Sketch of the Day

This is Takeshi Kinoshita's weblog.

スコティッシュ

2009-11-28 | Media
 

アッバド/ロンドン響84年録音の「スコッティシュ」。日本では「スコットランド」と表記されるけれど、正確には「スコティッシュ」。間違えないでほしいものだ。メンデルスゾーンが同曲の出だしの楽想を得たといわれるメアリ女王の旧居ホリルード宮殿(エディンバラ市)は、僕のフラットから歩いて10分もかからない距離にあったから、この曲のリアリティはすごくよく分かる(ような気がする)。

といってもメンデルスゾーンが訪れた1829年のホリルードは、荒れ果てた遺跡然としていたようだから、今日のキレイに整備された観光地とはかなり様子を異にしていたはず。でも昔の雰囲気はだいたい想像がつく。そういう想像をいとも簡単に許してくれるのがイギリスというところだ。だから今のホリルードを前にしてこの音楽を聴いても違和感はほとんどない。しかし、メンデルスゾーンが佇んだホリルードの目の前には、いまやスコットランド議会棟(設計は故エンリック・ミラーレス)が圧倒的な存在感を誇る。彼がこの建造環境をみたらなんというか。

一方、ヘブリディーズ諸島といえば、スカイ島には足を伸ばしたけれども、「フィンガルの洞窟」(スタファ島)にはついぞ訪れる機会に恵まれなかった。残念。

ところで、「スコッティシュ」にはかねてより「イタリア」がカップリングされることが多い。全くの個人的見解だが、これだけはどうか勘弁願いたい。「イタリア」が嫌いなのではない。両者は食い合わせが悪すぎると思うのだ。曲想も正反対。いやだからこそ組み合わせとしてはイイ、という考え方はまあ理解できる。だけど僕はダメだ。スコッティッシュの余韻に浸っていると、あの妙に軽快なイタリアの出だし。やめていただきたい。雰囲気まるつぶれ。

そのへんのことをよく分かっているレコードが出た。シャイー/ゲヴァントハウス管の新譜「メンデルスゾーン・ディスカヴァリーズ」。収録曲は、スコティッシュ(なんと1842年ロンドン稿)、スコティッシュ冒頭のスケッチ(1829年)、ピアノコンチェルト3番ホ短調(マルチェロ・ブファリーニ補完版)、序曲ヘブリディーズ諸島作品26フィンガルの洞窟(1830年)という凝ったつくり。シャイーはイタリアンだが、「イタリア」は入ってない。さすが。

演奏はまあまあ。

46th week

2009-11-25 | Japan
11/16(月) 午前中、(財)都市緑化技術開発機構機関誌「都市緑化技術」の編集委員会のため神田へ。「生物多様性特集号」の編集内容について。学部の授業「公園デザイン学」休講。午後、大学にもどり、千葉市パークマネージメントプラン共同研究に関する諸々の対応。周年記念事業が終わり、展示会場として使用されていた製図室の原状復帰。周年記念事業のおかげで床の張り替えと壁の塗り直し、空調設備が整った。こういうことでもないと決して予算がつかない大学の現状。

11/17(火) 午後、中野区役所の方がみえ、都計審に向けた警大等跡地中央部防災公園基本設計案の報告・意見交換ほか、公園再生・改修整備計画検討に関する打合せ。外部アドバイザーの依頼をいただく。打合せ終了後、卒論および修論ゼミ。東金八鶴湖景観再生プロジェクトに関する対応。翌日の授業の準備。夕食後、1号発熱。ついにインフルか? 2号はぜんぜん平気。

11/18(水) 午前中、千葉市パークマネージメントプラン共同研究に係る対応。午後、マスターコースの授業「広域緑地計画論」の3回目。ロンドン東部地域のグリーングリッドの計画について。テムズゲートウェイロンドンパートナーシップの手を離れ、GLAのロンドンプランに正式に位置づけらていよいよ事業が本格化。JABEE対応。松戸市役所のS氏より21世紀の森と広場の件で電話。1号、新型インフルと診断。どうなる2号!?

