秋田市内には鉄道の旅客駅(貨物駅は除く)が11駅ある。
秋田・土崎・上飯島・追分・羽後牛島・新屋・桂根・下浜・四ツ小屋・和田・大張野
の各駅。
以前から繰り返しお願いしているように、車社会秋田であっても公共交通機関をぜひ使っていただきたい。バスだけでなく、鉄道も。
鉄道は本数や運転間隔としては使いづらいが、速さと安さでは車にもバスにもかなわない。秋田駅から新屋や土崎まで200円以下未満、10分で着いてしまうんだから。
現在の秋田市長は、秋田-土崎間に新駅を設置することを公約の1つにし、当選後は設置に向けて庁内で検討されているというから、早期着工・開業とそれに伴う利便性向上に期待したいところだ。
さて、ずっと前、当ブログに「秋田市内の駅を紹介する記事をアップしてほしい」という要望のコメントをいただいていたが、あまり乗り気でないお返事をしてしまっていた。
最近、気が変わって、駅とその周辺を紹介する記事をとりあえず1つアップすることにした。
※ただし、全駅を紹介する等、シリーズ化するつもりは今のところありません。気が向いたら続編があるかもしれない、程度にお考えください。
鉄道好きの間では「秘境駅」という言葉があり、「秘境駅愛好家」もいる。
何となくニュアンスは伝わると思うが、明確な基準があるわけでなく、「鉄道でしか行けなくて民家がほとんどない駅」、「駅しかなく、何もない、降りるだけの駅」などと定義づける人がいるそうだ。
そんな秘境駅が、秋田市内にもあるという。もちろん上記11駅のうちの1つ。
秘境駅の第一人者・牛山隆信氏のサイト「秘境駅へ行こう!」では、全国200の秘境駅をランキングで紹介しているが、その秋田市の駅は堂々の52位になっている。
それが、大張野(おおばりの)駅。
秋田駅から18.7キロ(乗車券320円)、普通列車で18分のところに“秘境”があるということか。行ってみた。
この日は晴天で、秋田市中心部から河辺地区(旧河辺町)の中心、和田まではほとんど雪が消えており、土が見える田んぼもあった。左側に国道13号線が並走し、コカコーラの工場を過ぎて少し先、13号線と分かれる辺りに来ると雪の量が増えた。
大張野に到着(列車後部)
無人駅なので、車掌にきっぷを渡す(車掌が乗らない「ワンマン」運転の場合はいちばん前のドアしか開かない。きっぷは車内の運賃箱へ)。
他に降りた人はなく、僕1人を残して電車は去っていった。乗り込んだ人もいなかった。
線路の南東側
地図によれば川があり、低い山のふもとまでは田んぼらしいが、雪で真っ白。家などは見えない。
所在地は「秋田市河辺神内字四国」。近くに「河辺大張野」という地名がある。隣の羽後境駅は大仙市。
一部の地図ではこちら側からも外に出られ、橋が架かっているようにも見えたが、雪が積もっていて立ち入れない場所があってよく分からない。そこで、線路の反対、北西側の正面から外に出ることにした。
ホームは長く、列車の止まらない部分は除雪されていない
豪雪というほどではないが、秋田市中心部よりは明らかに積雪が多い。線路の枕木も砂利も雪で見えない。
降りたホーム。奥が秋田方向
ホーム上には短い屋根と小さいながらも小ぎれいな待合室があった。しかし、反対側(上の写真右側)は、ホーム自体がとても短く、しかも柵で囲われて列車は停まれない。
跨線橋から。奥が大曲方向
この写真だと、左右の線路のレール幅が異なるのがお分かりかと思う。左の方が広い。今乗ってきたのは右側の線路。
ここはかつては同じ幅のレールが2本並ぶ複線だったが、片方を新幹線のレール幅に広げて、車両が新幹線区間へ直通できる「ミニ新幹線」化された。したがって、現在は、「こまち」が走る“標準軌”と普通列車などが走る“狭軌”の2本の単線が並行しているといった方が正しい。
