goo blog サービス終了のお知らせ 

隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0698.しゃばけ

2006年02月11日 | ファンタジー
しゃばけ
読 了 日 2006/02/11
著  者 畠中恵
出 版 社 新潮社
形  態 単行本
ページ数 250
発 行 :日 2003/11/25
ISBN 4-10-450701-6

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

作の評判は前々から見たり読んだりしていたのだが、その前に読みたいと思う本が山とあり、なかなか手にすることが出来なかった。

このところ、特に次々と読みたい本が出来てうれしい悲鳴を上げているが、またぞろ若いころの悪い癖が出て、入手する方が先んじて、読むほうが追いつかない状態となっている。

さて、本書には、妖(あやかし)と呼ばれている、いわゆる妖怪達がたくさん出てきて、病弱の御年十七歳の回船問屋の若旦那を主人公とする時代ミステリーである。
語り口はまさに時代物で、お化けや、妖怪がいるのではないかと半ば信じられていたような時代を髣髴させるのではあるものの、新しい感覚を憶える不思議な作品だ。
2001年、第13回日本ファンタジーノベル賞受賞作。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0689.最後の願い

2006年01月11日 | ファンタジー
最後の願い
読 了 日 2006/01/11
著  者 光原百合
出 版 社 光文社
形  態 単行本
ページ数 335
発 行 日 2005/02/25
ISBN 4-334-92452-2

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

めて読んだ「遠い約束」から著者の作品を読むのは3年ぶりくらいか。「遠い約束」の後「十八の夏」、「時計を忘れて森へ行こう」と、その年に3冊を読むことができたが、著者は寡作らしく、後が続かなかった。
僕はたいした感性の持ち主でもないのに、これだと思わない本になかなか手を出せないという、読書人とも思えないところがあって、多分面白い本をずいぶんと見逃している可能性があるだろう。
著者の本も前のところで書いたかもしれないが、書店で「遠い約束」など、文庫を見ただけではおそらく手に取ることさえしなかっただろう。それでも、文学賞受賞作を読書の指針としていたので、著者の「十八の夏」が第55回、日本推理作家協会賞の短編部門を受賞していることから読んでみようという気になったのが幸いした。

「十八の夏」はなかなか見つからなかったので、代わりに創元推理文庫の「遠い約束」を先に読んでおこうと取り寄せ表紙のイラストを見て、先に書いたような印象を持ったのだ。
そんなことがあってから、著者の本も4冊目となった。

 

 

初出誌「ジャーロ(光文社)」
# タイトル 発行月・号
1 「花をちぎれないほど・・・」 2002年春号
2 「彼女の求めるものは・・・」 2002年夏号
3 「最後の言葉は・・・」 2003年冬号
4 風船が割れたとき・・・」 2003年夏号
5 「写真に写ったものは・・・」 2004年冬号
6 「彼が求めたものは・・・」 2004年夏号
7 「・・・そして開幕」 2005年冬号

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0481.銀杏坂

2004年03月15日 | ファンタジー
銀杏坂
読 了 日 2004/03/15
著  者 松尾由美
出 版 社 光文社
形  態 文庫
ページ数 346
発 行 日 2004/01/20
ISBN 4-334-73615-7

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

空の都市、香坂市を舞台に不思議な事件を描いた連作ミステリー。創元推理文庫から、「バルーン・タウンの殺人」という作品が出ており、著者の名前だけは知っていたが、どんな内容かは知らなかった。古書店で、本書を見つけ、興味が涌き買い求めた。
北陸の古都・香坂市は横縞町のアパート「さつき荘」に住む、管理人一家の「死んだ娘」。近所でも評判の幽霊アパートだ。このアパートで起こる不思議な事件を担当するのは中央署の刑事・木崎。そもそもは、このアパートに住んでいた諸橋佑香が交通事故で死亡したことが発端で、このアパートが気に入っていたと見えて、その後アパートに佑香の姿を見る人が増えて、アパートの住人たちは気味悪がって、一人、二人と出て行った。困った家主は、佑香の父親、諸橋勝行にアパートを買ってくれないかと相談を持ちかけたところ、諸橋は承諾して、今までの住居を引き払って、長男の敏広、次女の菜摘ともども一家三人でアパートに越してきた。
アパートは、8部屋だが、そのうちの3部屋を3人で使って、死んだ佑香が使っていた部屋には、そのまま佑香の幽霊が住み着いていた。部屋を借りたいと言う若い女性が現れて、貸すことにした。ところがある日、この黒岩瑞江という女性が持っていた200万円もするというダイヤのブローチが盗まれるという事件が起きる・・・(横縞町綺譚)。

