隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1378.氷菓

2013年08月08日 | 青春ミステリー
氷菓
読 了 日 2013/07/31
著  者 米澤穂信
出 版 社 角川書店
形  態 文庫
ページ数 217
発 行 日 2001/11/01
ISBN 978-4-04-427101-5

 

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者の作品は何冊か読んでいると思っていたが、記録を見ると2006年と2009年に1冊ずつ読んだきりだった。毎度のことだが、僕の記憶の頼りなさを改めて感じる。いや、なんとなく僕はこの著者のことを知っているような気でいたのだ。
というのも先日(いつだったか忘れた)BSイレブンの「宮崎美子のすずらん本屋堂」に、米澤穂信氏が新作の「リカーシブル」を引っさげて出演した際、MCの宮崎氏のインタビューの中で本書の話も出て、シリーズ作品として読者から高い評価を得ていることを初めて知ったのだ。
高校の古典部という部活の話のようで、すでに5巻ほど出ているらしいが、僕はそんなこともまったく知らなかったので、ちょっとショックだったのだ。
そこで、僕は7月半ばに僥倖とでも言うべきことが重なって、新刊書籍を数冊手に入れることが出来る機会に、この文庫も新刊書店で手に入れた。

 

 

この文庫の初版は2001年となっているが本書は、今年5月に出た第38版となっており、人気を保ち続けていることがわかる。こうしたことは、たまに行く新刊書店で、版を重ねている文庫などを手にとって、奥付を見てみないとわからないことだ。しかし、そんなことは事実上出来ない相談だから、僕の場合はせっせとテレビの書評番組を見ることくらいが関の山だ。
僕の情報収集能力の低さについては、前にも書いたことがあるが、よく考えてみれば毎月のように、幾百幾千という書物が出版されるのだから、その中から自分の好みの本を見つけるというのは、これも不可能に近い。
同時に、仮に見つけられたとしたって、それらを全部読むことも実際問題として、出来ることではないのだ。
あれもこれもと欲張っても、そこにはおのずと限度というものがある。
このブログの記事の元となっているB5のノート(もう20冊以上になる)の最終ページには気になったタイトルの一覧表を作って記入しており、古書店を回る際にはそれを購入の参考にしている。そんなことも積ん読を増やす元となっているのだが・・・・。
しかし、そうこうしている内いつの間にか目的が読書でなく、本を買うことやブログの記事を書くことに気持ちが傾いていることに気づいて、軌道修正を品けれん¥場ならない状態になる。「のんびりゆったり行こうよ」と自分に言い聞かせるのだ。

 

 

て、僕は読み終わって、いやもう読み終わる前から、本書の虜となった。若い頃は自分と同じ年代の主人公が活躍するストーリーにはまったく興味がなかったのが、年老いた今頃になって青春ミステリーに惹かれるなど、思いもよらなかった。
この読書記録を始めてから、いくつもの青春ミステリー、あるいは学園ミステリーを読んできたが、僕の高校時代が思い出に残るようなものでなかったこともあってか、小説に描かれる登場人物たちの青春を謳歌する姿が、心地よく胸に収まるのが不思議だ。
本書も高校生活における部活の中で起きる問題が描かれるストーリーで、下表のように九つの短いストーリーからなる連作短編集?の様相をなす長編といっていいのかな。目立たない存在の自分を維持していこうとする折木奉太郎は、姉・供恵が卒業した神山高校に入学した。そんな奉太郎の許へ海外旅行中の姉・供恵から部活は古典部へ入れ、という手紙が届いた。というプロローグをもって物語は始まる。
古典部は、今年新しい入部者がなければ、廃部になるところだったが、奉太郎が入部したのに続いて、彼の親友福部里志が、そして千反田える、伊原摩耶花の二人の女性が加わり、古典部の活動が始まる。
古典部とはどういう活動をするのか?そんな疑問を持つ奉太郎たちが最初に目指したのは、文集を作ることだったが・・・・。
折々に出てくるなぞめいた現象を、インスピレーションと観察と推理で、解明するのが奉太郎。そのロジカルな展開と、古典部員4名のそれぞれのキャラクターが、かもす雰囲気が心地よい。

 

収録タイトル
# タイトル
1 ベナレスからの手紙
2 伝統ある古典部の再生
3 名誉ある古典部の活動
4 事情ある古典部の末裔
5 由緒ある古典部の封印
6 栄光ある古典部の昔日
7 歴史ある古典部の真実
8 未来ある古典部の日々
9 サラエヴォへの手紙

 

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