11/19(木) 午前中、学部の授業「造園図学A」の授業。東大の学生さんが資料の受け取りにみえる。午後、所用により(株)ライフ計画事務所の鍵山先生をお訪ねする。「都市緑化技術75号」掲載記事の初校。若葉会対応。千葉大学大学院園芸学研究科国際英語プログラムの集中講義で来日したバンバン先生(大学院時代の友人でインドネシアボゴール農業大教授)と生協にて遅いランチ。2号、いぜんとして元気。しかもトイレで初うんこ!

11/20(金) 午前中、研究室の資料整理および清掃。前任教員が残していった資料を大々的に捨てる。資料は増えるがスペースは減る一方なので、資料を捨てるしかないのである。午後、国際英語プログラムの授業(バンバンさんの担当)に顔を出す。インドネシアの緑化事情、ランドスケープ保全、ランドスケープ関連プロジェクトについて最新の情報をご紹介いただく。夕方、日本都市計画学会国際委員会のため一番町へ。2号、やはり元気。

11/21(土) 午前中、ツマのMacBook Proをセットアップ。ツマはiPhoneに続いて自宅用のパソコンもアップルに乗り換えた。ようやくOS Xのすばらしさがわかったようだ。ツマ曰く、アップルの最大の魅力はデフォルトで多言語対応なこと。これぞユニバーサルデザイン。午後、1号の学童保育所の父母会主催の餅つき大会の打合せも、市の勧告(インフル流行)により餅つき大会は延期。2号、大丈夫。

45th week

2009-11-25 | Japan
11/9(月) 午前中、学部の授業「公園デザイン学」の3回目。「欧米における公園・緑地の系譜 その1:ヨーロッパ」について。広場と公園の対照性、庭園と公園の連続性、王室庭園から公園へ:市民社会の象徴としての公園、都市開発、地域計画と連動する公園整備について、ドイツおよびイギリスの取り組みを検証。共同研究経費の会計処理。午後、院生の修論打合せ。

11/10(火) 午前中、さいたま水上公園改修基本計画検討委員会(第3回)に向けた事前打ち合わせの2回目。午後、卒論・修論ゼミ、研究室の清掃など。日本遺跡学会基調講演「イギリスにおける文化遺産の保全と地域コミュニティの役割」(『遺跡学研究』第6号掲載予定)の初校の提出(締め切りオーバー)。

11/11(水) 午前中、明日の「造園図学A」の授業の準備。留学希望者との面談。文化庁より某委員会委員就任依頼をいただいたのでお受けした。造園学会オンライン論文査読とりまとめに係る対応。午後、さいたま水上公園改修基本計画検討委員会(第3回)のため浦和へ。マスターコースの授業「広域緑地計画論」を休講。午後5時に委員会を終え、慌ただしく松戸に戻り、子ども達を迎えにいく。日中韓論文集刊行委員会を欠席。

11/12(木) 午前中、朝一で学部2年生の授業「造園図学A」。2次元表現基礎の課題(僕の担当回以前に手描きの演習を行ったバルセロナパビリオンを今度はCADで描く)。授業終了後、ゼミ旅行のため浜松へ。浜松市フラワーパークにて開催中の浜松モザイカルチャー世界博2009(浜名湖立体花博)を見学。夕方、浜松駅前で研究室OBのTさんを交え懇親会。いろいろとアテンドいただきありがとうございました。浜松泊。


浜松市フラワーパークにて

11/13(金) ゼミ旅行2日目。スズキ歴史館を見学。子ども達にお土産(ミニカー)でもと思ったが、グッズの類は一切売ってない。意外に商売っ気がないのね。見学後、浜松駅に戻り、駅前にてうな重の昼食。現地にて解散。幹事さんごくろうさま。浜松から直接、都市計画学会の開催される長岡に向かう予定であったが、事情により松戸に戻る。


スズキ歴史館にて

11/14(土) 都市計画学会のため長岡(長岡技術科学大学)へ。メンバーとして参加している東アジア・ランドスケープ研究会主催のワークショップ「日中韓における持続可能な土地利用管理を巡る現状と課題」および懇親会(長岡グランドホテル)に参加。長岡泊。

