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ゆみねこ日記

日常日記です。

6月の読書記録

2024-07-02 05:52:56 | ブックレビュー
6月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:7495
ナイス数:2536

ブルーネスブルーネス感想
東日本大震災をきっかけに傷ついて地震研究所の広報職を辞めた準平は、学界のプリンスと呼ばれる武智要介にとあるプロジェクトへの参加を持ちかけられた。立ちはだかる様々な困難を「チーム武智」は乗り越える。【ウミツバメ】が実際に津波予測に活躍してくれることを期待したくなる。とても面白く、理系オンチの私でも一気に読了した。
読了日:06月02日 著者:伊与原 新
とり天で喝! ゆうれい居酒屋4 (文春文庫 や 53-8)とり天で喝! ゆうれい居酒屋4 (文春文庫 や 53-8)感想
新小岩駅南口商店街の路地裏にある小さな居酒屋・米屋。女将の秋穂の作るお手軽だけど美味い料理に惹かれてやってくるのはご近所の常連さんたち。しかし、たまに訪う一見さんたちは、何故か悩みを抱えていて、米屋に引きつけられるようにやってきて、いつの間にか秋穂に悩みを打ち明ける。パターンは同じだけど、いつも美味しそうな料理と人情の機微に唸らされる。5話目のお話しは、ゆうれい居酒屋に本物のゆうれいが…(笑)楽しく読了。
読了日:06月03日 著者:山口 恵以子
父がしたこと父がしたこと感想
読み終えてタイトルの意味を噛みしめる。主君と家族、どちらを守るのが正しいのか?ズシンと重く心に残る一書。
読了日:06月04日 著者:青山 文平
われは熊楠われは熊楠感想
世の中の全てのことを知り尽くしたい、南方熊楠の並外れた好奇心に突き動かされるような生き方。世間に認められない苦悩、家族との軋轢、天皇へのご進講という栄光と最愛の息子との別離。奇人の夫を支え続けた妻の松枝さんを牧野富太郎の妻のスエさんと重ねてしまった。
読了日:06月05日 著者:岩井 圭也
彼女がそれも愛と呼ぶなら彼女がそれも愛と呼ぶなら感想
母・伊麻と3人の恋人たちと暮らす高校生の千夏。千夏は3人のことが大好きでだが、複雑な家庭事情を仲の良い友人にも明かせない。伊麻の高校時代の友人・絹香は家族のために自分を抑えて生きてきたが新たな恋に一歩踏みだす。千夏と恋人の関係がどんどん嫌な方向に進むことに心が痛くなり、絹香の夫にイライラした。大好きな人に本当のことを伝えることは大切なこと。伊麻さんのような母親を持ったら娘としては苦労が多いだろうな…。
読了日:06月07日 著者:一木 けい
鬼の哭く里鬼の哭く里感想
岡山県姫野村。この村で終戦後、農地解放で没落した地主の巌尾利兵衛が起こした村人6人惨殺事件。犯人・利兵衛の遺体は見つからず、数年に一度村にある鬼哭山から利兵衛の咆哮が響き、村人が死ぬ…。令和の世に至っても因習が残り村人の中に根付いた利兵衛の呪い。コロナ禍で東京から移住した麻宮を目の敵にする村の若い衆(5〜60代)たち。村で生きることを嫌い麻宮に近づこうとする中学生の裕也。科学的な謎解きの面白さと、最後の殺人事件の真相。面白くて一気読み。
読了日:06月08日 著者:中山 七里
対決対決感想
ある医大の入試で女子に対する採点を意図的に下げている。衝撃的な「噂」を耳にし、調査に取り組む新聞記者の檜葉菊乃。大学の理事・神林晴海は事務職から抜擢され理事の地位に就いた。男性優位の世の中で理不尽な思いを重ねてきた2人の女性。敵対する立場での対決はとても読み応えあり!面白かった。
読了日:06月09日 著者:月村 了衛
ゴミの王国ゴミの王国感想
東京の民間清掃会社で契約社員として働く日下部朝陽は、育った環境から異常なほどの潔癖症。ある日隣の部屋の住人・佐野友笑の部屋がゴミで溢れかえる汚部屋であることに気付く。相容れないはずの二人がどうなるか?まあ、結末は予想どおり。参考文献に滝沢秀一さんの著作が。
読了日:06月10日 著者:朝倉 宏景
小田くん家は南部せんべい店小田くん家は南部せんべい店感想
南部せんべい店を営む一家の物語。小4の弘毅の成長を見守る家族たち。とてもハートフルで良い本。南部せんべいが食べたくなります。
読了日:06月11日 著者:髙森美由紀
トゥデイズトゥデイズ感想
神奈川県R市の中古マンションで暮らす夫婦と保育園児の3人家族。飛び降り自殺から始まる不穏な出だしとは裏腹に子どもを持つ夫婦の日常を描き、淡々と進む物語。小編の「舟」の方が好み。水兵リーベ僕の舟、懐かしい!
読了日:06月13日 著者:長嶋 有
キッチンつれづれ (光文社文庫 あ 61-3)キッチンつれづれ (光文社文庫 あ 61-3)感想
大好きなアミの会のアンソロジー。今作のゲストは福澤徹三さん。「わたしの家には包丁がない」新津きよみ、「離れ」松村比呂美、「お姉ちゃんの実験室」永嶋恵美が特に良かった。
読了日:06月13日 著者:アミの会
日輪草 泥濘の十手 (小学館文庫 Jあ 03-2)日輪草 泥濘の十手 (小学館文庫 Jあ 03-2)感想
泥濘の十手シリーズ第2弾。おまき親分・亀吉・要が料理屋で開かれた華やかな衣装比べの最中に起きた毒殺事件を追う。しかし、今作は亀吉の成長譚。大店の跡取りとして将来を考え、要とのこれからに思いを馳せる。とても面白く、次巻が楽しみ!
読了日:06月15日 著者:麻宮 好
婚活食堂10 (PHP文芸文庫)婚活食堂10 (PHP文芸文庫)感想
