Sketch of the Day

This is Takeshi Kinoshita's weblog.

大字(おおあざ)の再評価と再生に向けて

2020-08-22 | Projects and Management

小地域とは国勢調査の最小単位ですが、概ね大字(おおあざ)に相当します。大字は明治の町村制施行前の旧村(藩政村)に由来する地域社会の単位で、おそらく江戸時代以前に遡る長い歴史を有するものと考えられます。国調は、こうした歴史的な地域社会のまとまりを単位として行われているのです。しかし松戸は土地区画整理事業や住居表示により、昔ながらの大字は分割されたり新しく字切りされるなどして、あまり原型を留めていないと考えられます。それでも市域縁辺部の大きな大字は旧村の範囲を少なからず継承していると思われます。大字はかつては自律性をもって連綿と再生産を続けてきましたが、都市化によりそうした持続可能性も弱まりつつあります。駅勢圏外に高齢化率の高い大字が広がっていますが、新京成沿線(常盤平など)はその限りではなく、駅前でも高齢化が進んでいます。しかし、この濃い赤色の地区にこそ、松戸の魅力がつまっていると思います。

近年、まちづくりや都市計画の世界では、小学校区という単位が注目されていますが、大字と小学校区の違いは、私の見立てでは、ラントシャフト(Landshcaft)とみなせるか否かです。つまり大字とは人々の生存を支える生産地(自然資源)に立脚した、資源管理(今風にいえばエリアマネジメント)の基礎単位ということができます。地域社会は、この資源管理の主体として生産地(環境)と分かち難く結びついている(いた)のです。大字とはまさに主体環境系であり、その意味でもラントシャフトということができます。また小学校区と人々との関わりは、お子さんのいる家庭やお子さんが学校に通っている間はそれなりにあるのですが、そうでなければあとは選挙の時ぐらいでしょうか。そこへきて小学校の統廃合が進んでいます。したがって地域社会のまとまりとしても、私は大字を再評価するべきであると思います。確かに都市部の大字では、資源管理はおろか地域社会のまとまりとしての性格も弱まっていますが、人口減少や立地適正化の動きの中で、潜在する自然資源の埃を払い、地域社会との新たな「生産的」関係を構築していくことができるのではないかと考えています。


千葉大学松戸キャンパスでの造園遺産見学会、現場セッション&ガーデンカフェ

2012-03-21 | Projects and Management
平成23年度日本造園学会関東支部大会(千葉大学松戸キャンパス、2011年10月15日~16日)のプログラムとして実施された千葉大学園芸学部創立100周年記念館周辺のランドスケープデザインコンペ作品展示、造園遺産見学会、現場セッション&ガーデンカフェについて、日本造園学会誌「ランドスケープ研究」に概要を報告しました。

詳しくは、池尻あき子、高橋輝昌、木下剛、小松秀次、霜田亮祐「支部活動から全国規模の活動へ、地域との連携の重要性を実感した支部大会~震災をテーマとした学生デザインワークショップと造園遺産の庭園を活用した現場セッションの試み~」(ランドスケープ研究、75(4),2012,pp.336-338)参照のこと。

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造園遺見学学会、現場セッション&ガーデンカフェの企画は以下のとおり

全体テーマ:ランドスケープ遺産の保全と新たな価値の創造

日時:平成23年10月16日(日)
場所:松戸市戸定歴史公園,千葉大学園芸学部

10:00~12:00 ランドスケープ遺産見学会:「戸定が丘緑の回廊」を歩く
戸定が丘緑の回廊は、千葉大学、松戸市民、松戸市役所の協働により発足したプロジェクトである。戸定が丘歴史公園(国重要文化財の戸定邸
、千葉県指定名勝の戸定邸庭園
、関東の富士見百景
、日本の歴史公園百選)と千葉大学園芸学部の近代庭園群(造園学会関東支部選定造園遺産)の価値の啓発をはかり、大学と地域の交流を図ることを目的に、松戸シティガイドの協力を得て平成16年からガイドツアーが行われている。今回のランドスケープ遺産見学会は、この戸定が丘緑の回廊を、当地の歴史と文化に詳しい専門家の案内により歩き、地域社会にとっての戸定が丘の意義について考えてみたい。

