Sketch of the Day

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ラシアンズ

2008-03-05 | Media


ミハエル・プレトニョフのベートーヴェン・ピアノ協奏曲2&4番(DG,2006)を買ってみた。「ドイツ音楽はドイツ系の演奏家によるべき」という尤もらしい発言をよく耳(目)にするが、ー好き嫌いの問題はさておきーそういった聴き方はクラシック音楽の楽しみを大いに減じている(と思う)。僕は、ドイツ音楽であれば、それが非ドイツ系の演奏家によってどのように奏でられるか、非ドイツ圏でどのように演奏されるか、またそのように演奏されるバックグラウンドとはいかなるものか、ということにも大いに興味が湧く。さて、プレトニョフによる第4協奏曲は、決してロマンティックな演奏ではない。緩急の自在さ、そして、カデンツァが見事だと思った。



一方、ヴァレリー・ゲルギエフ(指揮)によるラフ2(フィリップス,1993)は、本家本元、ロシア人指揮者とロシアの楽団によるロシア音楽の演奏である。だけれども、その演奏はどこかあっさりしており、ロシア的な濃厚さは感じられない。むろんゲルギエフの個性、芸術性に拠るところが大きいわけだが、じゃあなぜロシア人であるゲルギエフがそのような個性を持ち得たのか、などと考えはじめるともう愉しくてたまらない。また、20世紀も初頭になってラフマニノフという人は何故にこんなロマンティックな曲を書き続けたのか、という疑問もじつに知的好奇心をそそる。アヴァンギャルドな音楽をかく才能がなかったから、ではあるまい。

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