真行寺の紹介で小料理屋をやりたいという桂木日向がめぐみ食堂で修行することに。日向が良い子で恵との息もピッタリ、夢の実現まで一直線かと思ったら、思わぬ方向から魔の手が…。しかし、恵の見抜く力と日向の感じた違和感から無事に良い結果が。相変わらず美味しそうな料理がたくさん!いつも参考にさせてもらっています。今作では「はじめ食堂」や「ゆうれい居酒屋」の常連さんたちも登場。
読了日:06月16日 著者:山口 恵以子
サイレントクライシスサイレントクライシス感想
海外からの帰国者が謎の発病、深夜にも関わらずマンション全戸の除染作業の最中に一人のサラリーマンの自殺死体が発見された。その死因に不審感を持った所轄の刑事たち。奥多摩にある建設会社を調べる中、ひき逃げで命を落とした女性刑事。兄で刑事の独自の捜査でとんでもない事実が発覚。最後まで一気に読めて面白い。確かにこの国はテロに対する備えが甘すぎる。
読了日:06月17日 著者:五十嵐 貴久
きらん風月きらん風月感想
掛川日坂宿の煙草屋「きらん屋」、店主は栗杖亭鬼卵という戯作者。そこをお忍びで訪れたのは老中の職を辞した松平定信。定信は名乗らずにひとりの殿様として鬼卵の来し方を聞く。いや、鬼卵の語りが痛快!定信がやり込められるのがなんとも面白い。『世の中の 人と多葉粉のよしあしは 煙となりて 後にこそ知れ』。政治家のみなさんにお薦めしたい1冊😆
読了日:06月19日 著者:永井 紗耶子
最後の甲賀忍者最後の甲賀忍者感想
江戸幕府の大政奉還、忍者の里・甲賀で暮らす人々の間にも激震が。長い太平の世に忍びの技も忘れた甲賀忍者が武士としての復権をかけて新政府軍に参戦し、北越の戦いへ。5人のクセの強い忍者たちの戦いの行方、まずまず楽しめた。
読了日:06月20日 著者:土橋 章宏
カラフルカラフル感想
高校の入学式の朝、駅のホームで思わぬ出会いをした荒谷伊澄と渡辺六花。伊澄は陸上短距離を怪我で諦め、六花は病気で車椅子のユーザーになりミュージカル女優への道を諦めた。二人のクラスでの位置取り、40キロの道を歩く「青嵐競歩」への挑戦。まさに青春!爽やかで胸がきゅんとする。中高生以上、大人の皆さんもぜひ読んでほしい1冊。
読了日:06月20日 著者:阿部 暁子
愚か者の石愚か者の石感想
明治18年、国事犯として北海道・樺戸集治監に収監された瀬戸内巽。冤罪による投獄に恨みを抱く巽、同房の山本大二郎は夢のような法螺を吹く。当時の過酷な労役、生きて釈放される人の少なさ。収監された人々を監視する中田看守。帯に「圧巻の長編監獄小説」とあるが、まさにその通り!川﨑さんの骨太な長編、お薦め本!
読了日:06月23日 著者:河崎 秋子
キャント・バイ・ミー・ラブ 東京バンドワゴンキャント・バイ・ミー・ラブ 東京バンドワゴン感想
堀田家の大きなテーブルを囲む賑やかな朝食風景。東京バンドワゴンの隣地のクリエーターハウス「ステージバス」のオープンへの準備も順調。そんな中で研人や芽莉依に仕掛けられた悪意も、みんなの協力でキレイにクリア!鈴花ちゃん・かんなちゃんの成長に目を細め、池沢さんと我南人のなれそめも明かされる。表紙の素敵なイラストは幸せいっぱいの結婚式。LOVEに溢れた1冊、勘一じいちゃんの健康長寿を願いながら楽しく読了。
読了日:06月24日 著者:小路 幸也
クスノキの女神クスノキの女神感想
クスノキの番人シリーズ第2弾。ラストは切なくて、でもとても温かく、心に染みる1冊に。玲斗の成長が嬉しく、千舟さんの変化が切なく。今作は家族の愛の物語でもあったかと。また時間をおいて読み返してみたい。お薦め!
読了日:06月25日 著者:東野 圭吾
きよのお江戸料理日記 (5) (アルファポリス文庫)きよのお江戸料理日記 (5) (アルファポリス文庫)感想
おきよの成長ぶりがめざましいシリーズ第5弾。「千川」で酒合戦(呑み比べ)、長屋に引っ越してきた大工と身重の女房。拐われて吉原に売られそうになり逃げ出した子沢山の百性の末娘・おれん。「千川」の主の留守で板長弥一郎が奮闘する。様々な出来事を通しておきよの店を持つことへの決意も強くなる。次巻が楽しみ!
読了日:06月26日 著者:秋川滝美
令和元年の人生ゲーム令和元年の人生ゲーム感想
うーん…世代格差だろうか。。おばさん(いや、おばあちゃん)には中々読了するのに難儀さを感じた。田舎の高校卒業して社会人になった身には理解し難い世界。直木賞候補になったということで手にしてみた1冊。
読了日:06月27日 著者:麻布競馬場
同じ星の下に同じ星の下に感想
両親からの虐待に苦しむ中2の有乃沙耶は、ある日両親が次の週末海で自分を殺害する計画を建てていることに気づく。金曜日の下校途中、児童相談所の渡辺と名乗る男の車に乗せられそのまま誘拐・監禁される。監禁下でも男は沙耶を丁寧に扱い、やがて沙耶は「本当の父親」ではないかと思い始める。2000万円の身代金目当ての犯行声明文を道警に送り、クズの両親との対峙。最後に明かされた犯行の動機と真相。良い本でした。八重野統摩さん、初読み。
読了日:06月28日 著者:八重野 統摩
町なか番外地 (一般書)町なか番外地 (一般書)感想
旧江戸川沿いの小さなアパート「ベルジュ江戸川」、1DKと2LDKがそれぞれ2部屋ずつ。両親と娘の3人家族、あとは独身男性ひとりと独身女性2人がそれぞれ生活をする。特別大きな事件がある訳でもないが住人たちが日々を過ごす中での小さな出来事や気付き。小野寺さんらしい作品。
読了日:06月29日 著者:小野寺 史宜

