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壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

雲をりをり

2011年10月26日 20時39分52秒 | Weblog
        雲をりをり人を休める月見かな     芭 蕉

 月の清澄なようすを裏からたたえたもの。
 西行の、
        なかなかに 時々雲の かゝるこそ
          月をもてなす かぎりなりけり
を心に置いての句であるが、その踏まえ方は、詞句を取るという域をはるかに出て、月を見るにあたっての情趣を取り入れている。
 諸本によっては、中七を「人を休むる」とするが、語法的には、この「休むる」の方がよい。

 季語は「月見」で秋。型にはまってはいるが、やわらかみを生み出しているところが注目される。

    「今宵の月は清光限りなく、見入っているうちに心奪われて、われを
     忘れるくらいである。しかし、時おり雲が過ぎて、その雲が月を隠
     している間は、われにかえって、ほっとすることだ」


      木枯のゆくえ暮色の六本木     季 己