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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

秋田駅キオスク閉店

2012-03-05 23:11:01 | 秋田のいろいろ
駅の「キオスク」のお話。
本来のキオスクとは、ペルシャ語由来のトルコ語で、中東や地中海方面の庭園にある小さい小屋(「東屋」のようなもの)を指す言葉。欧米では、そのような小さな小屋を、路上でものを売るスタンドとして使うそうだ。
そんなことが日本に伝わって変化し、日本で「キオスク」といえば、駅構内にある売店を指すのは有名な話であり、迷うことはない。
さくらももこも「おどるポンポコリン」の2番でそう言っている。

駅のキオスクの起源は国鉄時代にさかのぼる。「財団法人鉄道弘済会」という組織があり、そこが駅の売店を経営していた。
※鉄道弘済会は保育所も運営しており、秋田市手形の「ひまわり保育園」もその1つ。時刻表を出版する「弘済出版社」もかつては系列だったが、現在は離れて交通新聞社となっている。

鉄道弘済会の売店は、1973年に「KIOSK(キヨスク)」という愛称がついた。「キ“オ”スク」でなく「キ“ヨ”スク」としたのは「清く」「気安く」の意味を持たせたためだそうだ。
1987年の国鉄分割民営化(JR発足)時には、キヨスクを運営する部門も、JR旅客各社ごとに鉄道弘済会とJRが出資した会社に分割され、各エリアでそれぞれの道を歩むことになった。
その後、各社とも、鉄道や生活を取り巻く時代の変化に合わせるべく、対面販売の売店の数は少なくなっている。地方の小さな駅(秋田で言えば土崎や新屋など)からは撤退し、大きな駅では別の名前(NEWDAYSやベルマートなど)のコンビニ型店舗に転換している。

JR東日本エリアでは、当初「東日本キヨスク」という企業がキヨスクを経営していた。
2006年には、鉄道弘済会が保有していた株式をJR東日本が買い取り、JR東日本の完全子会社となった。
そして、コンビニ型店舗の増加やエキナカ店舗の多様化に伴い、2007年には「JR東日本リテールネット」に社名変更。同時に、駅売店の名称を「キヨスク」から「キオスク」に変更した。
また、東日本では、「KIOSK」のロゴは国鉄時代とは別のものを使っている。
東日本以外の各社は、国鉄時代の「キヨスク」の呼称のままで、ロゴも同一であるのとは、一線を画している。


前置きが長くなったけど、2月末をもって、秋田駅からキオスクが消えた
※ここでいう「キオスク」とは、上記の通りJR東日本リテールネットが運営する、対面販売の売店という意味で、コンビニ型店舗は除きます。

実は、ここ何年か前から、秋田駅にはキオスクが1つしかなかった。
新幹線ホーム(11・12番線)には、キオスクは昔からなく、経営会社が異なる「トラベル秋田」とかいう対面型売店があった。しかし、それはいつの間にかコンビニ型の「NEWDAYSミニ」になっていた。
11番線側。小さく「NEWDAYS」の看板が出ている
在来線の2番線にはキオスクがあったが、だいぶ前に閉店している。もっと昔は他のホームにもあったような気がする(特急「たざわ」が出ていた5・6番線とか)。

最後のキオスクは、在来線の3・4番線にあった。
「3・4」が水色のサインだけど京浜東北線ではありませんよ
既に
もぬけの殻
商品は撤去されていたが、「KIOSK」の看板だけは残っていた。
東日本では、今はこういうロゴ
ちなみに、
東海キヨスクのロゴはこれ
国鉄時代のキヨスクの文字はこれと同じだったはず。
「K」をモチーフにした金色のロゴが輝いているが、これは国鉄時代もあっただろうか? どういう由緒なんだろう?

秋田駅のキオスク跡には、営業時間の表示が残っており「7:30~15:00」とあった。読み取れなかったが、下に小さく中休みの時間も書いてあった。
朝の通勤・通学客と、3・4番線から発車する列車が多い昼間の時間帯の特急や「リゾートしらかみ」の利用客向けのキオスクだったのだろう。

品揃えは一般的なキオスクで、お菓子や飲み物、新聞などだったと思う。
ペットボトルの飲料が自動販売機より数円安かった(150円が146円とか)ので、何度か買ったことがある。
シャッターの部分は冷蔵ケースだった
ちょっと離れた場所に冷蔵ケースがあり、冷たい飲料はそこから各自取り出して、窓へ持っていって購入する形。
駅弁はなく、おみやげもあまり多くなかったような気がする。Suica決済に対応。
窓が多い
キオスクって吹きさらしなので、秋田の冬は大変そうだ。
このキオスクは、首都圏などのキオスクと比べると、壁が多かったり開閉できる窓があったり、「雪国・寒冷地仕様」になっていたようだ。
 2種類のお知らせ
お客がいるのをあまり見たことがなかったし、在来線の客層や利用実態からしても、廃止はやむを得なかったかなという印象。

2番線のキオスク跡も見てみた。階段を降りた所にある鉄道警察隊の隣。
板で覆われている
白く塗ってあるが「KIOSK」のロゴが浮き上がっている。これは現行の1つ前のロゴ(分割後、JR東日本リテールネットになる前まで?)。
こちらは窓が残る


3・4番線のキオスクの閉店により、秋田駅からキオスクがなくなったわけだが、それだけでなく、秋田駅の在来線改札内から駅弁売場と自動販売機を除く物販施設がなくなったことにもなる。(そば屋は数年前に閉店【2017年3月9日追記】最後のそば屋閉店は、新幹線ホームの店舗で2009年6月とのこと。その後、2017年3月に改札の外に復活する形になった)
首都圏などでは「エキナカ」がもてはやされる一方、元祖エキナカとも言えるキオスクが、仮にも地方の拠点駅である秋田駅からなくなってしまったとは、皮肉なもの。