読書メーター

5月の読書記録

2024-06-01 09:46:50 | ブックレビュー
5月の読書メーター
読んだ本の数:19
読んだページ数:5926
ナイス数:2235

少女が最後に見た蛍少女が最後に見た蛍感想
神奈川県警生活安全課・仲田蛍シリーズ第4弾。仲田が警察官になり子どもが関わる事件を次々に解決に導くその根底にあったものは?唯一救うことが出来なかった蛍子という少女の死が仲田の心に影を落としていた。来栖楓という女が腹立たしく、いじめなどと言う言葉では言い尽くせないほどの性悪さに読み終えても怒りが収まらない。
読了日:05月01日 著者:天祢 涼
本を守ろうとする猫の話本を守ろうとする猫の話感想
うーん…。猫が主人公かと思いきや。。祖父が亡くなり、ひとり残された高校生の夏木林太郎。古書店『夏木書店』を居場所に、不登校を続ける林太郎の目の前に現れた不思議な喋るトラ猫。本を取り巻く現実を憂える作者の思いは想像出来るけれど、林太郎にあまり魅力を感じられなかったのが残念。
読了日:05月07日 著者:夏川 草介
予幻予幻感想
ボディーガード・キリ、シリーズ第3弾。世界情勢を予測する「ホワイトペーパー」、亡き父からその文書を託された娘の岡崎紅火を護れ。各国の諜報組織から狙われるその文書。謎を握る人物が相次いで殺される。真犯人の動機がやや弱い気もするが、キリとバディの弥生のやり取りが面白くて分厚いのにサクサク読めた。深読みせずに楽しめて良い。
読了日:05月09日 著者:大沢在昌
江戸咎人逃亡伝江戸咎人逃亡伝感想
「島脱け」主の命で勘定奉行の不正の証を時期が来るまで秘密の場所に隠した杢之助は、その後捕らえられて佐渡に。生きては出られない地獄の島からの脱出劇。「夢でありんす」吉原の花魁・春日野の足抜け、それを追う力蔵。「放召人討ち」罪を犯した召人を野に放ち、手下に討ち取らせる久保田藩主。放召人となったマタギの決死の逃避行。リアルな逃亡劇はとても読み応えあり。面白かった。
読了日:05月10日 著者:伊東潤
猫を処方いたします。2 (PHP文芸文庫)猫を処方いたします。2 (PHP文芸文庫)感想
心に問題を抱えて、猫を必要とする人だけがたどり着ける「中京こころのびょういん」。軽いノリのニケ先生と無愛想な美人看護師・千歳さん。ニケ先生の秘密が…。
読了日:05月14日 著者:石田 祥
互換性の王子互換性の王子感想
飲料メーカーの御曹司・志賀成功(なりとし)が何者かにより別荘に軟禁され、絶望の末半年後に開放され会社に戻ると、かつて自分がいたポストには突如現れた異母兄実行(さねゆき)が就いていた。社運を賭けた新商品開発、ライバル社のえげつない妨害、一人の女性を巡る恋の駆け引き。異母兄弟の争いだが、さほどドロドロしたわけでもなく、お仕事小説として楽しめた。ドラマ化したら面白そう。
読了日:05月15日 著者:雫井 脩介
二人目の私が夜歩く (単行本)二人目の私が夜歩く (単行本)感想
幼い頃交通事故に遭い睡眠障害に悩む女子高生・鈴木茜は、偶然寝たきりで呼吸器をつけた厚浦咲子の「おはなしボランティア」をすることに。10歳以上歳上の咲子と心を通わせ、少しファンタジックな「昼のはなし」。咲子の印象がガラリと変わりダークな「夜のはなし」。最後まで読んで咲子の抱えていた苦しみ、もうひとりの茜の思いが伝わり、切ないけどとても心に残る読書に。お薦めです!
読了日:05月17日 著者:辻堂 ゆめ
すべての神様の十月(三) (PHP文芸文庫)すべての神様の十月(三) (PHP文芸文庫)感想
人々の暮らしの中に色々な神様が。福の神・死神・風神・雷神から付喪神、心優しき八百万の神様たちと人間の不思議な縁は読んでいてとても楽しい。「コンビニで恩返し」「方向音痴は治りません」、韋駄天のタクシードライバーの「間に合わせます」が面白かった。
読了日:05月18日 著者:小路 幸也
鳥人王鳥人王感想
コンビ存続の危機にあり、運動神経の良さだけが評価される売れない芸人・御子柴陸。その生い立ちと端正なルックスで注目を浴びるバリ五輪代表候補の大学生・犬飼優正。二人を繋いだのは棒高跳び。棒高跳びという競技の持つ魅力や奥深さ、ポールの開発に挑む研究者の姿。スポーツ観戦が好きなのでとても面白くて、オリンピックが目前に迫ったこの時期に読めて良かった!
読了日:05月20日 著者:額賀 澪
東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫 な 41-2)東京すみっこごはん 雷親父とオムライス (光文社文庫 な 41-2)感想
