Sketch of the Day

This is Takeshi Kinoshita's weblog.

ロンドンオリンピックが残したもの:グリーンインフラの戦略ネットワークの形成を通じた地域の再生

2015-11-07 | Review Articles
日本造園学会誌「ランドスケープ研究」VOL.79 NO.3 特集・オリンピックのランドスケープ(Oct., 2015 ISSN 1340-8984)に標題の論説を寄稿しました(pp.213-215)

1.手段としてのオリンピック
2.リー川下流域の地域再生
(1)ロンドン五輪の戦略的意義
(2)五輪後に照準したオリンピックパークのデザイン
3.グリーンインフラの戦略ネットワークの形成
(1)経済的・社会的な利益を支えるグリーンな環境
(2)気象変動への適応
(3)グリーントラベルの推進
4.ランドスケープイニシャティブ

  

レジリエントな地域社会の形成とグリーンインフラストラクチャーの意義

2013-12-25 | Review Articles
日本都市計画学会誌「都市計画」62(6), 「特集:地理空間情報とビッグデータ活用の可能性 : レジリエントな国土・地域社会の構築」に表題の論説(pp.38-43)を寄稿しました。CiNii

レジリエントな地域社会の形成とグリーンインフラストラクチャーの意義
The Making of Resilient Local Community and the Significance of Green Infrastructure

木下 剛*・芮 京禄*
Kinoshita, Takeshi* and YE, Kyungrock*

* 千葉大学大学院園芸学研究科 Graduate School of Horticulture, Chiba University

1.はじめに
2.レジリエンスをもたらす空間計画と土地利用の転換
3.グリーンインフラストラクチャーの概念と計画
4.持続的生存・生産・生活単位としての「千年村」
5.おわりに

エディンバラおよびロジアン貧困地域における緑地環境の再生と管理

2012-03-21 | Review Articles
2011年8月26日~9月2日のイギリス出張(科学研究費補助金基盤研究(C):英国におけるグリーンスペースの概念と持続可能な地域再生の手法に関する研究)の一部について、都市計画学会誌(295号、Vol.61/No.1, 25 Feb.2012)に寄稿しました。

エディンバラ・ロジアン・グリーンスペース・トラストによる、貧困地域でのグリーンスペースの再生を通じた人々の健康と福祉の向上を意図した活動について、概略を紹介しました。

スコットランドの計画行政、環境政策にみるゴルフ場の位置づけ

2011-09-28 | Review Articles
日本造園学会誌「ランドスケープ研究」第75巻第1号(2011年4月)特集:「都市近郊におけるゴルフ場の生物多様性における役割」に表題の記事を執筆させていただきました。スコットランドにおける自然遺産、文化遺産としてのゴルフ場の位置づけについて、主に制度論、政策論的な観点より、その概要を捉えてみました。

具体的には、計画行政からの取り組みとして、スコットランド政府の政策指針文書であるPlanning Advice Note 43(PAN43): Golf Courses and Associated Developmentや各地のディベロップメントプラン、オープンスペース戦略による取り組み紹介。環境政策としては、生物多様性全国戦略と地域戦略(アクションプラン)によるアプローチ。個別の開発及びマネージメントに対する取り扱いとして、Scottish Golf Environment Groupe(SGEG)やセントアンドリューズ・オールドコースでの生物多様性保全、ミティゲーションの取り組みについて触れました。

ゴルフ場の扱いにみる彼我の違いに驚かされるばかりです。

英国におけるランドスケープ特性評価の理論と手法

2011-04-11 | Review Articles
都市計画報告集 No. 9-4(日本都市計画学会,2011年2月)に表題の研究報告を共同執筆しました。

いぇ 京禄 1), 木下 剛 2)

1) 国土技術政策総合研究所建設経済研究室研究官
2) 千葉大学大学院園芸学研究科准教授

Abstract:本稿は、欧州ランドスケープ条約が掲げる主要施策の一つである、ランドスケープの特定、評価、質目標設定のプロセスを先進的に実施している英国のランドスケープ特性評価の理論と手法を明らかにすることを目的としている。その結果、(1)ランドスケープ特性評価は、価値判断とは分離されたランドスケープの基礎目録であること、(2)ランドスケープは、独自のタイプとエリアを持つこと、(3)ランドスケープは目指すべき固有の質目標があること、(4)ランドスケープ政策は関連政策へ波及して行くこと、(5)日本の土地利用評価の手法としても応用の可能性を探る必要があることを把握した。

Keywords: ランドスケープ特性評価, 欧州ランドスケープ条約, 土地分級, 土地利用計画

抄録およびPDFファイルのダウンロードはこちら

英国におけるランドスケープ遺産の保全とインベントリーづくり

2011-04-11 | Review Articles
日本造園学会誌「ランドスケープ研究」第74巻第4号(2011年2月)特集:ランドスケープ遺産インベントリーづくりの現在ー地域活動から全国展開に向けた現状と課題ーに表題の記事を執筆させていただきました。英国におけるランドスケープ遺産の保全及びインベントリーづくりの枠組みについて概観し、日本での類似の取り組みに資する点を導き出しました。以下、特集の目次です。

