壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

いづく時雨

2011年10月13日 22時30分16秒 | Weblog
        いづく時雨傘を手にさげて帰る僧     桃 青

 雫が垂れそうに濡れた僧の傘から想像して、「いづく時雨」と表現したあたりには、当時の口ぶりがわずかにうかがわれる。僧の姿からわびしい時雨の風情を描き出したところには、すでに蕉風的なものへの志向が現れはじめている。

 「いづく時雨」は、どこで時雨に遭ったものであろうか、の意。

 季語は「時雨」で冬。

    「このあたりは一向に時雨れていないが、いったいどこで時雨に遭った
     のであろうか。あの僧は濡れた傘を手にさげて帰って行くが」


      秋風に背押されて遠筑波     季 己

        ※背(そびら)=せなか