(南田是也さんからの投稿です)
文教住宅都市憲章は習志野市の宝。でもその中に怪しげな条項がある。
日本国に憲法があるように、習志野市という自治体には「文教住宅憲章」があります。昭和45年3月30日に市議会で議決され、今日までに一度改正(昭和60年3月28日議決)されています。
昭和45年当時、社会問題となっていた公害(今でいう環境問題)にいち早く取り組み、住宅都市として良好な住環境を守ろうとした点で画期的なものであり、また習志野高校に代表されるように文教による人作りをまちづくりの基礎としてきました。それは現在も変わっていません。
憲章の中に「第4条 市民は、文教住宅都市を建設するために行なう市長およびその他関係機関の施策に協力するようつとめなければならない。」という怪しげな条項が…
ところで、この憲章の「前文」はよく知られているようですが、それに続く本文は意外に読まれていないのは残念です。本文は9ヶ条の条文からなり、第2条から第4条までには「市民のつとめ」、第5条から第7条までには「市長および関係機関のつとめ」が課されています。我々市民には、いったいどんな「つとめ」が課されているのでしょうか。知らないでは済まされません。
第2条から第4条までの3ヶ条の「市民のつとめ」の中で、私が思わず首を傾げてしまうのは第4条です。
第4条 市民は、文教住宅都市を建設するために行なう市長およびその他関係機関の施策に協力するようつとめなければならない。 |
骨格となる文脈は、市民は市長の施策に協力するようつとめなければならない、と市民に義務を課するものです。なるほど「市長の施策」には「文教住宅都市を建設するために行なう」施策と限定句が付けられていますが、文教住宅都市・習志野の市長として市長が行う施策はすべて、文教住宅都市建設のためのものだ、と言われてしまったらどういうことになるでしょう。
市長様への批判や非協力は許されない?
市民は市長様の施策にはすべて、協力するようつとめなければならない、ということになります。批判や非協力は許されない。市長の施策に協力しない奴は、タイスケ王国の非国民だ、ということになってしまいます。たいへんな「大政翼賛体制」ですね。
さらにまた「その他関係機関」の施策にも協力せよ、というのですが、「その他関係機関」が何を指すのかも、前後を読んでも明らかではありません。(市長の後援会長が理事長の)資源回収協同組合も「その他関係機関」なのかも知れません。
こんな怪しげな条文が、よく今まで問題にされなかったものだと思います。荒木・宮本と今日に至る専横体制は、もしかするとこの第4条の「市民のつとめ」の上に成り立っているのかも知れません。ヒトラーが総選挙の結果首相となり、国会が全権付与法を可決したことにより「総統」となったという“民主主義の自殺”の歴史を思い出させる、と言ったら大げさ過ぎるでしょうか。
今回の下水道課の虚偽公文書作成事件や市長記者会見に見られる市長の専横ぶり
今回明らかになった下水道課の虚偽公文書作成事件とそれをめぐる市長会見の内容など、どうも市長の専横ぶりばかりが目立つようになってきました。
情報公開とか民主的な市政運営といったことも、新たに憲章に盛り込まれて然るべきなのかも知れません。
月曜日から12月市議会が始まります。大宮こうた市議は自身のブログで、
文教住宅都市憲章について12月市議会で議論していきたいと予告しています。
この際、皆さんもご自身の目で、文教住宅都市憲章を読み直してみては如何でしょうか?特に「前文」だけではなく、法である本文9ヶ条を読み直していただければと思います。
(編集部追記:文教住宅都市憲章については、このブログに以下の記事があります。ご参照ください)
文教住宅都市憲章が、たどった運命
1970年、𠮷野孝市長時代に制定された「習志野市文教住宅都市憲章」はこんな内容でした
わたくしたち習志野市民は、わたくしたちおよび次の世代をになう子どもたちのために、静かな自然をまもり育てていかなければなりません。
それは、教育および文化の向上をささえるまちづくりの基盤となるものであり、健康で快適な生活を営むために欠くことのできない基本的な条件だからです。
しかし、人間はすぐれた文明をつくりだすいつぽう、自然を破壊し、わたくしたちの生命、身体をむしばみ、教育および文化の正常な発展を阻害していることも事実です。
そこで、わたくしたち習志野市民は、ひとりびとりの理解と協力のもとに、創意工夫し、たゆまぬ努力をつづけながら、理想とするまちづくりのために次のことを宣言し、この憲章を定めます。
1 わたくしたち習志野市民は、青い空と、つややかな緑をまもり、はつらつとした若さを失わないまちをつくります。
1 わたくしたち習志野市民は、暖かい生活環境をととのえ、住みよいまちをつくります。
1 わたくしたち習志野市民は、教育に力をそそぎ、すぐれた文化をはぐくむ調和のとれたまちをつくります。
(憲章の目的)
第1条 この憲章は、習志野市の現在および将来にわたるまちづくりの目標を定めることにより、習志野市の健全な発展を保障することを目的とする。
1.教育諸条件の整備、充実および内容の向上をはかり、習志野の教育を樹立すること。
2.市民に直結した生活環境の改善を積極的に推進すること。
