隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1685.腐葉土

2016年12月23日 | サスペンス
腐葉土
読了日 2016/12/23
著 者 望月諒子
出版社 集英社
形 態 文庫
ページ数 559
発行日 2013/04/25
ISBN 4-08-745060-6

 

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日の新潟県糸魚川の火事は、昨夜半にどうやら鎮火したようだが、強風にあおられた火は140棟にも及ぶ延焼を拡大して、混みあった木造家屋の集落を燃やし尽くした。
毎年どこかでくれも押し詰まった時期に、こうした火事が発生するような気がする。被害にあった人たちには気の毒としか言いようがない。関東地方と違い、日本海に面し大陸からの寒気を直に被る地方は、寒さも一段と厳しい中、焼け出された多くの被害者たちのことを思うと、僕は東京大空襲で焼け出された子供の頃を嫌でも思い出す。
すべてをなくした状態に、子供心にも情けない思いを抱いたことを。そして隣組にあった比較的大きな会社から、炊き出しのおにぎりをもらって食べたことも、焼夷弾で焼け野原になった景色とともに、鮮明に残っている。横道にそれた。
不幸中の幸いと言えるかどうか、この大火に死者が出なかったことだけが、唯一よかったといえることだろう。

 

 

今のところ本書が木部美智子シリーズ最終作らしいが、4作目の木部美智子シリーズはこれまでで一番長いストーリーだ。発行日からもわかるように、3作目からかなり時間をおいて書かれたもののようだが、作風は前3作を踏襲しながらも、一人の女性の戦後の時代をしぶとく生き抜き、資産家となった波乱の生涯を描く。
しかし、事件はその女性が老人ホームで殺害されるという幕開きだ。彼女の血筋は仇一人の孫である成年だけだが、その孫はしょっちゅう金をせびりにホームに表れて、多分著者はデビュー作を発表するまでにたくさんの作品を書いていたのではないかと思われる。
それはまさにデビュー作に登場した、重要人物である来生恭子は、望月諒子そのものではないかと思わせるのだ。
デビュー作の中で来生恭子という作家を目指す女性は、原稿用紙1万枚もの作品を書いたということだが、著者も長編の作品を数作書いていたのではないだろうか?そんなことを思いながら読んでいると、少なくも現在刊行されている作品は全部読んでみたいという欲求が湧いてくる。僕は今月初めに読んだ「フェルメールの憂鬱」から、ほぼ続けざまに本作で5作品を読んでおり、この後にも4作ほど予定している。

 

 

し前までは読書の傾向として、広く浅くを目指していたから、一人の作者の作品を続けて読むことは出来るだけ控えていたのだ。しかし、いつまで読み続けることができるかということを考えると、好きな作家の本を思い切り楽しむことも悪くはないという考え方に傾いてきた。
ブログにはかなりの間をあけて書いているが、実のところ読書そのものは順調に進んで、この後8冊ほどを読み終わっている。それなのにブログへの投稿が遅れているのは、なかなか文章を思いつかないからだ。
別にしゃれた記事を書こうと思っているわけではないのだが、時には一つの記事に5日も6日も掛かってしまい、嫌になって気の向くのを待つという具合だ。誰のためのブログではないが、一人でも二人でも読んでくれる読者がいるうちは、あまり気ままな態度はよくない、そう思いつつも書けないことにはどうしようもない。
読んで下さっている方には申し訳ないが、気長にお待ちいただくようお願いします。

 

 

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