たびびと

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野宿の予感 ホンジュラスの風

2010年01月15日 | ホンジュラスの風
任地から今にも止まってしまいそうなおんぼろの地方バスを乗り継ぐこと数時間、コヨリートに到着した。

美しい海沿いの小さな町である。

そこで4日連続の講習会を行うことになっていた。初めての長期講習会であったので、何回もスペイン語のテキストを読みなおした。準備は万端だった。

初日のこと。
予定通り3時に終了し、講習会に参加した先生方と少し談話をする。多くの先生は、対岸にある小さな島アマパラ島に住んでいる。そこで、船着き場まで行き、出航を見守った。

数人乗りの簡素な小型ボートが見えなくなると、
「さて、僕も帰るか」
と思い、魚介類レストランが数件建ち並ぶ通りのベンチに腰を下ろした。
そこがバスの発車場所である。

近くにいた人に、
「次のバスは何時ですかね」
と質問をした。

すると、
「もう今日は来ないよ」
との返事。

ラテン人特有のジョークと思い、
「またまた冗談はやめてよ」
と再度聞き返す。

すると、
「本当だよ。最後の便は3時だよ」
と真顔で話す。

以前、道がよくわからず質問をしたことがある。
でも、正確に場所を教えてくれる人は数人に一人であった。道、時間がわからなくても、適当に答える人が多いことを経験で知っていた。

だから、その人からバス最終便の時刻のことを聞いたあと、
「ありがとう」
とその場はお礼を言って、他のレストランに入り同じ質問をした。

すると、どこでも同じことを言われる。質問を繰り返しながら、いつものように間違った情報であってほしいと強く願ったが、事実はくつがえらなかった。

周辺にホテルはなく、知り合いの先生方は、みな帰宅してしまっている。
そういえば、島ではなく、コヨリート周辺に住む先生方は、講習会終了後、バス停に向けて急いで会場を去っていったことを思い出した。

いざとなったら民家に泊めてもらうか、でも蚊がたくさんいる。蚊帳がないとマラリアなどの熱帯病にかかってしまう。

以前、原因不明の熱が一週間継続したことがある。現地の病院ではマラリアと診断された。後日
「誤診が多ので、血液プレパラートを保管してきちんとした私立病院で確認しておく必要がありますよ」
と日本人看護師の方から言われた。

そんなことを考えていると、名案がひらめいた。
レストランには何人かの客がおり、車が数台停車している。そうだ、ヒッチハイクを頼もう。下宿先と同じ地域から来ている人がいるに違いない。せめて、大通り(パンアメリカハイウェイ)まで乗せてもらえれば、そこからはバスかタクシーで自宅まで帰ることができる。

そこで、今度は一人ずつ、
「チョルテカの方から来ている人はいますか」
と聞いてまわった。

すると、ほどなく、
「私たちはチョルテカからよ」
との声を聞く。

「乗せていってもらえますか」
「座席は満員なので、後ろの荷台でよければスペースがあるけど」
というわけで、無事に自宅まで送り届けてもらえた。
荷台で話しをしていると、韓国人のボランティアグループで、貧困削減の支援をしているとのことを知った。

翌日このエピソードを講習会で語り、先生方の笑いの種になった。そしてお昼の時間を短縮し、終了を3時前に変更することにした。

それにしても、最終バスが3時とは。
バス会社の人はもう少し遅くまでお仕事をしてもよさそうなものである。

同じコヨリート地域の出張の帰り、バスが来なかったので、ミルクを運ぶトラックの荷台にヒッチハイクをして乗せてもらったことがある。

横になり、雲ひとつない青空を見ながらのんびりとした時間の流れを楽しんだ。そのトラックも古く、ゆっくりと車道を進んでいく。

そのときの、真っ赤な太陽の輝きが今でも目に焼きついている。




最後まで読んでいただいてありがとうございます。
多くの方に楽しい旅をしていただければと思っています。
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