壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

『去来抄』6 凩(こがらし)

2011年10月28日 20時59分50秒 | Weblog
        凩に二日の月のふきちるか     荷けい
        凩の地にもおとさぬしぐれ哉     去 来


 この二句について、わたし去来は、
     「荷けいさんの句は、二日の月というものをもって来て、それが吹き
      散るかと、才気の生き生きと出ているところなど、わたしの句より
      ずっとすぐれていると思います」
と言った。
 先師芭蕉先生は、
     「荷けいの句は、二日の月という素材の珍しさで、句を仕立てている。
      その二日の月という物の名を除くと、それほどの句ではない。お前の
      句は、これといって取り立てて言うような素材をもってきて作ったと
      も見えない。けれども、全体としては味わいがあってよい句である。
      ただ、地迄と限定した迄という字が、気品を落としている」
と言われて、「地にも」と直された。
 初めの句形は、「地迄おとさぬ」であった。


      筑波嶺の白雲うすし暮の秋     季 己