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上北手小 給食と校舎

2019-03-12 23:24:22 | 秋田の地理
以前、学校給食の「共同調理場」を取り上げた。
給食センターのような独立した専用の調理場でなく、A校(調理校)の給食室で作った給食を、近隣のB校やC校(受配校)にも運んで供するやり形のこと。【14日補足】広義にはセンター方式をも「共同調理場」に含む場合があり、明確に区別するために狭義の共同調理場を「親子方式」と呼ぶこともある。
専用の給食センター方式と比べれば、運搬距離が短くて済むことや、おそらく所長や事務の職員が少なくて済むメリットがありそう。

秋田市の小中学校では、雄和と河辺は、合併前から給食センター方式。それ以外の旧・秋田市エリアでは、1983年頃から共同調理場方式を部分的に導入。
当初は、中央部や新興住宅地の比較的規模の大きい学校どうしで、小学校で作って近くの中学校へ運ぶものが多かった。
ここ10年ほどは、郊外の小規模校で自前で調理していたのを取りやめ、他校からの輸送に切り替えて、新たに共同調理場が設けられるものが増えている。最近は、業務や職員配置の効率化が求められ、児童生徒数も減少しているためだろう。

現在は10程度の共同調理場があり、それぞれ2~3校へ運ばれている。
来年度(2019年4月)からは、浜田小学校が、自校(単独)調理から勝平小学校からの輸送に切り替えられる。
浜田小は、勝平小よりも日新小や西中のほうが距離は近いが、単独調理で共同調理場ではない。勝平小は既に勝平中に提供しているので、その共同調理場体制に浜田小が加わるほうが、設備、人員や手続きがスムーズなのでしょう。

順序が逆だけど、今年度からは、東小学校から上北手小学校への輸送が始まっている。
東小はこれまでは単独調理で、共同調理場のグループが1つ増えたというか、新たに共同調理場が設立(形式上)されたことになる。
やはり直近の学校間ではないし、既に共同調理場である城東中(桜中へ)もあるが、キャパシティの問題だろうか。東小は以前より児童数が減っていて、余力があるはずなので。


さて、本題は上北手小学校。
古くからの秋田市民の思いこみでは、上北手小は「郊外の学校」の位置づけ。
だから、最近は児童数が減って、自前の給食室を廃止して…と考えてしまいそう。

ところでそうではなく、上北手小は児童数が増加している。今どきの秋田市内では異例。
※以下、2018年4月11日付秋田魁新報を参考にしています。
1985年以降の上北手小の児童数の推移は、1985年には140人程度、1998年の83人を底に増加に転じ、2005年頃には150人を突破。さらに2015年頃から加速して、2018年度は232人。
市内他校と比較すると、桜953、日新831、勝平646、御所野621を筆頭にもっと多い小学校は多いが、保戸野237、土崎210、明徳207、中通207など高齢化・人口減が激しい街中の小学校と同規模。

上北手(かみきたで、かみきたて)地区は、秋田市南東の山が迫る農村地帯。日赤病院や看護大はあるが、さほど宅地開発はされていない。
ところが、てっきり桜小学区だと思いこんでいた、2000年前後に分譲が始まった新興住宅地の山手台と南ケ丘が上北手小学校の通学区で、その子どもたちが入学しているのが原因。全校児童の9割近くが山手台と南ケ丘在住。
ちなみに、中学校の学区は、桜中学校かと思いきや城南中学校。


そして、この児童数増加が、共同調理場受配化の原因。
こんなに児童が増えてしまっては、教室が足りない。今年度は図工室を普通教室に転用するという、かつてのベビーブーム期のような事態になっている。
そこで、給食室を解体して、跡地に校舎を建てることにしたため。もちろん、給食調理の効率化の目的もなくはないはず。


さらに、もう少し事情がある。
秋田市教育委員会の予測では、上北手小の児童数は、来年度以降も増加を続け、2021年には303人(12学級)。しかし、2024年以降は減少傾向と見込む。
そして、全市的に、小中学校の適正配置(つまり統廃合)の検討も進められている。

そうしたことと、コストや工期も考慮して、給食室跡に建てられる校舎は「鉄骨造2階建てのプレハブ校舎(約300平方メートル)」。新聞の市教委のコメントで「仮設」としている。事業費8726万円。2019年春から使用。

秋田市立学校の校舎を話題にしたこともあったけれど、最近は児童生徒数減少と、耐震補強など校舎の長寿命化により、秋田市立学校の校舎が新しく建つことはほぼなかった。
仮設、部分増築とはいえ、今後もそうそうなさそうなので、見に行った。
【2020年11月26日追記】その後、日新小学校の校舎改築計画が出てきたようで、2021年度以降に調査が行われることになった。実現するにしても、完成はだいぶ先になるだろうけど。→この記事参照

道のりで秋田駅から6.5キロ、日赤病院から1キロ強の旧道沿い。
最近できた産直センター、児童館、かつては村役場だったであろうコミュニティセンター、郵便局、土地改良区が固まってあって、そこから若干離れたところ。
上北手小学校を見ること自体、おそらく初めて。
2018年8月

2019年2月
上の写真正面奥に太平山がそびえ、右側を猿田川が流れる。川幅は下流の仁井田辺りと変わらない。
校舎左側の木が茂っている丘の上が、大雑把に言って南ケ丘。この斜面を上り下りできる道があるようだ。山手台は、もうひと山向こうだから、歩いて通学するのは大変(南ケ丘を登り下りするか、ふもとを日赤病院付近まで遠回りするか)そう。