東京すみっこごはん第2弾。声優を目指す女の子がたどり着いた「すみっこごはん」、唐揚げのお話。妻を亡くした頑固な有村老人と筑前煮のお話。有名中学受験のため勉強と身体に良い食事を義務付けられた小4の秀樹くんとオムライス。すみっこごはん常連の田上さんが大活躍する「ミートローフへの招待状。再開発を巡って不穏な雰囲気だったが、上手く存続できそうで良かった。
読了日:05月21日 著者:成田名璃子
ロスト・イン・ザ・ターフロスト・イン・ザ・ターフ感想
兄の遺した競馬バーを営む葵は、ある日大井競馬場のパドックで芦毛の牡馬・ウララペツに出会い、一目惚れする。メジロマックイーンの最後の世代の産駒だが、ぱっとしない戦績のこの馬、いずれは引退し食肉に…。ウララペツを買い取り種牡馬にしようと兄の親友前島や元馬主の穴澤らと奔走する。軽く読めて競馬界のことも少し分かり面白かった。やはり「黄金旅程」には及ばないかな。
読了日:05月22日 著者:馳 星周
江戸に花咲く 時代小説アンソロジー (文春文庫 み 17-61)江戸に花咲く 時代小説アンソロジー (文春文庫 み 17-61)感想
江戸の三大祭り、神田・山王・三社祭りがテーマのアンソロジー。三本雅彦さん、高瀬乃一さんは初読み。宮部みゆき「三島屋変調百物語」の最新作、『氏子冥利』が秀逸!
読了日:05月24日 著者:宮部 みゆき,諸田 玲子,西條 奈加,高瀬 乃一,三本 雅彦
照子と瑠衣照子と瑠衣感想
面白かった〜!私とほぼ同世代の照子と瑠衣、モラハラ夫を捨てた照子と老人マンションでの陰湿なイジメに音を上げた瑠衣。二人がシルバーのBMWで向かったのは長野の別荘地。行き当たりばったりで他人の別荘に潜りこんだ二人は生き生きと暮らし始める。しかしこの場所を選んだのは照子の周到な計画だった。爽快感と愉快さで楽しめた1冊。
読了日:05月25日 著者:井上荒野
嘘をついたのは、初めてだった嘘をついたのは、初めてだった感想
書き出しはすべて「嘘をついたのは、初めてだった」。29人の作家による掌編、初めての作家も多々。相性の良し悪しもあったが短編が苦手なのでサラッと読み飛ばしてしまった。
読了日:05月25日 著者:
警視庁01教場 (角川文庫)警視庁01教場 (角川文庫)感想
元見当たり捜査員・甘粕仁子は犯人追跡中にレインボーブリッジから転落し大怪我を負う。捜査の第一線を離れ警察学校の教官になり1330期の学生を受け持つが、積極的に学生に向き合わない態度に助教の塩見は振り回され悩みを深くする。警察学校前に人の左脚が置かれる事件、学生間のトラブル。仁子が抱えていた問題が明かされ、事態が一気に動く。読みやすく面白い!01教場、ぜひシリーズに。
読了日:05月26日 著者:吉川 英梨
夜露がたり夜露がたり感想
砂原さんの市井ものは初めて。どの作品も仄暗く重たい。武家物の長編の方が私は好み。8編の中で「妾の子」は救いがある結末で読み心地は良い。
読了日:05月27日 著者:砂原 浩太朗
陰からの一撃 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫 と 5-14)陰からの一撃 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫 と 5-14)感想
西川の自宅のポストに宛名も差出人も書かれていない封筒が。「真犯人は今も逃げている。追跡捜査係に情報を提供する」と書かれていて、夜の晴海埠頭に単身赴いた西川に魔の手が。怪我のせいか少し弱気になる西川、沖田と若手の追跡捜査係の面々は西川を襲った犯人を追う。西川を狙った人物、小さ過ぎて…😅 柿谷晶はこの作品でも感じ悪い😁
読了日:05月29日 著者:堂場 瞬一
キッチン・セラピーキッチン・セラピー感想
宇野碧さん、初読み。人生の迷子になった大学院生は家にあるすべての食材を使って作る「カレー」。家事と子育てに追われ自分の好きなものを忘れてしまった母親が作る「完璧なパフェ」。「ジビエ料理」はライフステージの変化に悩む女性医師。町田診療所の主・モネの過去と、豆を愛した彼の姉・エミのお話。読みやすく、料理の持つ力が伝わる1冊。
読了日:05月31日 著者:宇野 碧
テミスの不確かな法廷テミスの不確かな法廷感想
10歳の時ASDとADHDと診断され、良き専門医との出会いで自身の特性と向き合いながら生きてきた裁判官・安堂清春。任官7年目の彼が様々な事件や人との出会いを通じ成長してゆく物語。彼の特性があればこそ解決に至った事案もあれば、宋春美の事件は少しモヤモヤした結末に。弁護士・小野崎とのこれからも気になるので、続編を期待したい。
読了日:05月31日 著者:直島 翔

