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壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

世の中は

2011年10月27日 21時18分12秒 | Weblog
          人に米をもらうて
        世の中は稲刈る頃か草の庵     芭 蕉

 読む人によっては、いやみな作と感じるかも知れない。横から眺めて、隠棲をひとり高しとする気持ととると、「世の中は」のひびきが、いやみな感じをうながすようである。
 しかし、収穫の秋に入ったことにはっと気づいた、その自然な驚きの気持のあらわれととると、かなり味わい深い作である。

 前書の「人に米をもらうて」というのは、門人に新米を贈られたのを言ったものであろう。

 季語は「稲刈る」で秋。

    「門人に新米をもらったが、草の庵にこもっていて、風雅に明け暮れして
     いるうちに、いつの間にか世の中は、稲刈る頃になっていたのだなあ」


      母のとぐ掌を漏る光り今年米     季 己