 

 

タイトルになっている「銀杏坂」は、予知夢を見るという女性が登場するストーリー。香坂市の中央警察署の木崎刑事は、刑事部長の安岡から内密の調査を依頼される。姻戚関係にある石倉晴枝という女性が3日後に夫を殺す夢を見たというのだ。石倉晴枝は子供の頃から見た夢が、その後現実となるという予知夢を見てきたので、今度も実際に夫を殺すことにならないよう自分を逮捕してくれ、と相談されたというのだが・・・・。
こうしたファンタジーのような連作集だが、ミステリーとしては、ファンタジックなストーリーの中で、本格謎解きとなっている。

 

初出一覧
# タイトル 紙誌名 発行月・号
1 横縞町綺譚 ミステリマガジン 1996年12月号
2 銀杏坂 ジャーロ 2000年秋号
3 雨月夜 ジャーロ 2001年冬号
4 香爐峰の雪 ジャーロ 2001年春号
5 山上記 ジャーロ 2001年夏号

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0315.源氏物語人殺し絵巻

2002年12月29日 | ファンタジー
源氏物語人殺し絵巻
読 了 日 2002/12/29
著  者 長尾誠夫
出 版 社 文藝春秋
形  態 単行本
ページ数 314
発 行 日 1985/08/15
ISBN 4-16-309150-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

氏物語をそのままに、ミステリーに仕立て直した、ミステリー源氏である。
とは言うものの、僕は源氏物語は、そのほんの一部を高校の教科書で学んだ程度なので、果たして源氏物語がそのままミステリーになっているのかどうかは定かでない。
ストーリーとしては別段支障もなく面白く読めるのだが、原典を知っていれば、より楽しめるのではないかと想像する。

光源氏の生母、桐壺が殺され、奇妙な殺人事件が続発する。夕顔、葵の上、どれもが変死で、不審に思った紫式部が真相を追う、というストーリーである。
ストーリー全体に隠されたミステリーや、ミスディレクションが最後に明かされて、切なく、悲しい物語となるのだが・・・・。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0312.夏と花火と私の死体

2002年12月25日 | ファンタジー
夏と花火と私の死体
読 了 日 2002/12/25
著  者 乙一
出 版 社 集英社
形  態 文庫
ページ数 224
発 行 日 2002/09/16
ISBN 4-08-747198-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

の作品でデビューした著者は17歳だったと言う。
若くして文壇に登場した作家は少ないながらも内外にいるが、著者がその後も多くの読者に受け入れられたのは、、若かったと言うことではなく、その作品が優れていたからだと言うことだろう。
第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞した本作の後も、旺盛な執筆活動を続けていることからもそれは明らかだ。
ここで、若くして文壇に登場した作家で、僕が知っている範囲では、ミステリーや、時代小説で活躍した角田喜久雄氏や、アメリカの安楽椅子探偵ママ・シリーズで有名なジェームス・ヤッフェなどが代表的なところだ。

さて、この物語は9歳の“わたし”が語り手という形式をとっているが、なんと彼女は冒頭であっけなく死んでしまうのである。その後は、タイトルにあるように“私の死体”がストーリーを語り続けると言うわけだ。他に「優子」を併載。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0300.光の帝国

2002年12月03日 | ファンタジー
光の帝国 常野物語
読了日 2002/12/3
著 者 恩田陸
出版社 集英社
形 態 文庫
ページ数 283
発行日 2001/06/06
ISBN 4-08-747242-6

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

サブタイトルにある常野物語の常野とは?読み始めるとだんだん判ってくるのだが、不思議な能力を持つ一族が住むところで、そこに住む人たちを常野一族と言うらしい。自分たちの出所を隠して、市井の人々の中で、ひっそりと暮らす彼等の行きつく先は?