読書メーター

4月の読書記録

2024-05-01 15:03:28 | ブックレビュー
4月の読書メーター
読んだ本の数:25
読んだページ数:8108
ナイス数:3081

そして誰かがいなくなる (単行本)そして誰かがいなくなる (単行本)感想
覆面作家・御津島磨朱李が建てた新築の洋館。こだわりの新邸のお披露目会に招待された作家・文芸評論家・編集者、そして名探偵。外は吹雪、外部との連絡は絶たれ事件が…。何と言っても舞台となったのが下村先生ご本人のご自宅!QRコードでリアルなお宅を拝見してため息。。楽しく読了。アナグラム(笑)
読了日:04月01日 著者:下村 敦史
ブラック・ショーマンと覚醒する女たちブラック・ショーマンと覚醒する女たち感想
元マジシャンの神尾武史が営むバー「トラップハンド」。姪の真世は建築士に。殺人事件は絡まないが、武史のマジックで救われる女性たち。「リノベの女」と「続・リノベの女」が良かった!
読了日:04月02日 著者:東野圭吾
兎は薄氷に駆ける兎は薄氷に駆ける感想
資産家の叔父を殺害した容疑で逮捕起訴された日高英之。取り調べは過酷で供述調書に署名捺印させられ裁判に。そこで無実を訴え、検察・警察を相手に息詰まる法廷劇が始まるが、英之の目的は自身の無罪を勝ち取ることでは無かった。英之の弁護をする本郷弁護士、その依頼を受けて事件の調査をする垂水と英之の恋人・千春。分厚さに一瞬怯んだが一気に読了。
読了日:04月04日 著者:貴志 祐介
ひなた商店街 (潮文庫)ひなた商店街 (潮文庫)感想
アクション俳優を辞め故郷の佐賀に戻った近江貴仁。叔母夫婦が営むおでん屋を手伝うことになるが、そこは寂れたシャッター通り商店街。残っているのはおでん屋を含めたった五軒。文具店に居候している女子大生・菜実との出会い、忍者装束でお客に対応したところから大きく変わってゆく商店街。上手く行き過ぎな感はあるが、そこは楽しく読めたのでOK。こんな風にインバウンドやSNSを取り込んで再生する商店街があっても良い。面白かった!
読了日:04月05日 著者:山本 甲士
まいまいつぶろまいまいつぶろ感想
不自由な身体に生まれたため、廃嫡を噂される長福丸(後の家重)。低い身分ながらただ一人家重の言葉を理解出来たため小姓として使えることになった兵庫(後の忠光)。「まいまいつぶろ」
と蔑まれながらも聡明で高潔な家重を支え続けた忠光。『もう一度生まれても、私はこの身体でよい。そなたに会えるのならば』素晴らしい作品、感動のうちに読了。お薦め!
読了日:04月06日 著者:村木 嵐
方舟を燃やす方舟を燃やす感想
文章は読みやすく語られる時代は自分の人生と重なるのに、なんだろう読み終えてモヤッとしたものが…。1967年生まれの飛馬と戦後すぐに生まれた不三子がコロナ禍の子ども食堂で出会い、そこで生まれたものとは?不三子には共感出来ず。自分が信じたもの、それを信じ続けることの是非、角田さんは読者に問いかけるためにこれを書いたのだろうか。
読了日:04月08日 著者:角田 光代
有罪、とAIは告げた有罪、とAIは告げた感想
中国製のAI裁判官【法神2号】を試験導入することになり、新人裁判官・高遠寺円がテスト運用を担当することに。裁判のデータを入力すると実際の判決文とほぼ同じものを弾きだす驚異の精度の【法神2号】。そんな中で18歳の少年による父親殺しの裁判を【法神】にシュミレートさせることに。AIが弾き出した判決は…!うーん、まだまだ日本の裁判ではAI裁判官は導入されないと思うが、中国製と言うものはあり得ない。崎山さんの箴言と諫言が一番心に残った。
読了日:04月09日 著者:中山 七里
ゼロ打ちゼロ打ち感想
選挙の投票が締め切られ、開票が始まった直後に開票率0%に近い時点で当確を報じることを『ゼロ打ち』と呼ぶ。大和新聞社会部の記者・片山芽衣は衆議院選挙の報道センターに配属され、激戦区東京一区の担当になる。国会議員の秘書・中村は東京一区の新人候補の大学教授の事務所の応援に。片山、中村それぞれのパートで話は進むが、ゼロ打ちにまつわるあれこれより、隠された裏金問題や殺された都議の話の方が興味深かった。相場さんの渾身の作、読み応えあり。
読了日:04月11日 著者:相場 英雄
鼓動鼓動感想
