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壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

菊の花

2011年10月06日 21時05分48秒 | Weblog
        稲扱の姥もめでたし菊の花     芭 蕉

 『笈日記』などによれば、近江国平田の明照寺(めんしょうじ)に門弟の李由をたずねる途中、服部某に案内されて、付近の北村某の家を訪ね、宿したときの作である。
 その家の庭先に咲く菊と、その傍らで稲扱(いねこき)をするすこやかな老媼とを結びつけて、挨拶の意をこめて詠んだものである。
 菊の花は、例の、南陽県の甘谷の下流の水を汲むと長寿を保つ、と言う中国の故事もあって、めでたい花とされる。菊と長寿を結びつけた発想は、俳諧としてはむしろ陳腐なものである。けれども、この句では長寿延齢の縁が一句の裏にひそめられてしまって、菊そのものが旧家の庭先の生きた姿としてとらえられている。

 「稲扱」・「菊の花」ともに秋の季語。ここでは「菊の花」が主としてはたらき、菊そのものの感じを生かしている。

    「庭先には齢(よわい)を延べるという菊の花が咲き匂い、それにふさわしく
     稲扱の老媼(おうな)がすこやかに働いていることよ」


      他言せぬ菊人形の遠目かな     季 己