たびびと

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画家が大成するために最も大切なこと 伊東の風

2010年01月17日 | こころの旅
先日、伊東のある温泉で2泊したときのことです。

ある画家の方とお話をする機会に恵まれました。
なかなかこのようなチャンスはありません。そこで今まで聞いてみたいなと思っていた一つの質問をしてみました。

湯船につかりながら、簡単な世間話をします。そして、その後、ずばり次の問いを発しました。

「素晴らしい絵を描くために最も大切なことは何ですか」

この方は少し考えると思っていました。しかし、この若い画家は間髪入れずに、ある重要なことを教えてくれました。

僕は予想していました。
「人格を向上させることです」
「成功した画家から学ぶことです」
等のありふれた回答をです。

しかし、彼は言ったのです。

「それは自分に表現することを許すことです」

「…」

僕は予想外の答えに少しびっくりし、沈黙してしまいました。そして頭の中で解釈しようとすると、丁寧に補足をしてくれました。

「自分で描きたい絵、理想とする絵があります。それを自由に表現することを自分に許すんです。

どんな画家も、必ず自分自身に限界というか、心の制限のようなものを持っています。ここまで描いていいのだろうかという自分の制約、疑問を外すことが最も大切なのです。

この心の限界、壁を少しでも外していくことが、より理想とする絵を描くことへの近道です。そのために日夜勉強を続けています」

思いもよらない返答でした。

大切なことは技術を向上することではありませんでした。
勿論ある程度の基本的なことは必要とのことです。
しかし、必要な技術というのは、心の制限が外れていくと、自然に身につけることができるといいます。

その夜、ふとんに横になり心の制限について考えていました。
素晴らしい絵を描くことだけではなく、このことは人生にもいえるのではないかと思ったのです。

自分の人生の限界を自分で作り出しているのではないのだろうか。自分に自分の夢を生きること、精神的、物質的な豊かさを謳歌することを許せているのだろうかと深く考えてみました。

フランスの詩人、哲学者である、ギョーム・アポリネールの言葉を思い出しました。

「端っこにおいで」
「できません。怖いんです」
「端っこにおいで」
「できません。落ちてしまいます!」
「端っこにおいで」
そこで彼らは行った。
彼は押した。
彼らは飛んだ。
行こう。そして一緒に飛ぼう。


僕は端っこに行けるだろうか…。

明日への希望が感じられる、静かな一夜を過ごすことができました。




最後まで読んでいただいてありがとうございます。
多くの方に楽しい旅をしていただければと思っています。
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