18年の引きこもりの果てに二人を殺害した草鹿秀朗。彼に殺害されたホームレスの老女は何者なのか?事件を追う奥貫綾乃刑事は殺された老女に自分の未来を重ねる。やがて明らかになる事件の真相、8050問題、引きこもりを食い物にする悪徳業者。親も完璧な人間ではないし、子どもも好んで引きこもるわけではない。現代の日本が抱える問題、重く受け止める読書に。
読了日:04月12日 著者:葉真中顕
春休みに出会った探偵は春休みに出会った探偵は感想
父子家庭の安住花南子は父の海外赴任を機に曾祖母・五月が経営するさつきハイツに入居。近所に住む同学年の根尾くんと様々な事件や謎に巻き込まれ(首を突っ込む)。暴走気味の中学生コンビとクールな調査員の今津。謎に包まれた今津氏の正体は最後に明らかになる。
読了日:04月13日 著者:大崎梢
四重奏四重奏感想
放火事件に巻き込まれ命を落としたチェリストの黛由佳。由佳の演奏に魅了されていたセミプロのチェリスト・坂下英紀は、彼女の死の真相を探るため「火神」の異名を持つチェリスト・鵜崎顕の『鵜崎四十奏団』のオーディションを受けようとする。音楽を理解すること、演奏者も聴衆も、とても難しいことだと感じた。
読了日:04月14日 著者:逸木裕
はるか、ブレーメンはるか、ブレーメン感想
3歳で母に捨てられ、祖父母に育てられた小川遥香16歳。祖母が亡くなり一人ぼっちになった遥香が出会った『ブレーメン・ツアーズ』の葛城。人が亡くなるときに見る「走馬灯」を描くと言う少し胡散臭いその会社。しかし葛城により、遥香には人の記憶を覗く能力があることに気付く。幼なじみのナンユウくんと共に認知症の老女・光子さんの走馬灯作りの手伝いをすることになる。後半で遥香を捨てた母のことが明らかになり、泣けた。人の記憶が見えるってキツいだろうな…。
読了日:04月16日 著者:重松 清
定食屋「雑」定食屋「雑」感想
第1話はアンソロジー「ほろ酔い読書」で既読。沙也加は、ある日夫の健太郎から離婚して欲しいと言い出され家から出ていかれた。夫の行きつけだった定食屋『雑』でアルバイトをすることに。『雑』でみさえの作る大雑把で味の濃い料理を手伝い、常連客とのやり取りをしながら変わってゆく沙也加。みさえの来し方も含め、とても読みやすく面白かった。第1話では沙也加の頑なさで健太郎は息苦しいだろうと思ったが、話が進むとクズっぷりに腹が立つ。
読了日:04月17日 著者:原田 ひ香
望月の烏望月の烏感想
新たな金烏の座に就いた凪彦。その后候補の4人が登殿の儀に臨む。蛍・鶴が音・山吹・桂の花、そして落女として宮中で働く美しい澄生。山内を支配する博陸候雪斎(雪哉)。后選びの行方も、行方をくらました澄生も、先が気になって早く続編が読みたい。外界の動きも気になる。
読了日:04月18日 著者:阿部 智里
こまどりたちが歌うならこまどりたちが歌うなら感想
親戚が営む製菓会社に転職した小松茉子。5歳上でハトコの伸吾は父の跡を継いで社長に就任したばかり。頼りない伸吾、理由あってパートとして長年働いているぶっきらぼうな亀田さん。パワハラ上司の江島と怒られてばかりの部下の正置。会社の古いルールを変えようと奮闘する茉子にも、前職での苦い失敗が。声をあげないと分かってもらえない。働く人たちへのメッセージ小説と受け止めた。
読了日:04月19日 著者:寺地 はるな
家族解散まで千キロメートル家族解散まで千キロメートル感想
喜佐家には結婚するまで実家を出てはならないと言うルールがある。兄は既に結婚して埼玉に住み、長女と次男の結婚が決まり、それを機に古い家を壊し両親もアパートに入居することに。家の解体まであと3日に迫った元日、いつも家にいない父を除く家族全員で片付けをしていると倉庫から『青森の神社から盗まれたご神体」が見つかった!翌朝までに返却するということで青森へと向かうドタバタロードムービーかと思ったら最後は一転して家族論…。うーん、なんだろう、少しモヤモヤな読後感。
読了日:04月20日 著者:浅倉 秋成
山に抱かれた家 (小学館文庫 は 3-5)山に抱かれた家 (小学館文庫 は 3-5)感想
房総の海の近くの暮らしから群馬県西部の山間地域へ。縁もゆかりもない限界集落で古い家屋を自力で直し、長年休耕地だった畑に手を入れながらひとりで暮らし始める。気候も住む人々も異なる村でクセの強い住人との付き合いには不安が…。凪子が共に暮らすようになると、また新しい希望がうまれるかな?続編を待ちたい。
読了日:04月21日 著者:はらだ みずき
十字路十字路感想