春田光紀は小学4年生の後半、ある時同じクラスの少女が、百人一首を全部暗記しているというと、クラスのみんなが「すげえ」と驚いて賞賛した。
光紀は何でそんなことで褒められるのか納得できないでいる。彼は、江戸時代までの日本の古典を全部暗記していたからである。ただ、両親からは、くれぐれも周囲には黙っているように、と言われているのだ。
ある日、近所の老人が光紀と姉の記実子の前で、心臓発作で倒れた。記実子が人を呼びに行っている間に、光紀は老人から彼の人生のすべての出来事が発せられたように見えたのだった。(大きな引き出し)

こうした、不思議な能力を持ち、方々に散らばっている一族のエピソードが語られるストーリーで、不思議な能力は様々だが、行き着くところは、人の優しさ、愛、あるいは夢?

 

初出誌(小説すばる)
# タイトル   発行月号  
1 大きな引き出し   1994年12月号  
2 二つの茶碗   1995年3月号  
3 達磨山への道   1995年6月号  
4 オセロ・ゲーム   1995年7月号  
5 手紙   1995年9月号  
6 光の帝国   1995年12月号  
7 歴史の時間   1996年7月号  
8 草取り   1997年5月臨時増刊号  
9 黒い塔   1997年1月・2月号  
10 国道を降りて   1997年5月号

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


298.六番目の小夜子

2002年11月29日 | ファンタジー
六番目の小夜子
読了日 2002/11/23
著 者 恩田陸
出版社 新潮社
形 態 文庫
ページ数 339
発行日 2001/05/30
ISBN 4-10-123413-2

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

教育テレビでこのドラマを放送していたのは知っており、なんとなくタイトルが気にはなっていたが、子供向けの番組かと思って、見ようとは思わなかった。平成12年頃だったから、もう7年にもなる。先日読んだアンソロジー「ABC」殺人事件(296.参照)でこの著者を知り、この作品がデビュー作と判ったので手に入れた。高校生たちの学校内、あるいはその周辺での活動や、遊び、勉学を通して描かれる、ファンタジーだ。僕の高校時代の頃とは、時代も環境も、何もかもが違うから、返って彼等のドラマとして、楽しく読めた。考えて見れば、学校と言うのは、ある意味で閉鎖された社会とも言える、不思議な空間だ。彼等の通う高校には、以前から伝わる奇妙なゲームがあった。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が選ばれて一つの任務を遂行する、というゲームだ。選ぶのはその前のサヨコで、彼女は後任のサヨコを選ぶことで自分の任務を終了すると言う。その年は、“六番目のサヨコ”が生まれる年だった、が、美しく謎めいた転校生がやってきた。そして、彼女の名前は、ツムラサヨコだった。そして、恐ろしい出来事が・・・・。

 

 

高校生になると、それまでの同じ地域の子どもたちで形成される小・中学校とは違って、周辺の、あるいは他の地域から生徒が集まってくるので、雰囲気が変わる。そこで、古い歴史のある学校には、種類の違いや、ことの大小などを問わず、言い伝えのようなものが一つや二つあるものだ。そうしたものを題材にとったこの作品が、多くの読者の共感を得たのは、至極当たり前のような気がする。僕の高校時代もはるか昔のこととなったばかりか、あまり楽しい想い出も無かったが、こうしたストーリーを読んでいると、ある種の懐かしさが甦る。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0288.クロスファイア

2002年10月08日 | ファンタジー
クロスファイア
読了日 2002/10/8
著 者 宮部みゆき
出版社 光文社
形 態 新書
ページ数 (上)315
(下)282
発行日 1999/03/30
ISBN (上)4-334-07313-1
(下)4-334-07314-X