ミニ新幹線化前の大張野駅にはホームが2つあり、どちらにも列車が発着していたはずだが、ミニ新幹線化に伴い、列車が停まらない標準軌化側ホームは駅出口に通じる部分を残して撤去したようだ。この区間は四ツ小屋駅など他にも同様の工事がされた駅が多い。
標準軌化側は通過列車ばかりだから安全上やむを得ない措置とはいえ、橋を渡らないとホームに行かれないのは不便だ。
駅舎は待合室同様、最近改築されたと思われる小さなもの
無人駅だから、中にベンチがある以外は特に設備があるわけではなく、「駅舎」というより「もうひとつの待合室」といった感じか。
駅前には小型のポストと貸し駐車場があった。駐車場の看板は雪で見えなかったが、おそらく「パークアンドライド」と土地の有効利用のため、JRが貸しているのではないだろうか。この日は3台の車が駐まっていた。雪が積もったままの区画もあったから、空きがあるのだろうが、正直、こんな駅で少なくとも3人も駐車場を借りる人がいるのに驚いた。
自宅から駅まで自家用車で来て、ここに車を駐めて秋田市などへ通勤しているのだろう。不便な場所に住んでいながら、上手く公共交通機関を使っておられるのは素晴らしい。
ほかには電話ボックスもバス停もタクシー乗り場もない。
駅舎を背にした、“駅前”の光景
大張野が秘境駅に選定された理由の1つが、ご覧の通り、「駅前に1軒しか建物がない」こと。
かつてはお店を経営されていたようだが、今はタバコとダイドーの自販機(ポイントカード対応)があるだけ。
隣には自転車置き場と簡易トイレ
自転車置き場の看板には「秋田市」とあるが、秋田市内だという実感が湧かない。
駅前をL字型に細い道路が走っており、正面は上り坂、右側は線路沿いにまっすぐ延びている。正面は小高い落葉樹や杉の林になっていて、見通しは利かない。時折、林の向こうから車が走る音がするほかは何も聞こえない。
どの程度の“秘境”なのか、歩いてみよう。次回に続きます。
秋田・土崎・上飯島・追分・羽後牛島・新屋・桂根・下浜・四ツ小屋・和田・大張野
の各駅。
以前から繰り返しお願いしているように、車社会秋田であっても公共交通機関をぜひ使っていただきたい。バスだけでなく、鉄道も。
鉄道は本数や運転間隔としては使いづらいが、速さと安さでは車にもバスにもかなわない。秋田駅から新屋や土崎まで200円
現在の秋田市長は、秋田-土崎間に新駅を設置することを公約の1つにし、当選後は設置に向けて庁内で検討されているというから、早期着工・開業とそれに伴う利便性向上に期待したいところだ。
さて、ずっと前、当ブログに「秋田市内の駅を紹介する記事をアップしてほしい」という要望のコメントをいただいていたが、あまり乗り気でないお返事をしてしまっていた。
最近、気が変わって、駅とその周辺を紹介する記事をとりあえず1つアップすることにした。
※ただし、全駅を紹介する等、シリーズ化するつもりは今のところありません。気が向いたら続編があるかもしれない、程度にお考えください。
鉄道好きの間では「秘境駅」という言葉があり、「秘境駅愛好家」もいる。
何となくニュアンスは伝わると思うが、明確な基準があるわけでなく、「鉄道でしか行けなくて民家がほとんどない駅」、「駅しかなく、何もない、降りるだけの駅」などと定義づける人がいるそうだ。
そんな秘境駅が、秋田市内にもあるという。もちろん上記11駅のうちの1つ。
秘境駅の第一人者・牛山隆信氏のサイト「秘境駅へ行こう!」では、全国200の秘境駅をランキングで紹介しているが、その秋田市の駅は堂々の52位になっている。
それが、大張野(おおばりの)駅。
秋田駅から18.7キロ(乗車券320円)、普通列車で18分のところに“秘境”があるということか。行ってみた。
この日は晴天で、秋田市中心部から河辺地区(旧河辺町)の中心、和田まではほとんど雪が消えており、土が見える田んぼもあった。左側に国道13号線が並走し、コカコーラの工場を過ぎて少し先、13号線と分かれる辺りに来ると雪の量が増えた。