【趣旨】編集委員会(粟野・木下):ランドスケープ遺産インベントリーづくりの現在─地域活動から全国展開に向けた取り組み─・・・267

【総論1】平澤 毅 氏(奈良文化財研究所):造園学が取り組むべき「遺産」について・・・268
【総論2】赤坂 信 氏(千葉大学):ランドスケープ遺産の特質とインベントリーの意味・・・271
【総論3】亀山 章 氏(NPO法人東京セントラルパーク):わが国の自然的ランドスケープ遺産の特質と評価の視点・・・274
【総論4】上野 泰 氏(ウエノデザイン):近代ランドスケープ遺産と「モダニズム」・・・277
【総論5:学会の取り組みとの対比事例1】中島 義晴 氏(文化庁):文化庁による近代の庭園・公園等の保護について・・・281
【総論6:国内の取り組みとの対比事例2】木下 剛 氏(千葉大学):英国におけるランドスケープ遺産の保全とインベントリーづくり・・・285

【事例報告1】笠 康三郎 氏((有)緑化計画):北海道のランドスケープ遺産の収集と,『北の造園遺産』認定の取り組みについて・・・288
【事例報告2】温井 亨 氏(東北公益文科大学):東北地方のランドスケープ遺産インベントリーづくり・・・291
【事例報告3】池尻 あき子 氏((株)プレック研究所):関東地域のランドスケープ遺産─インベントリーづくりの取組と遺産事例・・・294
【事例報告4】佐々木 邦博 氏(信州大学):中部のランドスケープ遺産─インベントリーづくりの取り組みと遺産事例・・・298
【事例報告5】若生 謙二 氏(大阪芸術大学):ランドスケープ遺産─関西支部での取り組みについて・・・301
【事例報告6】徳永 哲 氏((株)エスティ環境設計研究所):九州・沖縄のランドスケープ遺産─インベントリーづくりの取り組み・・・306

【資料】池尻 あき子 氏・粟野 隆 氏:全国に所在する「ランドスケープ遺産」の把握と一覧作成のための事例募集について(中間報告)・・・309

リビング・ランドスケープ:欧州ランドスケープ条約の研究展望

2011-03-05 | Review Articles
表題の学術会議について、日本都市計画学会誌Vol.60/No.1(通巻289号)に報告しました。

2010年10月18日、19日の二日間、フローレンス大学(イタリア)にて表題の学術会議が開催された。この会議はUNISCAPEと呼ばれる、欧州ランドスケープ条約(The European Landscape Convention、以下ELC)実現のための大学ネットワークと、Landscape Europe(ランドスケープに関する研究機関の国際ネットワーク)が、ELC発効10周年を記念して実施したものである。10周年という節目の年にこの会議がフローレンスで行われたのは、ELC(別名「フローレンス条約」と呼ばれる)が、2000年に欧州評議会(The Council of Europe)によってこの地で採択されたことによる。筆者は科研「欧州ランドスケープ条約が各地域の景観・観光政策に及ぼす効果発現の実証的研究」研究代表者:芮京禄(国土交通省国土技術政策総合研究所)の海外調査の一環でこの会議に参加した。

会議は、学術シンポジウムと論文発表会から構成され、会議の期間中、ポスター展示も催された。会議初日は、欧州評議会からのメッセージ、地元トスカーナ地方政府の空間計画局長によるランドスケープ政策の紹介の後、UNISCAPE代表による開会挨拶が行われた。続いて、フローレンス大学のGian Franco Cartei氏から「ELC実施の法的展望」、Landscape Europe代表のMarc Antrop氏から「ELCの研究展望」と題して開会講演が行われた。続いて、ブダペストクラブ代表のErvin Laszlo氏による「人間と生きている自然」、ノルウェー大学のMichael Jones氏より「効果的参加の手法」と題して基調講演が行われた。午後は、2会場(「認識」及び「ランドスケープの同定と類型」をテーマとするパラレルセッション)に分かれ、各セッション5名のスピーカが研究発表を行った。二日目は、「ランドスケープの政策効果」と「参加」をテーマとするパラレルセッションの後、二日間にわたるセッションの結果と提案を持ち寄り全体討議が行われた。最後に、エヴォラ大学のTeresa Pinto Correia氏から「ELCの挑戦:協同研究戦略に向けて」と題して総括講演があり、二日間の全日程を終えた。

会議では、ELCの実現に科学研究がいかに貢献してきたか、欧州のランドスケープの将来を考えるうえで主たるトピックスは何かについて、欧州各国からから集まった研究者らによって活発な議論が戦わされた。ELC10周年と銘打った会議ではあるが、ELCに直結する話題というよりはむしろ、「急速に変化する世界におけるランドスケープ研究への統合的、学際的アプローチを開発するために、ランドスケープに関わる科学的で文化的な側面を深く議論する機会」(会議のリーフレットに記載)と捉えてテーマ設定されている講演や研究論文が目立ったのが印象的だった。また、造園、建築はもとより、経済学や政治学、法学、考古学等々、人文科学系の研究者が一堂に会してランドスケープを巡り議論する状況は、日本の同種の会議では想像しがたく、頗る刺激的であった。

欧州評議会の「欧州ランドスケープ条約」の紹介ページ:
http://www.coe.int/t/dg4/cultureheritage/heritage/landscape/default_en.asp
UNISCAPEウェブサイト http://www.uniscape.eu/
Landscape Europe ウェブサイト http://www.landscape-europe.net/

フローレンス大学での会議風景