 ナビゲーター:齊藤 洋一 氏(松戸市戸定歴史館館長補佐・学芸員)
        石井 匡志 氏(アゴラ造園株式会社,日本造園学会関東支部幹事)
        
12:00~13:00 現場セッション&ガーデンカフェ:ランドスケープ遺産の選定が地域に与える意味
ランドスケープ遺産の価値をいかに特定し共有するかは、当該遺産の保全にとって重要な意味をもつ。特に、新たな遺産選定や危機遺産の場合、従来の評価基準を適用したり、学術的価値を特定するだけでは保全に至らないことも多い。従来の価値体系になじまない近代の遺産をどう評価するかという問題や、当該物件に対する地域社会の評価と所有者・管理者による価値認識とのズレなどはその典型といえよう。こうした問題を克服し、ランドスケープ遺産として保全してゆくには、多様な利害関係者が共有しうる価値を新たに発見または創造しなければならない局面も多いだろう。その際、ランドスケープ遺産に選定することが当該物件の保全上どのような意味をもつのか。以上の問題について、千葉大学園芸学部の移転問題に端を発した近代庭園群の保全活動を例に議論することを今回の現場セッションの目的とする。

 会場:千葉大学園芸学部フランス式庭園(雨天の場合:緑風会館2階生協食堂)
    軽食ケータリング(サンドイッチ、コーヒー&ドリンク、料金は別途徴収)
 モデレータ:
  菅 博嗣 氏(有限会社あいランドスケープ研究所)
 話題提供者:20分(@10分×2名)
  地域社会からみた戸定が丘:高橋 盛男 氏(松戸まちづくり交流室テント小屋,フリーランスライター)
  大学移転問題と造園遺産の選定:木下 剛 氏(千葉大学大学院園芸学研究科)
 自由討議:40分

千葉大学園芸学部創立100周年記念館周辺のランドスケープデザインコンペ表彰式+記念シンポジウム+展覧会

2010-11-02 | Projects and Management
松戸キャンパスのランドスケープ
~これからの100年に向けて



日 時:平成22年11月6日(土) 10:00~12:30
場 所:園芸学部事務棟2階第1会議室(シンポジウム)
    園芸学部A棟1階製図室(展覧会)
主 催:100周年記念事業会、同キャンパス修景計画等検討委員会
趣 旨:園芸学部創立100周年記念館周辺のランドスケープデザインコンペの結果をふまえ、これからの100年に向けた松戸キャンパスのランドスケープと園芸学のあり方について議論する。

プログラム:
総合司会 三谷 徹(キャンパス修景計画等検討委員会委員/千葉大学大学院園芸学研究科教授)

■ 表彰式
10:00~10:05 コンペ経過報告
  木下 剛(キャンパス修景計画等検討委員会委員/千葉大学大学院園芸学研究科准教授)
10:05~10:15 挨拶と講評
  中村 良夫(コンペ審査委員会委員長/東京工業大学名誉教授)
10:15~10:30 表彰式 受賞作はこちら

■ シンポジウム
10:30~12:30 パネルディスカッション
 10:30~10:40 最優秀賞作品解説
  根本 哲夫(コンペ最優秀案著作者代表/株式会社日建設計)
 10:40~12:25 パネルディスカッション
  ・ コンペ審査委員による作品講評
  ・ パネラーによるこれからの100年に向けたコメント
  ・ ランドスケープという考え方、技術について
  司  会:中村 良夫(コンペ審査委員会委員長/東京工業大学名誉教授)
  パネラー:上野 泰(コンペ審査委員会委員/ウエノデザイン)
       栗生 明(コンペ審査委員会委員/100周年記念館設計者)
       松崎 喬(コンペ審査委員会委員/キャンパス修景計画等検討委員会委員長)
       根本 哲夫(コンペ最優秀案著作者代表/株式会社日建設計)
12:25~12:30 閉会挨拶

