4月26日に行われた連合のメーダー中央大会に、安倍晋三首相が来賓として出席、今年の春闘の賃上げについて誇らしげに演説をしたようだ。自民党の首相がメーデーに出席するのは小泉純一郎首相以来という。
官制春闘と揶揄されながら、よく連合が安倍首相を招いたと、世の中の変わり方を実感する。もっとも、最近の連合は、民間大企業労組が中心で、これらの組合は労使一体型が多く、会社と組合の考え方にほとんど変わりがない。つまり会社あっての組合で、会社が傾いたらどうしようもないと言う考え方の組合ばかりだ。
そのことを如実に表しているのが電力の組合で、同労組が中心になっている連合東京は、先の東京都知事選挙では、原発再稼働に反対して立候補した細川護煕氏や宇都宮健次氏に対抗し、自民党が支持した舛添要一氏を擁立した。
このように連合傘下の中では、憲法改正や集団的自衛権行使容認、武器輸出三原則撤廃などでも、政府・自民党の方針に同調する組合が多数ある。もっとも、一応、連合が支持している民主党の中でも、同じような考え方を持つ議員が相当いるので、その点では、民主党の一部と連合組織の一部では意気投合している。
従って、メーデーに安倍氏が参加することは、必然性があるかも知れないが、安倍氏の思惑は、メーデーに出て、アベノミクスで約束した賃金引上げが達成できたと大いにPRすることが目的だったのではないか。
しかしながら、まだ春闘の結果が出ていないものの、本当に安倍首相が誇示するような賃上げがあったのかというと、どうも疑わしい。
先に静岡における中間的なまとめでは、昨年に比べアップ額が低いという結果になったようだ。これが静岡だけの特徴なのかまだ分からないが、全国的に見ても、昨年に比べてそんなに増えているとは思えない。
春闘で先行した大企業の結果がそんな状況なのだから、これから集約される中小企業の結果は、押して知るべしだろう。
労働者の中で大きなウエイトを占める国家公務員や地方公務員は、ベースアップはないのだから、これに定期昇給さえおぼつかない中小零細企業、非正社員などを加えると、果たして例年に比べ、どの程度賃金が増えたのか。安倍首相が、労働者の祭典メーデーで高らかにぶち上げた賃金アップは、本当だったのか、その結果はそう遠くない時期に明らかになるが。「関連:2月6日」