11/15(日) 都市計画学会2日目。学術研究論文発表会。昼、学術委員会(昼食付き)。午後、学術研究論文発表会にて韓国の歴史的景観保全に関する論文2題の座長。もう一泊くらいして長岡の街をゆっくりみたかったけれど、そうもいってられないので帰京。帰りの新幹線で死んだように眠る。

44th week

2009-11-25 | Japan
11/2(月) 学園祭「戸定祭」のため休講。午後、院生の修論打合せ。さいたま水上公園改修基本計画検討委員会(第3回)に向けた事前打ち合わせ。締切を過ぎて造園学会研究発表論文査読報告書の提出。

11/3(火) 文化の日。二男の七五三の準備など。

11/4(水) 午前中、科研申請書の修正。午後、マスターコースの授業「広域緑地計画論」の2回目。授業計画(下記)、内外における広域緑地計画の系譜と課題の整理、次週の内容説明等。

2009年度秋期 広域緑地計画論 授業計画(木下 剛)
Theory of Regional Green Space Planning / Takeshi KINOSHITA

10/28 ガイダンス Guidance
11/4 広域緑地計画の系譜 History of regional open space / green space planning
【地方自治体のスケール】 Local
11/11 東ロンドンのグリーングリッド1 East London Green Grid #1
11/18 東ロンドンのグリーングリッド2 East London Green Grid #2
11/25 アメリカのグリーンウェイ計画1 US’s Greenways planning #1
12/2 アメリカのグリーンウェイ計画2 US’s Greenways planning #2
【国土スケール】 National
12/9 オランダのエコロジカルネットワーク1 Netherland’s National Ecological Network (NEN) #1
12/16 オランダのエコロジカルネットワーク2 Netherland’s National Ecological Network (NEN) #2
【国際スケール】 International
1/6* 月曜日の授業指定日。月曜開講科目の授業がなければ、次週以降の内容を繰り上げる。
1/13 EUの自然保全区域ネットワーク1 EU-wide network of Nature Conservation Areas (Natura 2000) #1
1/20 EUの自然保全区域ネットワーク2 EU-wide network of Nature Conservation Areas (Natura 2000) #2
1/27 国境を越える世界遺産1 The World Heritage over the border #1
2/3  国境を越える世界遺産2 The World Heritage over the border #2

11/5(木) 午前中、学部の授業「造園図学A」。ベクターワークスによる2次元表現の基礎の2回目。午後、コース/学科会議にて緑地環境学プログラムのJABEE認定継続審査(実地審査)の結果と今後の検討課題等について報告。終了後、院生のD論打合せ。

11/6(金) 午前中,来週の授業の資料準備(公園デザイン学)。午後、流山市総合計画審議会(第10回)のため流山市役所へ。

11/7(土) 二男の七五三。松戸神社にお参り/お祓い後、記念撮影。


松戸神社(千葉県松戸市)にて

10月のガルテン

2009-11-08 | 借庭日記

今年は天候が不順だったせいか、虫害がひどかった(例えば、ハクサイなんぞは全滅!)
にもかかわらず、トンネルは今期はじめて。つーか、めんどくさいのよね。(10月4日)


庭でとれた野菜を庭で食う。うまい。それだけ。(10月11日)


共同畑「畑のがっこう」にて赤カブの収穫。(10月25日)
種蒔きと草刈りに一度参加したきりでいささか恐縮だったけれど、
収穫にはしっかり参加させていただいた。べつにサボっていたわけではないので。。。


クラブハウスにて即仕込み(赤カブ漬け)。


赤カブの収穫、漬け込みが終わるとお決まりの昼食。農村は豊かである。。。
炊き込みご飯とすでに漬かった赤カブ。
うまいとしかいいようがない。


昼食後、こんどは自分のニワの収穫。
今年のサツマイモは二株しか植えなかったのだけれど、とにかくデカいのができた


サトイモはあと一週間ほど待ってもよかったけれど、思い切って収穫。
よくできていた。ツマがさっそく豚汁に。


とれたての野菜をふんだんに使って温野菜炒め(ツマ作、10月31日)。
これが借庭、食庭の最大の目的。
農作業,庭いじり自体はたいして楽しくねーしな。
つーか、はっきりいってめんどくせーよ、オレは。