 

上の著者名をクリックすると、著者のページへ移動します。

この光文社カッパノヴェルスのカバー折り返しにあった著者の「この本を読む前に、“燔祭(はんさい)”を読んで・・・」に従って、“燔祭”の入った光文社文庫の「鳩笛草」(159.参照)を読んだのが、もう9ヶ月も前になる。古書店で上下別々に購入したもので、装丁が合っていない。
快楽殺人者の犠牲となった多田一樹の妹・雪江の敵討ちをした青木淳子。
多田一樹と同じ会社のメール部にいた青木淳子が、この「クロスファイア」の主人公である。つまり、燔祭はクロスファイアのプロローグに当たるストーリーだったというわけだ。
バイロキネシス(念力放火能力)を持つ超能力者・青木淳子は無軌道に殺人を繰り返す若者たちを処刑していくのだが、やがて彼女は謎の組織「ガーディアン」から狙われ始める。一方、若者たちの焼殺現場を見た石津ちか子、牧原両刑事は順子の存在にたどり着くが・・・・。
著者の作品にたびたび登場する超能力者は、下手な小説の主人公よりはるかにリアリティがあり、存在感が有るのは何故だろう?超能力そのものを面白おかしく語るストーリーではなく、人の持たない能力を持つ者の悩み、苦しみなどの、心理の奥底が丁寧に描かれるからか。
2000年に、金子修介監督、矢田亜希子主演ににより、東宝で映画化されているが、映画では、燔祭の部分も脚色されて前半に入っている。上巻のカバー装丁はそのスチールである。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0231.ささらさや

2002年06月13日 | ファンタジー
ささらさや
読了日 2002/6/14
著 者 加納朋子
出版社 幻冬舎
形 態 文庫
ページ数 325
発行日 2001/10/10
ISBN 4-344-00116-8

 

上の著者名をクリックすると、著者のページへ移動します。

 

新婚間もない奥さんと赤ん坊を残して、車にはねられて死んだ「俺」が語り手という連作短編集。
人の善意や悪意が入り乱れて過ぎていく日常で、世慣れていないおっとりとした奥さんが心配で、文字通り死んでも死に切れない「俺」は、彼女の窮地に声だけ現れるという幽霊に。
ユウ坊が生まれて幸せ真っ只中で、サヤは交通事故で夫を失い途方に暮れる。「俺」の葬式は高校時代からの友人で坊さんになっていた細貝がお経を上げてくれたのだが、彼には幽霊の「俺」が見えるらしい。(トランジット・パッセンジャー)

トランジット・パッセンジャー(空港の通過客)でいられる短い時間の中で、「俺」の声に助けられながら、また、周囲の人間にもまれながら次第に彼女が逞しくなっていく様が、ちょっぴりおかしく、ちょっぴり切なく、そしてちょっぴり幸せな気分にさせてくれる。

 

1トランジット・パッセンジャー1998年9月号
初出誌(星星峡)
# タイトル 発行月号
2 羅針盤のない船 1999年9月号・10月号
3 笹の宿 1999年12月号・2000年1月号
4 空っぽの箱 2000年5月号・6月号
5 ダイヤモンドキッズ 2000年9月号・10月号
6 待っている女 2000年12月号・2001年1月号
7 ささらさや 2001年6月号・7月号
8 トワイライト・メッセンジャー 2001年7月号

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0228.沙羅は和子の名を呼ぶ

2002年06月10日 | ファンタジー
沙羅は和子の名を呼ぶ
読了日 2002/6/10
著 者 加納朋子
出版社 集英社
形 態 文庫
ページ数 314
発行日 1999/10
ISBN 4-08-774430-2

 

上の著者名をクリックすると、著者のページへ移動します。

 

