壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

里の秋

2011年10月03日 23時03分00秒 | Weblog
          田 家
        刈りかけし田面の鶴や里の秋     芭 蕉

 「田家(でんか)」という前書が句の気持をものがたっている。
 人々をおそれもせず、刈りかけた田面にあさる鶴のゆったりした姿で、田家の秋をつかんでいるのである。
 この句、『鹿島紀行』にのみ見え、貞享四年(1687)八月の作。

 季語は「秋」で、当然、秋。「里の秋」は「神の秋」と同じ用い方。

    「刈りかけてひっそりした田の面に、一羽の鶴が降り立ち、しずかに餌を
     ついばんでいる。まことに秋色あふれた田家の景であることよ」


      人生に落丁いくつ秋の雲     季 己