雨降る夜、自宅前で刺殺された小学校教師。現場を目撃してしまった義理の娘。強盗殺人の線で捜査を開始する警視庁だが捜査は難航する。独自の視点で事件を調べる星野警部とバディの坪川。そんな折、殺害現場付近を自転車で走行していた大学生・椎野流夏の父親が毒殺される。何の関わりもない2つの殺人事件の根底にあった鬼畜たちの所業。天才的な絵の才能に隠されていた真実が切なかった。
読了日:04月22日 著者:五十嵐 貴久
成瀬は信じた道をいく成瀬は信じた道をいく感想
成瀬が巻き起こすあれやこれや、巻き込まれる周囲の人々。ファンの小学生、成瀬を見守り心配する父、バイト先で出会うクレーマー(をやめたい)主婦、ともに観光大使になった女子大生、幼なじみの島崎の視点からの成瀬。「探さないでください」が一番面白かった。これからの成瀬を楽しみにして第3弾を待ちたい。
読了日:04月23日 著者:宮島 未奈
正しき地図の裏側より正しき地図の裏側より感想
第36回小説すばる新人賞受賞作。1994年1月、雪の降る夜、苦労して貯めた8万円を無職の父に奪われ、衝撃の言葉を投げつけられ、怒りを抑えきれず殴りつけ雪の中に放置して故郷から逃げた耕一郎。父を殺してしまったと思い、僅かな所持金を手に故郷から逃げ、ホームレスに。救いの手を差し伸べたホームレス。日雇いの肉体労働、屋台のたこ焼き屋、町工場の工員、出会いと別れを繰り返し、数年後に故郷に帰った耕一郎を待ち受けていた事実は?良かった、耕一郎、幸せになれ!
読了日:04月23日 著者:逢崎 遊
私、死体と結婚します (ハルキ文庫 さ 25-2)私、死体と結婚します (ハルキ文庫 さ 25-2)感想
遠距離恋愛を経て婚約者の住む札幌に転居した七海は、婚姻届を出す予定の朝、夜勤から帰宅し婚約者・真悟の遺体を発見する。しかし、警察に通報もせず、予定通り婚姻届を提出する。4日後の月曜日迄遺体をそのままにして結婚したその理由は?う〜ん…相手のことを知りたいのなら、結婚する前にキチンと話し合うべきかと思ったり。もやっとした。
読了日:04月24日 著者:桜井 美奈
夢の終幕 ボーダーズ 2 (集英社文庫)夢の終幕 ボーダーズ 2 (集英社文庫)感想
警視庁SCU(特殊事件対策班)シリーズ第2弾。人気バンドFOTが松本のライブ終了後、ツアーバスごと消えた。八王子ICで高速を降りたあとの行方を、若手の最上が中心になり追ってゆく。マネージャーが遺体で発見され、メンバーたちは監禁された状態で見つかった。謎に包まれた事件が未解決のまま、SCUに持ち込まれた代議士秘書への脅迫状。全く接点がない2つの事件は思わぬ形で繋がった…。5人の能力が面白く、驚いたのは結城さんの「ガムドロップクッキー」😁
読了日:04月25日 著者:堂場 瞬一
無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記感想
ある日突然余命宣告をされたら?もしも自分だったら?残された日々、それでも書くことをやめなかった山本さん。ひとり残されるダンナ様の心情を思いながらの読了。未読の山本さんの作品を少しずつ読んでいこうと思う。
読了日:04月25日 著者:山本 文緒
家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまで家で死ぬということ ひとり暮らしの親を看取るまで感想
同居している実母の介護問題に直面しているタイミングでこの本を読めたことは良かった。来月連休明け早々に介護認定のために役所の担当者が来宅される。私の場合、同性の母を看ることになるけれど、著者の場合はお父さま。色々と大変だったと思う。ピンピンコロリ、コロリってそんなに簡単にいかないっていう現実を突きつけられた。
読了日:04月26日 著者:石川 結貴
spring (単行本 --)spring (単行本 --)感想
バレエという総合芸術、その神に愛された「萬 春」。8歳でバレエに出会い、15歳で海外へ。HALという天才を共に海外へ出た深津純、叔父の稔、幼なじみでバレエから作曲の道に進んだ滝澤七瀬が語り、HAL自身の回想を合わせて紡いだ物語。中性的な美しさ、スラリとした体型、観る人を惹きつけるその魅力。何作かバレエ公演を観た記憶から想像する。現実にHALの舞台を観たい、HALの虜になりたいと思ってしまう。傑作、お薦めです!
読了日:04月28日 著者:恩田 陸