両親が第二のハネムーンと称してカナダへ出かけてしまった夏休み、高校生の「僕」はぽっかり空いた自由な時間をカメラ片手に近くへと出かける。廃業で空き家のはずの病院の建物の中で、不思議な少年と少女に出会う(黒いベールの貴婦人)を初めとする10篇のミステリー短編集。
ちょっぴり切なく、ちょっぴり幸せな気分になれる、加納朋子ワールドへと誘われる。

 

初出一覧
# タイトル 紙誌名 発行月号  
1 黒いベールの貴婦人 小説すばる '94年1月号
2 エンジェル・ムーン 小説すばる '94年6月号
3 フリージング・サマー 小説すばる '94年11月号
4 天使の都 週刊小説 '96年9月27日号
5 海を見に行く日 週刊小説 '97年2月7日号
6 橘の宿 小説現代 '96年5月号
7 花盗人 西日本新聞 '97年1月7日
8 商店街の夜 週刊小説 '97年10月3日号
8 待合室の冒険 小説non 1998年10月号
9 オレンジの半分 野生時代 '95年8月号
10 沙羅は和子の名を呼ぶ 小説すばる '99年7・9月号

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0216.冬のオペラ

2002年05月27日 | ファンタジー
冬のオペラ
読了日 2002/5/27
著 者 北村薫
出版社 中央公論新社
形 態 文庫
ページ数 315
発行日 2000/02/25
ISBN 4-12-203592-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

姫宮あゆみの勤務先、伯父の経営する姫宮不動産の2階で営業していたCDレンタル店が閉店して、その後に"名探偵巫(かんなぎ)弓彦"が開業した。
この自ら名探偵と称する男は、「名探偵はなるのではなく、存在であり、意志である」と言う。
しかも、探偵と言うものの、身許調査等の一般の探偵業はやらず、人知を越えた難事件だけを扱うと言うのだ。
あることをきっかけに、あゆみは巫を訪ね彼の記録者になることを申し出た。
二人のであった「三角の水」、「蘭と韋駄天」、「冬のオペラ」という三つの事件を収録。

 

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

話は変わるが、1週間ほど前から木更津市立図書館に通っている。ここでは一度に6冊の本を2週間借りられる。しかし僕が借りるのは読むのが目的ではないので早ければ1時間くらいで返しに行ける。だから多いときは1日3回くらい図書館との間を往復する。
500冊のミステリー読破を目標としてからこの日記とは別にアクセス(マイクロソフトのデータベース用のアプリケーション)で読書管理のデータベースを作ったのだが、その中の一つである著者のデータのフォームに顔写真を入れようと思ったのだ。はじめは購入した本に著者の顔写真があるものだけにしようと思ったのだが、できるだけ充実させたいという欲が出て、図書館通いが始まった。
今日現在で300名ほどの作家のデータを入力しているが、まだ日本の作家だけでも40名ほどの顔写真が不足している。海外の作家を加えると100名を超えるだろう。著作に顔写真の無いものは多く、単行本には殆ど無いから、結構集めるにも時間がかかるだろう。

 


0214.アリスの国の殺人

2002年05月21日 | ファンタジー
アリスの国の殺人
読了日 2002/05/21
著 者 辻真先
出版社 徳間書店
形 態 文庫
ページ数 316
発行日 1990/06/15
ISBN 4-19-569105-2

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

はまだルイス・キャロルのあまりにも有名な「不思議の国のアリス」を読んでいない。ドラマや映画も通してみたことはないが、何かの折にところどころは見ており、本の中身もところによっては何故か知っているという状態だ。
だから本書もある期待をもって読んだ。推理作家協会賞受賞ということも期待する要素だった。にもかかわらず、読むタイミングが悪かったか、僕の期待は見事に外れて、好みに合わない感じを持ったから、時間をかけて読んだにもかかわらず、ストーリーに入り込めなかったのが残念だ。

「不思議の国のアリス」の世界を愛す、児童書の編集者・綿畑克二はスナック”蟻巣”でうたた寝をして夢でアリスの世界へ。夢と現実を行き来する克二と、編集長殺人事件。と言うような世界に入り込むために、時を経てもう一度読んでみようか?

