ソマリアの海賊 | ||
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読了日 | 2017/01/23 |
著 者 | 望月諒子 | |
出版社 | 幻冬舎 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 409 | |
発行日 | 2014/07/25 | |
ISBN | 978-4-344-02606-3 |
メリカ第45代大統領にトランプ氏が就任した。しかし、多数の支持を得て選挙で指名されたトランプ氏に対して、多数の反対デモが広がるなど、まったく理解できないことだ。そうしたデモに参加する人々は、トランプ氏を支持しない人たちなのだろうが、自由と民主主義の大国の現状だとは思えないような現象だ。
なぜこのような反対派の人々がいるのに、トランプ氏が当選したのか?そんな単純な疑問を持つのは、アメリカの現状を知らない僕だけか?
といったようなことはさておき、昨日は大相撲の14日目に横綱・白鵬関が、貴ノ岩関に負けたことで、優勝を決めていた大関・稀勢の里関の千秋楽の一番に、多くのファンが湧いた。相手はもちろん大きな壁ともいえる、横綱・白鵬関で、この一番に勝つか負けるかはその評価を大きく左右するものだが、一方的ともいえる白鵬関の攻撃に対して、受け身となった稀勢の里関だが、すでに優勝を手に入れていた彼は落ち着いて白鵬関を下したのだった。
稀勢の里関は昨年の年間最多勝に輝いたことに加え、今初場所の優勝は横綱昇進へ大きく前進した。
待ちに待った優勝とともに、先代貴乃花の長男である若乃花の横綱昇進依頼19年ぶりとなる、日本人力士の横綱昇進を色濃くした話題は、しばらく相撲ファンを喜びの渦に巻き込むはずだ。何はともあれ、今日の稀勢の里関、おめでとうございます。

少し間を開けながら望月諒子氏の作品を続けて読んできた。多分今刊行されている著者の作品はこれで最後だと思う。一人の作家の作品を集中的に読むと、作者の作品の傾向とか、ストーリー組み立ての共通点のようなものが、少しわかる(ような気がするが、僕のお粗末な理解力だから、あまり当てにはならない)。
読み始めて間もなくイアン・ノースウィッグなる人物が登場して、どこかで聞いたことのあるような気がしたら、なんと「大絵画展」、「フェルメールの憂鬱」でも活躍する大泥棒だ。いや、今や彼はその騙りと泥棒稼業で財をなし、貴族の称号まで手に入れるという偉業?を成し遂げた人物だ。
ストーリーの発端はタイトルとは関わりのない、日本の発展著しい自動車メーカー・舘岡自動車工業の社長である舘岡竹蔵が、会社設立50周年を祝う席上で発表する挨拶原稿を手書きしたことに始まる。出来上がったその手書き原稿は封筒に入れられて、総務部員の長沼秋男に預けられた。
長沼は大事なものを預かった責任の重さを感じて、無くしでもしたらどうしようとばかりに、あちこち隠し場所を考えた末、社用車として使っているGPS付きのピックアップトラックのグローボックスの中にある、金庫にしまった。
それがそもそもの間違いで、その後とんでもないアクシデントを招くことになるのだ。

の後ピックアップトラックはへこみを治すために修理に出されたのだが、長沼は社長の原稿を出すため修理工場から車を返させると、違う車が返ってきた。GPSを探ると車はなんと水産加工会社のエカワット・ナヴァという船上だった。車の取り返しを命じられたのが、入年目の倉木京平だったが、彼が船にたどり着くやそのまま彼を乗せたまま船は出向してしまった。
そこから倉木京平のスリルとサスペンスの連続する冒険?が始まる。全く言葉も通じない、風俗も習慣も違う国で、そうした環境にもめげずに何とかやっていく彼の前向きな生き方に、関心もするがまだまだ我々の知らない国や地域があって、法律もないところがあるなどということは想像もしてなかったことだ。
中東地域での内戦のニュースが、毎日のようにテレビで報道されており、それを対岸の火事としか受け止めていない我々も、もしかしたらこのストーリーの主人公のような窮地に追い込まれることが、全くないとは言い切れない現状に、ちょっと背筋が寒くなるのだ。
だが、こうした未知の国の事情など、いろいろとデータを確認しながらストーリーに組み込んで、小説としての面白さや、知識として提供できる作家という仕事に、僕はますます尊敬の念を大きくする。
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