隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1626.パレートの誤算

2016年05月13日 | サスペンス
パレートの誤算
読了日 2016/05/13
著 者 柚月裕子
出版社 祥伝社
形 態 単行本
ページ数 337
発行日 2015/10/20
ISBN 978-4-396-63449-0

 

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レートなどと言う言葉から、会社勤めをしている頃を思い起こす。30歳からの15年間勤めていた会社は、石油卸業を主としていた中小企業から、石油ショックを機にホームセンター業へと転換、時流に乗り東証一部上場企業へと発展した。
コスト意識の高い会社だったが、社員教育には惜しげもなく投資をして、優秀な幹部社員を育てた。脱サラのトップが起こした会社とは思えないほどの、先進的な風土を漂わせて所属していた、コンサルタントグループからも高い評価を得ていた。
そうした外部での教育も定例的に行っていたが、それ以外にも業界で名高い企業コンサルタントを招いての、社内教育も頻繁に開催していた。そんな中で特に重視されたのが、経営数字のセミナーだった。
一般的には二八の法則などともいわれているが、世のすべての事柄の重要な部分は全体の2割で賄われているというやつだ。店舗の商品もその例に漏れず、売り上げの分析によってそうした傾向がわかるということで、実際に行われたのがABC分析である。その結果をグラフで著したものが俗にパレート図(パレートはイタリアの経済学者の名)と呼ばれている。

 

 

本書は地方の市役所社会福祉課に勤務する職員の物語だ。生活保護受給者の家庭を見回るケースワーカーを仕事とする男女の職員が、遭遇する事件を巡り様々な課題が浮き彫りになる。二人の先輩でベテランのケースワーカーが、担当する地区のアパートを訪問中に、火災が発生して焼け跡から彼は遺体となって発見された。しかも遺体は焼死ではなく、火事の発生前に死亡していたらしい。
古い木造アパートには5人の受給者が住んでいたが、そのうちの一人と連絡が取れなくなっていた。
彼の腕には一介の公務員の給与では買えないような高価な腕時計が。生活保護を生きる糧とする受給者の中には、不正な手段を使って受給する者もいて、ケースワーカーの訪問監視だけでは見分けのつかないケースもあって、そうした不正受給を水際で食い止めようとする、若い新米のケースワーカーたちの奮闘は、意外な事実を突き止めていくのだが・・・・。

 

 

イトルの「パレートの誤算」とは、事件を担当する刑事の口から発せられた、「働きアリの法則」と言う言葉の、「いくら頑張っても不正な受給者はいなくならない」と、頑張る若いケースワーカーのやる気を損ねる言葉だが、分析結果を表すパレート図には現れない現象を目指す彼らの努力が示されているのか?

一昨日HDDを送ったデータ復旧センターから、荷物が届いて分析を始めた旨のメールが届いた。データ障害の状況を調査するためには、5日ほどかかるということだ。調査の結果を待って復旧の可能性に来たするしかない。
一方、マイクロソフトのSky Driveに以前、多少のバックアップを取っていたことを思い出して、問い合わせると、今は名称も変わったが利用可能らしい。後ほど先方からアクセス方法を電話してくるので、そちらにもわずかな期待が持てる状況だ。
しかし、データ管理にもう少し慎重にならないと。反省ばかりでは仕方がないが・・・・。

 

 

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