43rd week

2009-11-02 | Japan
10/26(月) 午前中、学部の授業「公園デザイン学」の2回目。公園と緑地、両概念の出自と意味、都市公園法、都市計画法における公園の定義について。授業終了後、東金八鶴湖ランドスケープ再生プロジェクトの今後の進め方について、グローバルキャネット社との打合せ。午後、学会対応(造園学会一般研究論文の査読とりまとめ作業など)、JABEE実地審査後の諸対応等々。

10/27(火) 午前中、明日から開講するマスターコースの授業「広域緑地計画論」の準備。午後、卒論および修論ゼミ。学務対応(シラバス、履修案内におけるJABEE関連情報の更新)。先の造園学会関東支部大会にて行った研究発表の内容に誤りがあった旨のご連絡をいただいた。関係の方々には深くお詫び申し上げます。

10/28(水) 午前中、荻野さんの告別式。こんなにも悲痛な葬儀は経験したことがない。午後、マスターコースの授業「広域緑地計画論」開講。地域デザイン/地域再生ツールとしてのグリーンスペース計画の意義について概説。

10/29(木) 千葉大学園芸学部創立百周年記念式典及び祝賀会。


千葉大学園芸学部フランス式庭園(沈床庭園)


千葉大学園芸学部フランス式庭園のフラワーベース(大正天皇御大典)

10/30(金) 午前中、造園学会の研究発表論文の査読。午後、千葉大学園芸学部創立百周年記念国際シンポジウム「園芸学の国際的発展と大学間交流の意義ーこれからの100年を展望するー」。夕方、シンポジウムを中座して、板橋区西台公園改修計画ワークショップ(第4回)へ。


千葉大学園芸学部創立百周年記念国際シンポジウムの様子

主だったパネラーは本学部修了または勤務経験のある外国人(韓国、タイ、中国、インドネシア)。それが功を奏したのだろう、実に有意義なシンポジウムで、涙が出そうになった。国際交流、とりわけアジア諸国とのそれについては、日本では「お世話をする」「サーヴィスをする」という感覚が強い(于 貴瑞 氏,中国科学院地理科学・資源研究所)。私見では50代以上のジェネレーションにとりわけその傾向が強い。しかし、国際交流というのはそれではダメで、双方向かつ互いに恩恵を得るものでなければならない(全 昶厚 氏,ソウル国立大)、という指摘。激しく同意。

「お世話をする/される」「サーヴィスをする/される」という関係は常に優劣意識(例えば先進国と発展途上国という認識)を伴う。そういう、一方通行的な交流・サービスというのは長続きしない。サービスをしている(と思い込んでいる)ほうの側が疲れてしまうからだ(実は勝手に疲れているのだが)。なぜ自分も恩恵に与ろうとしないのか。その意味で、国際交流は目的でなく手段でなければならない(于 貴瑞 氏)。そしてその恩恵の最大の享受者は自分自身でなければならない(全 昶厚 氏)、と。

それにしてもなぜ日本人の学生が殆ど出席していなかったのか。また、日本からアジア諸国に留学しようとする学生がこれほどまでに少ないのか。残念だ。むろん我々教員の責任なのだが。。。あともう一つ、いま日本で働いている外国人が今回のシンポでは全く埒外に置かれていた(無視されていた)。有意義なシンポであっただけにこの点は頗る痛い。そのことを裏付けるかのように、ソウル大の全氏は、留学生に対する日本での(大学側の)就職支援が手ぬるいことを暗に示唆。

日本で学んだ留学生が日本で就職するということこそ、真の国際交流の果実といえるはずだが、日本の大学教員の多くは、留学生は卒業後、母国に帰って大活躍をするという進路イメージをアプリオリに前提としている。それも結構なことであるが、せっかく育てた優秀な外国人を日本のために日本で使う(働いていただく)。そのほうが得策であり国益に適う、という発想がなぜできないのか。このへんにも一方通行の国際交流という、この国の限界が見えかくれする。