マッチメイク | ||
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読了日 | 2016/01/07 |
著 者 | 不知火京介 | |
出版社 | 講談社 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 385 | |
発行日 | 2003/08/07 | |
ISBN | 4-06-212001-1 |
昨日(23日金曜日)、処方されていた血圧降下剤が切れたので、病院に行ってきた。慌て者の僕はかかりつけの医師の診察日をうっかり間違えて、その日の診察は午前中だけだったのに、のんびりと午後になってから出かけていったのだ。
受付で、診察券と血圧管理表を渡したら、「今日は診察は午前中だけですよ。」と言われ、しまった間違えた! と言ったら、受付嬢、「でも先生が2時半ごろ見えるので、お待ちいただければ、多分診てもらえると思います。」と言うので、2時半まで待つことにした。病院はいつも待ち時間が長いので、そのために持ち込んだ文庫本をゆっくりと読むことにする。 薬を変えたりして飲み続けてはいるが、どうしたことか一向に数値が安定しない。全く自覚症状はないから、さほど心配はしてないが、それでも血圧が高いことは良いことではない。ストレスをため込まないよう気を付けて、過ごすことを心がけてはいるのだが・・・・。

2時半からのドクターの診察では、いつものように簡単な問診だけだが、1週間後の29日金曜日に循環器内科の診察を改めて受けることを勧められて、予約を取った。そのため今回の降圧剤は6日分だけの処方となった。
今年で僕も喜寿となるから、押しも押されもしない年寄りだ。少しそれらしく食事なども気を付けなければいけないのかな。とは思うが、貧乏暮らしの僕は贅沢な食事をしているわけでも、偏った食生活を送っているわけでもない。食事やその他についても、ごくごく普通の暮らしをしているので、血圧の高い要因はとんと見当がつかないのだ。
植木等氏の歌の文句ではないが、そのうち何とかなるだろう。

近のことだって記憶はあいまいなのに、この本を手に入れたのはかなり前のことだから、どのような状況で僕の手元にあるのかは全く覚えていない。多分江戸川乱歩賞の受賞作を集中して読んだ時期があったから、そうした時期だったのだろう。近頃長い間積ン読だった蔵書を、思い出したように読んでいる中で、底の方から引っ張り出して読んだ。その昔、僕も近所の子たちと同様に、テレビのある家にお邪魔して、夢中になってプロレスを見たものだ。
余談になるが、その当時はテレビもまだまだ一般に普及しておらず、テレビのある家は近所に2-3軒しかなかった。しかもそうした家には近所から大勢の子供が、押しかけて見せてもらっていた。
そうした家の人たちは子どもたちばかりでなく、大人でも快く受け入れて、一緒にテレビを楽しんでいた。今の時代では考えられないほど、そんな地域の繋がりが生きていた古き良き時代だったと、思わせるものがあった。

僕も今でこそ興味が他に移って、プロレスを見ることもなくなったが、その当時はテレビの珍しさや、花形スター・力道山の雄姿は、何物にも代えがたい魅力をもって僕たち子どもの心をとらえて離さなかったのだ。
否、子供ばかりではない、大人も老人も国民的スターに魅了されていた。今、そんな誰しもが興味を惹かれる物事があるだろうか?一億総中流化と言われた時代を経て、多様化の時代になった現在は、それぞれが独自の価値観を持つから、昔のようなことが再び蘇ることは、もう望んでもないのだろう。
プロレスは全盛時代から、八百長だという話があった。子供の頃はそうした話を半信半疑でとらえていたが、この本によれば、そう本書はプロレスの世界を舞台としたミステリーなのだ。そんなことは断らなくとも、表紙のイラストを見ればすぐにわかることだが、プロレスも演劇と同様に、脚本家がいてその脚本通りに試合運びが行われるということなのだ。
その脚本家をマッチメイカー、脚本を練ることをマッチメイクと言うのだそうだ。演劇と違って100%マッチメイク通りにいかないこともままあるようだが、おおよその試合はマッチメイクに沿って行われるということだ。 だから八百長と言うのとは少し違う。八百長は特に試合が賭け事に用いられるときに行われて、人気のある方のレスラーに、大半の掛け金が偏ったとき、わざと負け戦をするといったようなことだ。
脚本によって試合運びが行われることは、先述の通り演劇と同様にその試合のプロセスを観客に楽しんでもらうという寸法なのだ。

書では、関西を拠点とするチームの主宰者―彼もまたプロレスラーの一人で、しかも国会議員である―が、毒殺?されるというところから、ストーリーが始まる。
実在の人物を思わせるようなところもあるが、多数のプロレスラー志願者の中で、厳しい訓練を耐えて生き残 った新人プロレスラーの視点で、ストーリーの展開が語られていく。試合運びや下働きの様子も描写しながら、プロレスと言う格闘技の内幕も、判りやすく描かれる。
そして、第2の事件が引き起こされる。果たして連続殺人か?謎解きの興味もあることはあるが、プロレス業界の複雑な人間関係などが、僕にはミステリーへの関心を薄めているような気がするのは、やはり今の時代とマッチしていないからか?ちょっと残念。
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