隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1140.天使の耳

2011年02月20日 | 連作短編集
天使の耳
読 了 日 2011/02/20
著  者 東野圭吾
出 版 社 講談社
形  態 文庫
ページ数 284
発 行 日 1995/07/15
ISBN 4-06-263016-8

 

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分留守をしてしまった。読書は普段よりもスローテンポではあるものの、続いてはいたのだが、他のことに時間を割いていたものだから、ブログを書く方に回れなかった。僕のこうした気まぐれは、今に始まったことではないのだが、せっかく僕のページに立ち寄ってくださった方に、「なんだ、いつも同じ記事で更新しないのか?」なんて言う気にさせては申し訳ないと思っているのだ。

この本は、フジテレビで始まったドラマ「外交員・黒田康作」の原作本「天使の報酬」をamazonで探していた時、偶然に見つけた。同じ天使という言葉から関連作品として候補に挙がっていたので、データを見たら、交通事故をテーマとした連作ミステリーということで、興味を持った。
僕は若い頃一度大きな事故を経験しており、今では年をとったせいもあるが、20年ほど無事故無違反(本当の意味での)を継続している。交通事故の大半は本人の安全運転への配慮が欠けていることからくるものだが、それでも巻き込まれるケースも少なくはないから、余計に安全への心がけが大事だ。
余分な話だが、僕は今ではできる限りゆっくり走りたいので、つい先達て今年(2011年)2月から新しく採用になった高齢者マークを車に付けた。従来のもみじマーク(一部では枯葉マークなどと言われていた)は、あまり評判がよくなかったようで、今回採用されたデザインは四葉のクローバにシニアのSをあしらったもので、色合いもグリーンが主体の鮮やかなデザインだ。
まだ当分はもみじマークも継続されるようだが、これからは新しいデザインのものが多く見られるようになるのだろう。

 

 

 

下記の初出一覧で分かるように、6篇の短編で構成される本書は、いずれもどこでも起こりうる交通事故をテーマにしたものだが、そこにミステリーの味付けをしてストーリーに厚みを加えている。
車の保有台数は年々増加する一方で、今に一人一台などという時代が来るのかもしれない。そうした中で一向に減らないのが交通事故の現状だ。よく運の悪さを例えるのに交通事故が引き合いに出されるが、ここに収められた事例を読むと、事故の起こるのは決して運の悪さでも偶然でもないことを実感する。
車と事故の関係や、交通違反で捕まったこと、あるいは検問に引っかかったことなどは、よくミステリーのアリバイにつかわれており、車と交通事故はミステリーと切っても切れない深い関わり合いがある。しかし、こうして交通事故だけを扱った短編を続けて読むと、長編ミステリーの添え物としてだけでなく、多様なストーリーが生まれてくるものだと、面白く感じる。

 

 

 

に表題作である、最初の「天使の耳」はちょっとしたどんでん返しもあって、考えようによっては怖い話だ。
交差点での出会いがしらの衝突事故で、片方の運転手が死んだ。どちらかが信号無視をした結果だと推測できたが、死んだ運転手の隣に乗っていたのが、目の不自由な妹だったため、信号を見ていなかった。当然のように相手の車を運転していた男は、自分の進行方向の信号は青だったと主張した。
自己を担当した警察でも男の主張を信じるほかはなかったが、妹は納得できなかった。
そこで、彼女は不自由な目の代わりに、健常者よりも敏感な聴覚を使って、調べを始めるのだった。と読んでいけばこの妹の活躍によって、相手の男のウソを暴いて、事件を解決という結末を予想するのだが・・・・・。

 

初出誌(週刊小説)
# タイトル 発行月・号
第一話 天使の耳 90年3月16日号
第二話 分離帯 89年11月10日号
第三話 危険な若葉 90年6月22日号
第四話 通りゃんせ 91年2月11日号
第五話 捨てないで 91年7月19日号
第六話 鏡の中で 91年10月25日

 

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