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0202.スキップ

2002年05月01日 | ファンタジー
スキップ
読了日 2002/5/1
著 者 北村薫
出版社 新潮社
形 態 文庫
ページ数 571
発行日 2000/05/30
ISBN 4-10-137321-3

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

読書計画3年目に入ったという割には、最近のミステリー事情に疎く、この本も何も知らずに読んだら、「ターン」、「リセット」という作品と並んで、“時と人”というテーマで書かれた3部作だということだ。
昭和40年代の初め、17歳の女子高生が夕方レコードを聞きながら転寝をして、目覚めると25年後の世界で彼女は42歳になっていた、という物語はなんとも切なく、しかし、前向きに健気に現在を受け入れていく彼女の生き方に感動する。
「時と人」といえば、まったく次元は違うものの僕にはもう一つ印象深い物語がある。といっても、タイトルは判らず内容もうろ覚えという状態。
手塚治虫氏の漫画で、主人公の少年が時間をとめることのできる世界に行った後、普通の世界に戻ってもその時間を止める能力が身に付いたままだったので、その能力を生かして活躍する、といった話だったようだ。
たぶん小学生高学年か、中学に入学した頃か、手塚氏のファンなら知っているかもしれないが・・・。
「時間よ止まれ」というセリフだけが今もって忘れられないでいる。
それはおいて、何時になるかわからないが、「ターン」も「リセット」も読んでみよう。

 


0117.龍は眠る

2001年07月15日 | ファンタジー
龍は眠る
読了日 2001/7/15
著者 宮部みゆき
出版社 新潮社
形態 文庫
ページ数 253
発行日 1995/02/01
ISBN 4-10-136914-3

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

これで、著者の本は5冊目だ。読むたびに違う世界へと誘ってくれる。平易な文章と誘い込むような語り口に、物語の中へと引き込まれる。
本書は、週刊誌の記者・高坂が嵐のような雨の山中で、自転車のパンクで立ち往生していた少年と出会うところから幕が開く。
少年の話すことに不審を感じていると、少年は「超能力者なんだ」という。
サイキックと呼ばれる超能力者を扱ったストーリーである。昔、アメリカからユリ・ゲラーという超能力者を自称する男が来日して、TVでスプーンを曲げるなどして、日本中の話題をさらった後、インチキだった事が暴露されて、がっかりしたことが有った。
だが、この作品を読むと、そういうことがあるのかも知れないという気にさえなる。それは、サイキックそのものが話の本筋でなく、そうした能力を持ち合わせた人間の生活や、苦悩などを暖かい目で見守るという姿勢がリアル感?を生んでいるのだと思う。また、現在のように情報技術が発達して、情報過多の時代になっても、こうした話に胸が躍るのは、どこか知らないところにそうした能力を持った人たちがいるのではないかと、期待する気持ちがあるのだろう。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0105.魔術はささやく

2001年05月20日 | ファンタジー
魔術はささやく
読了日 2001/5/20
著者 宮部みゆき
出版社 文藝春秋
形態 文庫
ページ数 406
発行日 1993/01/25
ISBN 4-10-136911-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

10年位前にこの作品が山口智子氏や吉岡秀隆氏の出演でドラマ化され、NTVで放送された。その当時ぼくは著者のことを全く知らず、日本推理サスペンス大賞受賞作のドラマ化だというので、期待してビデオ録画したのだが、その後テープも残っていないところを見ると、ドラマは期待したほどでもなかったのか、原作を読んでみようとも思わなかったようだ。
ところが、昨年10月に読んだ「蒲生邸事件」が良かったので、改めてこの作品も読んでみようと思ったのだ。本は読んでみないと判らないとは、今まで何度となく思ったことなのだが、今回もその思いを新たにする結果となった。
全く関連のないと思われる三つの死の真相に迫っていく少年。少年はサイキックだった。現実には考えられないような話が、妙なリアル感を持って迫ってくる筋運びに引き込まれる。ミステリーとはこうしたものだと納得させられる。原作を読んで、もう一度ドラマを見たくなった。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村