また、秋田県内(あるいはJR東日本秋田支社管内)から、改札口の中やホーム上にあるキオスクがなくなったことにもなると思われる。【7日訂正】大曲駅の新幹線ホームに、まだキオスクが残っていました。(東日本リテールネット公式サイトの店舗検索で確認)
※羽後本荘、東能代、田沢湖などにはキオスクがあるが、これらは改札の外(待合室など)にある。

秋田駅から立ち食いそばがなくなる時は、魁が記事にしていたが、キオスクがなくなることは記事にもならず、ひっそりと幕を下ろした。
秋田駅にキオスクがあったことを記憶にとどめておきたい

改めて、秋田駅でJRに乗る場合に利用できる売店類を挙げておく。(営業時間等に注意。もちろん、他に駅ビル・トピコや周辺の商店もあります)
新幹線改札内:ホーム上のNEWDAYSミニ
在来線改札内:NREの駅弁売店(中央改札入ってすぐ)、関根屋の駅弁売店(トピコ改札口)、関根屋の立ち売り
改札外:中央改札向かい(観光案内所隣)のNEWDAYS、中央改札脇のNEWDAYSミニ(駅弁の種類が豊富)
在来線特急では車内販売がない列車もあるので、改札を入る前に買い物を済ませた方がいいかもしれない。


ところで、
このホームのキヨスク
上の写真は、静岡市の清水駅。
清水駅は、ホームが1本(1面2線)しかない駅だが、乗車人員は1万1千人程度で秋田駅とほぼ同じ。
ホームには東海キヨスク経営のキヨスクがある。秋田駅3・4番線のよりはやや小さい感じだが、なかなか繁盛していた模様。
清水駅には、改札の外に東海キヨスクのコンビニ型小型店舗「ベルマート」があり、秋田駅のNEWDAYSミニに相当する。

清水駅には、東海キヨスク経営の店舗が2つあるわけだが、ほんとうの「キヨスク」があるのは、改札の中、すなわち駅の中。つまり、
♪いつだって(チャッチャッ)迷わない
「キヨスクは駅の中」
そんなの有名ぃ~

清水生まれのさくらももこが作った歌の世界が、清水駅に具現されている。

※その後、清水駅ホームのキヨスクは、2013年3月15日をもって閉店した。2014年2月の時点では、建物も撤去されていた。


※秋田駅キオスクの続きはこの記事の末尾の追記

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5 コメント

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キオスクの利用者でした (りお)
2012-03-08 21:52:30
7時50分発の奥羽線下りを毎日使っていて、朝ごはんを食べ損ねたときはここでパンやおにぎりを買い、電車内で食べていました。
3月になって急になくなってしまい、驚きました。
私はいつもメトロポリタン口を使っているので、中央改札の方は遠いのですよね…。かといってFORUS隣のローソンは混んでいますし。
これから朝寝坊したら、どうしましょう?(そもそも寝坊するなという話ですが)
3・4番ホームのキオスクは、今はもう早々と囲われて撤去作業が行われているみたいです。ちょっと寂しくもありますね。
返信する
そうでしたか (taic02)
2012-03-08 22:34:28
もう、撤去していますか。2番線と違って、位置的にジャマになりそうですものね。

朝のキオスクはそのような利用のしかたがありましたか。
朝の時間は貴重ですからね。それに急いでいると、西側から中央改札を入ってホームへ行くのが遠く長く感じるものですし。
駅弁の立ち売りみたいにメトロポリタン改札口前に出店を出すとかしてくれればいいのでしょうけど…
返信する
続報 (りお)
2012-03-10 01:54:35
3月9日の朝には、囲いが消え店舗も完全に撤去され、店舗跡地にはご丁寧にも舗装がされていました。
ベンチでも置くのかと思っていたら、更地でした。
新幹線ホームの使っていない売店は、片付けないのですかね?一緒に済ませてしまえば楽な気もしたのですが。

ちなみに明日は休みです。夜更かししても寝坊を気にしなくていい日です(笑)
返信する
驚きです (とびいり)
2012-03-10 22:33:09
秋田駅ほどの大規模駅でも、ホーム上のキオスクが撤退するとは驚きです。
かくいう自分は、よくこの売店を利用したものです。花善のとりめしが大好きなんですが、改札近辺にある売店で軒並み売り切れだった時、ここへ来れば意外に売れ残りがあったんですよ。ここ最近は置いていない場合が多かったようですが。
自分が乗車する電車の目の前に売店があれば、ついつい買ってしまう派としては、売店の撤退は残念でなりません。
返信する
コメントありがとうございます (taic02)
2012-03-10 23:41:21
>りおさん
もう跡形もないのですか…
後日別に何かが設置されるのかもしれませんけどね。
そうでした。記事中には書かなかったですが、新幹線ホームには、NEWDAYSとして使われているのと同じくらいの大きさの使われてない売店があるんですよね。(そば屋だった?)物置としてでも使ってるんでしょうかね。
来週以降、寝坊して朝食を食べ逃すことがないことをお祈りしております。

>とびいりさん
特急の本数が少ないし、駅周辺の店も自販機もあるから、ということなのでしょう。
このキオスクで駅弁、しかも花善のとりめしが置いてあったとは知りませんでした。(最近、18時頃に中央改札横のNEWDAYSで買いましたよ)
車内販売も衰退し、寝台列車も減り、列車の旅における飲食が変わるというか、廃れてしまいそうです。
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