午後には千葉大学園芸学部同窓会二葉会主催の企画「松戸キャンパスの造営史」講義&見学会(講師:藤井英二郎教授)も行われます。こちらもふるってご参加ください。詳細はこちら

■ 展覧会
11月6日(土)~11月7日(日)
園芸学部A棟1階製図室

【再掲】公園シンポジウムのお知らせ

2010-10-14 | Projects and Management
策定中の(仮称)足立区公園整備基本計画の公開シンポジウムが下記により開催されます。当方は本計画の策定委員会委員として、また同計画作業部会Aのアドバイザーとして立案に関わらせていただいております。パブリックコメント前の計画案を、公開シンポジウムという形で世に問い、様々な意見や要望、アイディアを集約する機会と位置づけられております。行政計画の認知度を高め、区民より広く意見を聴取し、参画機会を提供する手段としては、比較的新しい試みといえます。シンポジウムは公開・無料で行われますので、ぜひ多くの皆様の参加を希望いたします。当方は第1部のコメンテーターとして参加いたします。




公園シンポジウム
あなたの描く公園は何色ですか?
足立区の公園をあなたの手でもっとすてきな場所にする方法を一緒に考えてみませんか?


平成22年10月24日(日) 13:15~16:00(開場12:30)
足立区生涯学習センター講堂(学びピア21内)
定員180名(事前申込み不要) 参加無料



プログラム
第一部 区民とはぐくむこれからの公園
報告 (仮称)足立区公園整備基本計画の策定に向けて(足立区都市建設部みどりと公園推進室)
コメンテータ 木下 剛(千葉大学大学院園芸学研究科)

第二部 利用者がはぐくむ公園 活動報告
発表者    パークエンジェルの会
       親友会 花の駅六番
       淵之宮公園、花の会
コメンテータ 益井洋子(東京未来大学子ども心理学科教授)

第三部 パネルディスカッション “まちを元気にする公園の使い方”
コーディネータ 須磨佳津江(キャスター・ジャーナリスト)
パネリスト 第二部活動報告登壇者
      鈴木 誠(東京農業大学造園科学科教授)
      近藤やよい(足立区長)


お問い合わせ 足立区都市建設部みどりと公園推進室
       みどり推進課公共緑化担当
       TEL: 03-3880-5423(直通)
       e-mail: midori@city.adachi.tokyo.jp

第12回 日中韓国際ランドスケープ専門家会議・国際シンポジウム開催のお知らせ(第2報)

2010-10-03 | Projects and Management
今月末に横浜にて開催予定の表題の国際会議・シンポジウムの開催案内(第2報)が造園学会ホームページに掲載されましたのでお知らせします。奮ってのご参加をよろしくお願いいたします。詳しくは ☞ こちら

当方は、10月31日(日)の研究発表会セッション2:地域資産の保全と創出に向けた新たな制度・システム (13:00~15:00)にて、「スコットランドの歴史的土地利用アセスメントの意義と手法(原題:Meanings and the Method of Historic Land-use Assessment in Scotland)」と題して研究発表および討議を行います。

東アジアランドスケープ研究会のホームページをリニュアルしました

2010-10-02 | Projects and Management
東アジアのランドスケープ系研究者のネットワーク組織「東アジアランドスケープ研究会 Landscape East Asia Researchers Network (LEARN)」のホームページがリニュアルされました。花博協会より研究助成を受けている若手部会にご尽力いただきました。

研究会規約を含む研究会の案内、企画、会報(既報をダウンロード可)、メンバー、若手部会等の諸情報を随時追加、更新していきます。