(集英社オンラインより)
〈和歌山カレー事件から24年〉林眞須美さんは本当に犯人なのか? ミス、不正、捏造だらけの鑑定結果にメディア人として思うこと
1998年7月、夏祭りで提供されたカレーライスに毒物が混入され、4人が死亡した「和歌山カレー事件」。容疑者として逮捕された林眞須美は無罪を訴えるも、2009年に死刑が確定した。だが、この事件の鑑定結果には不正も指摘されており、「冤罪ではないか」との声も少なくない。当時、映像編集者としてこの事件に携わった宮村浩高氏の悔恨の手記。
鑑定には不正があった
このカレー事件の前年、1997年に兵庫県で1000億円をかけて「スプリング8」という最新鋭の大型放射光施設が完成していました。電子を光速とほぼ同じ速度まで加速させることができるという巨大な施設ですが、この施設で事件のヒ素が分析されたのです。
その結果、事件に使われたヒ素と林さん宅にあったヒ素が一致。林眞須美さん本人が一貫して容疑を否認している中で、このことは決定的とも言える証拠になります(最高裁判決でも、最も重要な物的証拠として採用されています)。
この鑑定結果が出た以上、犯人は林眞須美さんに間違いないと、私たちもあの巨大なスプリング8の空撮映像を編集して報道していました。
ところがその後、このスプリング8の鑑定結果には不自然な部分が多くあることが言われるようになります。この事件がテレビではほとんど報道されなくなってから、多くの書籍で疑問点が指摘されていったのです。
私自身、それらの本を読むにつれて、「噓やろ、もう死刑が確定してしまっているのに…。俺の編集は全部間違いで、一人の人間を死刑に追いやったのか…」と、焦りばかりが募ってきました。
『鑑定不正 カレーヒ素事件』 (河合潤著/日本評論社)という本があります。2021年8月に出版されたものですが、この本を読むと愕然とします。
著者である京都大学大学院の河合潤教授が、スプリング8で鑑定を行った東京理科大学の中井泉教授が出した鑑定書には鑑定ミスや捏造が数多くあることを指摘。あのスプリング8での鑑定データも捏造されていたとはっきりと証明しているのです。
隠された“無罪”の証拠
ということは、林家の人間は犯人ではないという証拠になります。この証拠の存在を中井鑑定人はもちろん、和歌山県警、科警研、和歌山地裁も把握した上で隠蔽していたというのです。
警察、検察、裁判所、鑑定人全ての人たちが無実の証拠を隠蔽し、共謀して一市民を絞首台に連れて行こうとしていたことがわかります。
そのせいで一人の人間が死刑囚となり、その娘と孫は命を落とすという悲劇を生んだのです(林夫妻の長女は、自分の子どもと共に飛び降り自殺をしました)。私たちマスコミは一体何を見ていたのだろうか。“冤罪”を作り出しているのは、私たちマスコミなのではないか。
冤罪が疑わしい同様の事件
このときの最大の決め手は当時、捜査に採用され始めたDNA鑑定です。DNA鑑定で「クロ」と出た以上、久間被告が犯人に間違いないと、マスコミはこぞって報道しました。
しかし、後年になってこの鑑定は、科警研がデータを加工していたことが判明します。その事実を突きとめた弁護士らは、裁判所に再審請求をしますが、裁判所は、DNA鑑定が覆されようともその他の証拠で犯行を証明できるとして却下しました。
これは和歌山カレー事件と全く同じパターンです。唯一違うのは、犯人とされた久間さんはすでに死刑を執行されているということだけです。
(TBSNEWSDIGより)
「大坂被告は殺害現場にいなかった」 渋谷暴動事件裁判で“群馬軍団”の1人が証言 捜査時の供述調書は検察官の作文 | TBS NEWS DIG
「大坂被告は殺害現場にいなかった」 渋谷暴動事件裁判で“群馬軍団”の1人が証言 捜査時の供述調書は検察官の作文
51年前に警察官が殺害された「渋谷暴動事件」の裁判で、当時、デモに参加したグループの1人が「大坂正明被告は殺害現場にいなかった」「検察官や警察官によってウソの供述調書にサインをさせられた」などと証言しました。
中核派の大坂正明被告(73)は1971年の「渋谷暴動事件」でメンバーらと共謀の上、新潟県警の中村恒雄巡査(当時21、殉職後警部補に昇任)を鉄パイプで殴り火炎瓶を投げつけ殺害した殺人など5つの罪に問われています。
大坂被告側は起訴内容を否認し、無罪を主張しています。
きょう、東京地裁で開かれた裁判では当時デモに参加した「群馬軍団」と呼ばれたグループの1人で高崎経済大学の元大学生の証人尋問が行われました。
元大学生は検察官から、中村巡査が殺害された現場で「巡査を殴っているデモ隊の中に大坂被告はいたか」と問われると「いませんでした」と証言しました。
元大学生は事件の翌年に逮捕・起訴され有罪判決が確定していて、当時、取り調べに対し「大坂さんが機動隊員を鉄パイプで殴っているのを見た」などと供述した調書にサインしています。
きょうの法廷では「当時の供述調書は検察官による作文だ」「連日の取り調べで『お前だけがしゃべっていない』などと脅迫され、自分も殺人罪で起訴されるのではないかという不安からウソの供述調書にサインするしかなかった」などと述べました。
(編集部より)
えん罪事件に関するこれまでのブログ記事もご参照ください。
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