隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0346.嫁洗い池

2003年02月20日 | 連作短編集
嫁洗い池
読 了 日 2003/02/20
著  者 芦原すなお
出 版 社 文藝春秋
形  態 単行本
ページ数 295
発 行 日 1998/03/25
ISBN 4-16-317550-4

 

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更津図書館で、「ミミズクとオリーブ」(341.参照)の続編を見つけて借りてきた。また、あの八王子の田舎暮らしの中年作家夫妻に遭えると思うと、読む前から心が弾む。
この本はまだ文庫化されていないから、文藝春秋の単行本だ。でも、僕は先に読んだ創元推理文庫の「ミミズクとオリーブ」のカバーイラスト(西山クニ子さんというイラストライターの描いた)の雰囲気が好きだ。今時どこを探せば一般家庭で、和服に割烹着なんていう奥さんがいるのかと思うが、このストーリーには、それが誠にしっくりとするのだ。

 

 

今回も、相変わらず難事件を抱えた同郷の刑事・河田が郷土料理の素材を持ってやってくる。前作のところでは書かなかったが、この河田刑事が郷土料理の食材を持ってくるのは、奥さんに料理をしてもらい、それを肴に一杯という趣向なのだ。
さえない作家の、奥さんの特技は、謎解きだけではない。料理の腕前も一流なのである。次々と出てくる讃岐料理に、事件と同様、そちらの方も気になってくるストーリーだ。
さて、腰痛が元で、スポーツジムに通うようになった中年作家は、無理がたたったか、風邪を引いて寝正月を過ごす。成人式も過ぎて、風邪も収まった頃、河田刑事が例によっておいしい食材と、同僚も伴ってやってきた。奥さんの手料理を腹に収め終った頃、河田の話で、同僚の岩部氏の娘さんが「しばらく帰りません。心配はしないでください。」という書置きを残して家を出たというのだ。どうしたものかという相談であった。
このストーリーの中には、もう一つ、中年作家の若かりし頃のエピソードが織り込まれており、女性心理の複雑な思いに、ちょっぴり、ほろりとさせられる。ネットなどで、このシリーズの続きはないものかと探したが、どうもこれでお終いのようだ。残念!

 

 

初出誌(オール読物)
# タイトル 発行月・号
1 娘たち ‘96年2月号
2 まだらの猫 ‘96年7月号
3 九寸五分 ‘96年11月号
4 ホームカミング ‘97年2月号
5 シンデレラの花 ‘97年5月号
6 嫁洗い池 ‘97年5月号

 

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