3.市民の地域活動を補助し、育成すること。
4.市民の生命、身体、財産の安全を阻害する条件を排除すること。
5.市民福祉の立場から国、県および周辺都市の諸計画との調整、調和を図り、民主的地方自治の確立につとめること。
(以下略)
当時は「住民自治」という言葉が流行語になり、「1小学校区1幼稚園」「1中学校区1公民館」のスローガンに示された習志野市のまちづくりが評判になり、「子育てなら習志野市」ということで、習志野市に引っ越してくる人も多かったし、市民の公民館活動も盛んで、文部大臣賞を受賞したりもしました。
1985年、三上文一市長時代に「習志野市文教住宅都市憲章」が変えられてしまった
その後、三上文一市長の保守市政に変わり、文教住宅都市憲章も次のように変えられてしまいました。
(変更その1)
第1条 この憲章は、習志野市の現在および将来にわたるまちづくりの目標を定めることにより、習志野市の健全な発展を保障することを目的とする。
↓↓
第1条 この憲章は、習志野市の現在および将来にわたるまちづくりの基本理念を定めることにより、習志野市の健全な発展を保障することを目的とする。
(「目標」を「基本理念」に改めた)
第2条 習志野市のまちづくりの基本となる構想は、次のとおりとする。
1.教育諸条件の整備、充実および内容の向上をはかり、習志野の教育を樹立すること。
2.市民に直結した生活環境の改善を積極的に推進すること。
3.市民の地域活動を補助し、育成すること。
4.市民の生命、身体、財産の安全を阻害する条件を排除すること。
5.市民福祉の立場から国、県および周辺都市の諸計画との調整、調和を図り、民主的地方自治の確立につとめること。
(以下略)
➀「目標」(それに向かって努力する)を「基本理念」(お題目として掲げるだけ)に変え、
➁市民の側に立った「教育諸条件の整備」「市民の地域活動を補助し、育成」「民主的地方自治の確立につとめる」などの項目をバッサリ削ってしまったんですね。
市民が知らないうちに、こんな重大な改悪がされてしまったのです。
荒木市長、宮本市長の時代になって、「文教住宅都市憲章」は実質上無視されるようになった?
その後の荒木、宮本市政では、「文教住宅都市」ではおよそ考えられないようなことが次々に起こりました。
〇ギャンブル場誘致(ボートピア)
(市民の長年の反対運動を押し切って誘致しましたが、コロナの影響もあって、つい最近撤退することになりました)
ボートピア習志野が撤退!ギャンブル行政に幕 - 住みたい習志野
〇条例まで変えて、高校のすぐ近くに大パチンコ店を誘致
習志野市「マルハン」問題が市長の“不正選挙・癒着疑惑”に発展『宮本市長とパチンコ利権』の怪文書も……
〇そして今、「公共施設再生計画」という名の「不動産行政」が問題になっています(公民館廃止や公有地(市民の財産)売却)
あのシーンをもう一度。テレビ放送された習志野市公民館廃止問題 - 住みたい習志野
「公民館はどうあるべきか」講演会に40人参加(船橋よみうり8月1日号) - 住みたい習志野
あれ?委員たちも反対したのに、「売却」方針が「報告書」に載っている!(旧庁舎跡地活用検討委員会) - 住みたい習志野
公民館の「文部大臣賞表彰状」が行方不明!元に戻してください! - 住みたい習志野
※文教住宅都市憲章の制定⇒憲章の改悪⇒憲章無視の市政へ、という憲章のたどった道は歴代市長の歴史でもあります。下記をご参照ください。
習志野市政の歴史(習志野市民フォーラムだよりNO6より) - 習志野市民フォーラム
50周年なのに、記念行事もない。記念誌発行の話もない。「文教住宅都市憲章」よ、どこへ行く?
第4条の中身を市民の手に取り戻しましょう
これだけ無視抹殺される「文教住宅都市憲章」、なんだか可愛そうな気がします。
ここで「広報習志野」では触れられていない「文教住宅都市憲章」の中身について、少し考えてみましょう。
第4条 市民は、文教住宅都市を建設するために行なう市長およびその他関係機関の施策に協力するようつとめなければならない。
この条項は、
市民は、文教住宅都市建設に関わりのない市長の施策には協力するつとめはない。
↓↓
市民は、文教住宅都市建設を後退させるような市長の施策には協力してはならない。
と解釈できるのではないでしょうか?こうして「憲章」第4条を市民の手に取り戻す、それが「憲章」の精神を今に生かす道ではないか、という気がします。
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市長が文教住宅都市宣言について、どう思っているか知りたいね。
住民に意見を聞かず、コソコソ決めてしまうのを正当化するようなら、変えていきましょう。 計画段階で周辺住民や施設や商店などの事業者、利用者などへの説明を行政に義務付けることが必要です。
まちづくりというのは、住民同士が議論しながら、進めるものだからです。 現在のまちづくり会議は、住民の捕捉率が低いので有効ではありません。
新第4条 市民は、市長、市職員およびその他関係機関がこの憲章を軽んずることのないよう、怠りなく監視しなければならない。
習志野市にもいつの間にか、横井が巣食っているのではないか。原点に立ち帰れ!