無人駅なので、車掌にきっぷを渡す(車掌が乗らない「ワンマン」運転の場合はいちばん前のドアしか開かない。きっぷは車内の運賃箱へ)。
他に降りた人はなく、僕1人を残して電車は去っていった。乗り込んだ人もいなかった。

地図によれば川があり、低い山のふもとまでは田んぼらしいが、雪で真っ白。家などは見えない。
所在地は「秋田市河辺神内字四国」。近くに「河辺大張野」という地名がある。隣の羽後境駅は大仙市。
一部の地図ではこちら側からも外に出られ、橋が架かっているようにも見えたが、雪が積もっていて立ち入れない場所があってよく分からない。そこで、線路の反対、北西側の正面から外に出ることにした。

豪雪というほどではないが、秋田市中心部よりは明らかに積雪が多い。線路の枕木も砂利も雪で見えない。

ホーム上には短い屋根と小さいながらも小ぎれいな待合室があった。しかし、反対側(上の写真右側)は、ホーム自体がとても短く、しかも柵で囲われて列車は停まれない。

この写真だと、左右の線路のレール幅が異なるのがお分かりかと思う。左の方が広い。今乗ってきたのは右側の線路。
ここはかつては同じ幅のレールが2本並ぶ複線だったが、片方を新幹線のレール幅に広げて、車両が新幹線区間へ直通できる「ミニ新幹線」化された。したがって、現在は、「こまち」が走る“標準軌”と普通列車などが走る“狭軌”の2本の単線が並行しているといった方が正しい。
ミニ新幹線化前の大張野駅にはホームが2つあり、どちらにも列車が発着していたはずだが、ミニ新幹線化に伴い、列車が停まらない標準軌化側ホームは駅出口に通じる部分を残して撤去したようだ。この区間は四ツ小屋駅など他にも同様の工事がされた駅が多い。
標準軌化側は通過列車ばかりだから安全上やむを得ない措置とはいえ、橋を渡らないとホームに行かれないのは不便だ。

無人駅だから、中にベンチがある以外は特に設備があるわけではなく、「駅舎」というより「もうひとつの待合室」といった感じか。
駅前には小型のポストと貸し駐車場があった。駐車場の看板は雪で見えなかったが、おそらく「パークアンドライド」と土地の有効利用のため、JRが貸しているのではないだろうか。この日は3台の車が駐まっていた。雪が積もったままの区画もあったから、空きがあるのだろうが、正直、こんな駅で少なくとも3人も駐車場を借りる人がいるのに驚いた。
自宅から駅まで自家用車で来て、ここに車を駐めて秋田市などへ通勤しているのだろう。不便な場所に住んでいながら、上手く公共交通機関を使っておられるのは素晴らしい。
ほかには電話ボックスもバス停もタクシー乗り場もない。

大張野が秘境駅に選定された理由の1つが、ご覧の通り、「駅前に1軒しか建物がない」こと。
かつてはお店を経営されていたようだが、今はタバコとダイドーの自販機(ポイントカード対応)があるだけ。


自転車置き場の看板には「秋田市」とあるが、秋田市内だという実感が湧かない。
駅前をL字型に細い道路が走っており、正面は上り坂、右側は線路沿いにまっすぐ延びている。正面は小高い落葉樹や杉の林になっていて、見通しは利かない。時折、林の向こうから車が走る音がするほかは何も聞こえない。
どの程度の“秘境”なのか、歩いてみよう。次回に続きます。
地方では自宅近くまで公共交通網を張り巡らすのは難しいでしょうから、駅やバス停までは車で来てもらうのが理想的ですね。
定期代負担や時間の制約があったり、面倒だったりと敬遠する人も多そうなので、市民の意識を変える必要もありそうですが。
こうして写真を見ると確かに秘境の雰囲気はあるけど。
駅前の駐車場利用者(つまり電車の利用者)がいるのを知って安心しました。
住民から見捨てられた駅でないのは、うれしかったです。次の記事で触れますが、きちんと利用者がいるようです。
むしろ五能線の海沿いの駅などの方が秘境っぽいと思うのですが、国道沿いなので基準を満たさないのでしょうね。