上北手小の校舎は、秋田市には珍しい屋根状のものがあり、さらにトンガリ屋根の塔もあり、いずれも赤い特徴的なもの。地域のシンボルとして親しまれているようだ。
1987年築とのこと。全体的な雰囲気、デザインに学校ごとの個性があって、ベランダ付きと当時建設の秋田市立学校の校舎の法則(?)通り。

グラウンドは敷地の南側。校舎の裏側の道へ回ってみる。
8月。校舎裏側。右がすぐ丘のふもと
校舎をぶった切って、更地になったばかりのような土地ができていた。
奥が体育館

2012年11月撮影Googleストリートビューより

Googleマップ航空写真より。左下が体育館
Googleマップで確認すると、校舎と一体化した平屋の給食室があったようだ。
丘ギリギリまで建物でなく、アスファルト舗装されていて、脇を抜けて体育館側へつながり駐車スペースにもなっていたようだ。

そして、今年2月。
外観は完成か?
給食室時代よりも丘側のスペースにも建物があって、おそらく車は通れなくなり、駐車スペースも校舎になった。
反対側・正面から遠目に見ると、
ちょっとだけ見える

再び裏側から
右手前のホームのような部分は、給食の輸送車が積み下ろしをする場所。

プレハブ、仮設というからもっと安っぽいものを想像していたが、外観はそれほどでもない。屋根は波打ったグレーなのが安っぽいけど、壁の色は既存校舎と揃えてあって違和感が少ない。
内部構造や居住性はどうなんだろう。そもそも北側の丘寄りで、あんまりいい環境ではなさそうでもあるし…


僕が小学生だった頃の秋田市中央部は、ベビーブームの児童増が過ぎ、かつ郊外へ流出するドーナツ化が進んでいた頃。
校舎は6学年計24学級で設計されていて、昔はそれでも足りなくて、今年度の上北手小のように特別教室も普通教室に使っていたと聞かされた。【18日追記】その後、新設校へ学区・児童を分離。
僕たちの頃は、18学級まで減って空き教室が生じていた。そして今は12学級(しかも少人数学級化)で足りてしまっている。
上北手小も、結局は同じ経過をたどっている途中のようだ。学区も街も、栄枯盛衰があるのは当然なのかもしれないけれど、持続可能なものにするのは難しいのか。

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6 コメント

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意外な所が人口増でして (あんなか)
2019-03-26 11:37:43
学校の意外な数字にびっくりです。
桜や日新、御所野の児童数が多いのは分かりますが
勝平が3番目に多いのはちょっと意外でした。
あと保戸野小学校ってそんなに児童数が少ないのですね。
本籍が保戸野八丁で保戸野小学校に通う可能性があった私にはちょいとショックな数字です。

勝平、割山と聞くと旧共済病院に勤めていた親戚の叔父の話しでシベリアを思い出すんですね。
「共済病院の周りはシベリアに凄く似ていた」って。
そのシベリアもクラスノヤルスクでは人口増で110万人くらいまで増え地下鉄計画もあるそうです。
シベリアには100万都市が3つも(ノボシビルスク、オムスク、クラスノヤルスク)あるなんて知らなかったです。
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地域の人口バランス (taic02)
2019-03-27 00:47:11
市内に住んでいても、各地域の人口バランスまでは分かりづらいですよね。
個人的には日新が多いのが意外です。勝平は、中学校のそばに第2勝平小を造る構想もあったそうですが、そこまではいかずに落ち着いたようです。
保戸野小は30年以上前に八橋小と泉小を分離してからは、減り続けているようです。土崎小も少ないですが、港北小と土崎南小を分離して、同様に減ってしまっているのでしょう。

先日、テレビで極寒のオイミャコンの暮らしぶりを見ましたが、その道中でシベリアの街が少し出ていました。
マイナス20度だかでしたが、それを感じさせないごく普通の外国の街に見えました。秋田の衰退は寒さのせいではないみたいです。
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Unknown (Unknown)
2019-03-31 21:59:56
日新の場合は、特学を強化しているというのも事情のひとつ。

特学が充実している小学校は、学区外通学が多い傾向があるので、その関係があると思っていいと思います。

中通は通級がありながらも、子どもは少ないというのが気になります。
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各校の人数 (taic02)
2019-03-31 23:57:34
単に人口分布だけが原因とは限らないわけですか。

明徳など手形のJRや官公庁の住宅からの通学がいそうですが、思ったほど多くない。
中通、保戸野も含めて中央部は、距離的に遠くない秋大附小へ流れやすいということもあるかもしれません。
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Unknown (Unknown)
2021-06-09 20:31:32
校舎内から児童室を追い出したくらいなので、相当な増加だったんだろうとは思います(児童室前身の「児童館」は、ここだけ。御所野と雄和の両「児童センター」は、事実上、児童室からの転換ではあるけど、上北手とは事情が異なっている。逆に、河辺児童室は、条例上規定された河辺中央児童館を廃止した上で、小学校内に児童室として事実上機能移設したもの)。

小学校に対応していない将軍野児童館の対応が将来的には気になるところですが、学校統合で、児童室は消滅する可能性(雄和地区の前例があるので)はあっても、児童館及び児童センターについては、将軍野をどうするかで変わってきそうな気もします。

ただ、桜小学校は現状のままだと、学区分割して全校児童を減らして、新設学校を作るか、下北手、
広面、東の各小学校に引き受けてもらうかはあってもいいかもしれないです。
桜小学校は、突出して肥大化しているので。
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激増 (taic02)
2021-06-09 23:35:37
数十年前では予測できない激増になり、敷地を拡大するのは容易ではないでしょうから、なくせるもの・移せるものはそのように対応したのでしょう。

桜は1学年5~6学級とギリギリなようです。
長期的見通しや通学の問題もあるのでしょうけれど、なんとかしてゆとりがあったほうがいいでしょうね。
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