壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

絶頂

2011年06月14日 22時52分04秒 | Weblog
        絶頂の城たのもしき若葉かな     蕪 村

 「絶頂」という漢語の使用の、斬新さにまず驚かされる。当時の詩歌にあっては、「いただき」が普通であったろう。これは一時(いっとき)の好事的思いつきではない。その証拠に、「絶頂」は、日常語と化した今日においても、この句中にあって十分の働きを維持している。
 「絶頂」という語には、仰ぎ見る程に高い感じがあり、何よりもたくましい若葉の気勢と一致している。

 季語は「若葉」で夏。

    「全山若葉のかたまりに埋もれた頂上に、白い石垣を根深く沈めて城砦が
     一つ、百万の大軍でも何でも来たれ、と八方を睥睨している。いかにも
     盛んな心丈夫な景観である」


      當麻寺に當麻曼荼羅すずしかり     季 己