐久性か?)、隣にある他人が設置した標識は知ったこっちゃない。ということだろうか。

さらに言わせてもらえば、写真で分かるとおり、ここには車止め代わりの植木が置かれているので、ここから車両が進入することはあまり考えられない。
むしろ、この道路の反対側には車止めがなく、そこから入り込む車をたまに見かける。そちら側には目立つ標識がないので、このでっかい歩行者用標識を、そっちに設置してくれた方が役に立ちそうだと思う。



以下、余談です。
3つの標識をご覧ください。(左端は静岡市清水区、他は秋田市で撮影)
  
標識の名称としては、それぞれ「歩行者専用」「自転車及び歩行者専用」「車両通行止め」。
歩行者はどの道も通行できるが、補助標識がない状態(本標識だけ)では、自転車はそれぞれ通行することが〈できない・できる・できない〉ことになる。自転車以外の車両(軽車両を含む)はいずれも通行できない。

しかし、上の写真では、3つとも「軽車両を除く」の補助標識が付いている。
これにより、自転車だけでなく、それ以外の軽車両も通行できることになり、クルマが通れないだけ。言っていること3つともは同じ。
各県警や警察署の判断なのだろうが、その場所の特性(アーケードか住宅地・通学路か、危険性等)に応じて、設置する標識を変えているということのようだ。


次に、「歩行者専用」標識2つの画像を再びご覧ください。
 秋田市と清水区
比べていただくと分かると思うが、この親子(?)の図柄、両者でシルエットが異なる。“別人”だ!
秋田市のものは、シルエットの輪郭がクネクネし、腕がヒョロヒョロしていて、なんか気持ち悪い。
女の子は頭にリボンを付けているんだろうが、触覚に見えるし、男性がかぶっているのは帽子なのだろうがヘルメットにも見える。

清水の方は輪郭がスッキリしていて、“まともな人間”に見える。
明らかにリボンや帽子と認識できる。上ではよく分からなかった男性の衣装は、長袖のスーツだろうか。
ただ、女の子の髪型が若干角刈りっぽいかな。

また、この記事の最初にある、国交省の資料の図柄ともそれぞれ輪郭や頭が異なる。

実は秋田市のタイプのものが現在は全国的に主流らしい。
清水のものも、古そうな標識だけがこのデザインで、近年設置された標識は秋田と同一デザインだった。
あちこち探せば、また“別の人”がいるかもしれない。


最後に、「自転車及び歩行者専用」の親子にも登場願おう。秋田のもの。
(人物部分だけを拡大)これもまた別人
気持ち悪くない。女の子はリボンでなく帽子をかぶっているようだ。2人の足の向きも違う。
これは国交省の資料のものと似ているし、全国的にもこのデザインが主流のようだ。

※続きはこちら
※関連記事(他の場所で歩行者専用を発見)はこちらこちら
この10年後、新たな歩行者専用を発見

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3 コメント

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標識といえば (りお)
2010-12-28 00:33:11
先日道路を歩いていたら、秋田駅近くの交差点(「久保田町」??)で標識が根元からへし折れていました!!寒くて下を見ながら歩いていたら、有り得ない位置で目に飛び込んできました。
多分先週の強風のせいかとは思いますが、流石にびっくり…。

標識のへにゃへにゃしたおじさんは、小さい子供が見たらトラウマになってしまいそうですね。不気味過ぎます。妖怪みたいです。
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分かりにくい (mugi-shochu)
2010-12-28 19:06:25
よく見れば、と言うかよく考えれば同じ意味ですが、誰でも見た瞬間にすぐ分かる標識にできないもんでしょうかね。
確かに設置場所の特性を考えて・・・というのは分かりますが。
クネクネした人間の標識が今は主流とは、何故???
返信する
コメントありがとうございます (taic02)
2010-12-29 12:13:37
>りおさん
元々車がぶつかって曲がったり弱ったりした標識が、強風で折れてしまったのでしょうか。定期的に点検しても限界はあるのでしょうね。

実は歩行者専用道路の標識は「誘拐されているシーンを描いたものだ」という、一種の都市伝説があるらしいです。それは胡散臭いですが、たしかに妖怪とか宇宙人とか、そっち系の雰囲気を感じます。
じっと見つめていたら、くにゃくにゃ踊り出したりして…

>mugi-shochuさん
考えなければ理解できないのでは、標識じゃないですよねぇ。
学校周辺の規制でも「土日を除く」「休日を除く」とか言い回しが違う場合が多く、分かりづらい!
いっそ「車通るな!」という看板を立てた方が(日本人なら)分かりやすいです。
クネクネ人、キャラクターグッズを作れば人気が出るかも!?
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