親子三代100年耕して有機野菜を全国に送り届けている成田農民の農地を年内にも強制収用する、というニュース
親子三代100年耕してきた農地、有機野菜を全国の消費者に送り届けているその農地を成田空港会社が年内にも強制収用する、というニュースです。
「え?もう強制収用はやらないことになっていたんじゃないの?なぜ?」と疑問の声があがっています。
(12月24日東京新聞の記事)
国も県も空港公団(成田空港会社の前身)も「強制収用についてお詫びする。二度とやらない」と約束したはずなのに
50年前に成田農民大木よねさんを機動隊が力ずくで引きずり出し、住む家を破壊した「強制収用」。髪の毛を振り乱して抵抗したよねさんの姿が全国に報道されました。
あまりに非道なこの「国家暴力」について、その後国も県も空港公団(成田空港会社の前身)も謝罪し、「二度とやらない」と約束しました。
(2015年千葉日報の記事より)
43年前の代執行「解決」へ合意 千葉県が一定の結果責任を表明 成田空港建設
民家の強制収用は、よねさん宅が成田空港建設に絡む唯一のケース。よねさんに対する行政代執行について、県は1992年の成田空港問題シンポジウムで当時の副知事が事実上謝罪しているが、英政さんは参加していなかった。今回、県は「法で定める手続き(行政代執行)を進める中で、小泉よねさんに対して非常につらい思いをさせることになったことについて、まことに申し訳ない」とあらためて謝罪した。
NAAと国は、01年に最高裁で和解した訴訟で、よねさんへの強制収用を急いだことなどについて、英政さん(よねさんの養子)に謝罪している。
NAAの夏目誠社長は「誠意をもって、納得いただける解決を図りたい」とのコメントを出した。
耕作者でない「不在地主」成田空港会社が農地を取得することは農地法で禁じられていたのに…
戦前の苛酷な小作人制度の反省から、戦後は、そこに住んでもいない者が農地を買って「不在地主」になることはできなくなりました。
親子三代100年農地を耕してきた農民(市東さん)の「耕作権」は法律で保証されてきたのです。
ところが成田空港会社は市東さんの耕作地の名目上の地主から「内緒で(市東さんに隠して)」農地を買い、「不在地主」になる、という、農地法で禁じられていることをやったのです。
しかし「成田空港については、法律より国策が優先」という「国策裁判」によって、今その100年耕した農地が、年内にも「強制収用」されようとしているのです。
ビルマからの復員が遅れて「農地所有者」になれなかった市東さん
大正時代から耕していたから、戦後の「農地解放」で当然農地は市東家のものになるはずでした。ところがインパール作戦に参加し、ビルマ(現ミャンマー)に抑留されていた市東東市さん(現在畑を耕している市東孝雄さんの父)の復員が遅れ、農地所有者になる手続きができなかったため市東さんは戦後も「小作人」として畑を耕し続けることになりました。
しかし戦後の「農地法」で耕作者の権利は強く守られてきました。
それなのに、「不在地主」成田空港会社が農地を今奪い取ろうとしている。
しかも政府は国会で「成田空港を軍事使用する」と表明している。
戦争のために戦後も農地を取得できず、今度も成田空港を「軍事利用」するため100年耕してきた農地を「強制収用」する、犠牲になれ、という国家。
何度戦争の犠牲になればいいのでしょうか。
今上映中の「ラーゲリより愛を込めて」という映画
〈あらすじ〉
第二次大戦後の1945年・シベリア。死に逝く者が続出する地獄の強制収容所(ラーゲリ)に、その男・山本幡男は居た。身に覚えのないスパイ容疑でラーゲリに収容された山本は、日本にいる妻・モジミや4人の子どもと交わした再会の約束を胸に、一緒に過ごせる日々が訪れることを信じ、耐えた。
劣悪な環境下では、日本人同士の争いも絶えなかった。戦争で心の傷を負う者、旧日本軍の階級を振りかざし続ける者、過酷な状況下で変わり果ててしまう者…。山本は彼らを分け隔てなく励まし続けた。更に、青年たちには学問を教え、希望を唱え続けた。そんな彼の仲間想いの行動と信念は、凍っていた捕虜たちの心を次第に溶かしていく。
…8年が経ち、山本に妻からの葉書が届く。厳しい検閲をくぐり抜けたその葉書には「あなたの帰りを待っています」と。山本は涙を流さずにはいられなかった。 誰もが帰国(ダモイ)の日が近づいていると感じていたが、その頃には彼の体は病魔に侵されていた…。体はみるみる衰えていくが、愛する妻との再会を決してあきらめない山本。そんな彼を慕うラーゲリの仲間たちは、厳しい監視下にありながらも、山本の想いを叶えようと思いもよらぬ行動に出る。そしてモジミに訪れる奇跡とは—
戦争さえなければ…この映画の主人公と重なる成田農民、市東さん一家の歴史
実話に基づく映画、映画館ではあちこちですすり泣く声が聞こえました。私も思わず泣いてしまいました。
戦争さえなければ親子仲良く暮らせたのに、戦争のために引きさかれ、命を落とした多くの人たち。
このシベリア抑留の映画を観て、ビルマに抑留された市東東市さんのことを思い出しました。戦争さえなければ代々耕してきた農地を自分のものにすることができたのに…そして今また「軍事利用」のために農地を奪われようとしている。何たる理不尽。
「敵基地攻撃だ」「アメリカからガラクタ兵器を爆買いし、国民には増税だ」という今の政治に改めて怒りが湧いてきます。
今成田では、全国からかけつけた人たちが寒い中座り込みを続け、市東さんの農地を守ろうとしています
(空港反対同盟のツイッターに載っているチラシです)
TikTokで成田現地の様子が紹介されています。
https://www.tiktok.com/@sanrizuka8341
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「社会新報」に載った「成田農民の土地とり上げ問題」 - 住みたい習志野
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戦争の準備のために軍事費倍増や安保法を修正するのは軍事政権そのものではないか? 抵抗するのを許さないのはファシズムそのものだ。
機動隊は着々と軍事使用のために農地強奪の準備をすすめている。現地では、「もう、傍観者でいられない」と、年末年始の休みに座り込みに駆けつけている人たちがいる。武装した機動隊が素手の人たちを襲うのだろうか?
権力に抵抗しているとか、ごねてるとかではなく、駆けつける人たちは、平和の準備をしているのだ。
ウクライナの農民が爆撃された農地に立って「来年も種をまくだろう。農民だからね」と笑っている。市東さんも、春の終わりに収穫する玉ねぎの苗を一本ずつ植えている。
農民は土と共に生きる習性。その存在が農作物をとおして私たちを平和にしてくれている。だから私たちもともに平和をつくりだす人になろう。農業を大切にしよう。