隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0313.ねむりねずみ

2002年12月26日 | 歌舞伎ミステリー
ねむりねずみ
読了日 2002/12/26
著 者 近藤史恵
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 286
発行日 2000/11/17
ISBN 4-488-42702-2

 

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著者を知るきっかけとなった作品、というより本である。
僕が読書の目標を立てて、改めてミステリーを読もうと思った直後くらいのときに、書店の文庫棚の前に平積みされていた本書のカバーイラストとタイトルを見て、感じるものがあり、手にとって裏を見ると(近藤史恵「凍える島」〈90.参照〉第4回鮎川哲也賞受賞作)という案内があった。それでは、先ずこちらからと、「凍える島」を読んだのが昨年2月末だから、もうかれこれ2年近くになる。
著者のファンになったという割りには、間が空きすぎた感があるが、先に読んでおこうと思う本が次々と有ったからということにしておこう。

 

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それはさておき、本書は、歌舞伎ミステリーだ。僕は、いまだかつて歌舞伎は見たことがなく、その世界には疎い。全くの門外漢ながら、そんなことにお構いなく読むうちに物語の中に引き込まれていく。
今泉文吾という私立探偵が、文字通り探偵役で活躍するのだが、彼のところに事件が持ち込まれることになるのは、彼の大学時代の友人で、歌舞伎大部屋俳優の女形・瀬川小菊からの依頼だった。この女形・小菊のセリフが女性言葉で話すのだが、それがごく自然で抵抗感がまるでなく、逆に魅力的なキャラクターとなっている。
著者は、大学生のときから歌舞伎フリークだったらしい。そうした体験や知識が、梨園を舞台にした人物造形、話の運びにリアル感を持たせる大きな要因となって、魅力的な雰囲気をかもし出している。
勿論そうしたものを小説に作り上げるというのは、もって生まれた才能か。ストーリーを支えるキャラクターは他にも沢山いる。シリーズ化して欲しいものだ。


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