読書メーター

3月の読書記録

2024-04-01 19:12:30 | ブックレビュー
3月の読書メーター
読んだ本の数:35
読んだページ数:10670
ナイス数:3677

この銀盤を君と跳ぶこの銀盤を君と跳ぶ感想
冬のオリンピックを目指すフィギュアスケート選手たち。卓越した技術とセンス表現力の京本瑠璃と圧倒的な身体能力で限界超えのジャンプを持つ雛森ひばり。彼女らを支えるパートナーである振付師とコーチ。二人三脚で目指す2030年のオリンピック。面白くて一気読み。女子フィギュア、6年後に男子を超えるようなスコアが!😅 綾崎隼さん、初読み。
読了日:03月01日 著者:綾崎 隼
迷犬マジック(2) (双葉文庫 や 26-10)迷犬マジック(2) (双葉文庫 や 26-10)感想
"迷い犬"として突然誰かの前に現れる黒柴・マジック。母の交際相手・重さんと上手く関係を築けない賢助、些細なことで怒り暴力をふるい仕事を失った若者・隼、元警察官の労の歩行旅の道連れをして、独居老人の原屋敷さんの家へ。原屋敷さんの家から去らなかったマジック、続編も積んであるので読むのが楽しみ。読むと幸せな気持ちになる1冊、お薦め!
読了日:03月02日 著者:山本 甲士
迷犬マジック(3) (双葉文庫 や 26-11)迷犬マジック(3) (双葉文庫 や 26-11)感想
迷い犬マジックのマジックは今巻でも冴えています。怪我で挫折したやり投げのオリンピック代表候補、会社のオヤジ体質に悩まされる技術職女性。自分に自信を持てない小5女子、市民からのクレーム対応と上司の板挟みで苦労する市役所職員。悩んでいる人の前にひょっこりと現れ、マジックが起こす魔法。これはまだ続編出るかな?楽しく読了。
読了日:03月03日 著者:山本 甲士
凍る草原に鐘は鳴る凍る草原に鐘は鳴る感想
羊を放牧する草原の民と町に定住する民。昔のモンゴルを想像出来るような世界観。この地で暮らすすべての民を襲った悲劇、動くものが見えなくなる奇病。草原に額縁を立て、その中で演手たちが鮮やかな物語を繰り広げる「生き絵」の物語を作り演出を手掛けるマーラの絶望。マーラたちアゴールの民に仕掛けられた陰謀。「生き絵」を想像しながらの読書。松本清張賞受賞作、天城光琴さん、初読み。
読了日:03月05日 著者:天城 光琴
一夜:隠蔽捜査10一夜:隠蔽捜査10感想
著名な作家・北上輝記が小田原で誘拐された。犯人から何の要求も連絡もないまま安否も不明。小田原に出向いた竜崎は捜査本部へ、そこに北上の友人の作家・梅林が絡む。誘拐事件はあっさりと解決したが、犯人の犯行動機はハッキリしない。事件の真相は…。相変わらず会話のテンポが良く、サッと読破出来る。今作の竜崎さん、ややマイルド?
読了日:03月05日 著者:今野 敏
まぼろしを織る (一般書)まぼろしを織る (一般書)感想
母の死で生きる意味が分からなくなった槐はコロナ禍で職も失い、川越で染色工房を営む叔母の家に居候していた。亡き祖母は高名な紬作家、祖母に反発していた母と伯母。槐は叔母伊予子にも心を開けずにいたが、そこに人気女性画家の転落死に巻き込まれて心を閉ざした従兄弟の綸が同居することになる。草木染め、藍染め、経糸と緯糸の色を選んで布を織ること。生き物の命から生まれる糸は綸と槐の生きる力となってゆく。美しい再生の物語、とても良かった。伊予子さん、槐と綸の3人にまた会いたい。
読了日:03月06日 著者:ほしお さなえ
ここでは祈りが毒になるここでは祈りが毒になる感想
前作の記憶が曖昧で、読み始めても中々乗れず。不摂生の極みのような妊婦・敏江の突然死、失明を恐れ死にたいと言う明美の不審な死。事件性はないとの判断だが、ヒロインの矯正医官の由衣は死因を調べる。塀の中の人より、受刑者の家族のほうが辛いことは間違いない。しかし由衣さん、上司の言う事を聞かな過ぎ。
読了日:03月07日 著者:嶋中 潤
仕事のためには生きてない仕事のためには生きてない感想
食品会社に勤めるサラリーマン・多治見勇吉35歳。異物混入騒動をめぐる社長の発言が炎上した翌日、社長発案の[スマイルコンプライアンス]を実現化するため新設部所に異動になる。読み始めは今ひとつ乗れなかったが、後半にどんどん面白くなる。社長に忖度する役員たち、不毛な会議、趣味のバンド活動への思い、よりよく働ける職場を目指す勇吉の奮闘物語。
読了日:03月08日 著者:安藤 祐介
をんごくをんごく感想
大正末期の大阪船場、画家の壮一郎は妻・倭子の死を受け入れられずにいた。巫女に降霊を頼むがかなわず、「普通の霊とは違う」と言われる。倭子は壮一郎のもとに現れるが気配も声も歪で…。倭子の霊を探る壮一郎は顔のない「エリマキ」と出会う。怖さはさほどでも無く、なぜ倭子が恐ろしいものになったのか、理由が切なかった。「エリマキ」、良い味を出していた。北沢陶さん、初読み。横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作。
読了日:03月08日 著者:北沢 陶
写真館とコロッケ ゆうれい居酒屋3 (文春文庫 や 53-7)写真館とコロッケ ゆうれい居酒屋3 (文春文庫 や 53-7)感想
秋穂さんがうたた寝から目覚め、居酒屋「米屋」の営業を始めるとご近所の常連さんがやってきて。そこへ一見の客、何かワケアリのお客たちは「米屋」の美味しい料理と秋穂や常連さんたちの言葉に生きるヒントをもらう。後日お礼に訪れて「米屋」の真実を知ってビックリというワンパターンなのにとてもホッコリと読みやすい。巻末のレシピはいつもありがたく参考にさせてもらっている。
読了日:03月09日 著者:山口 恵以子
戦国女刑事戦国女刑事感想
面白くて、何度も笑い声を上げながらの読書。警視庁捜査一課5係を率いる尾張の大うつけこと織田信子。腹心の木下秀美・明智光葉・柴田勝代・森蘭、そこへ配属された新人徳川康子(笑)信子にぞっこんなホストは斎藤濃!ライバルたちを次々に逮捕し、野望達成かと思いきや本能寺。深読みなしで楽しく読める1冊。
読了日:03月11日 著者:横関 大
山ぎは少し明かりて山ぎは少し明かりて感想
ダム湖の底に沈むことになった「瑞ノ瀬村」。そこで生まれ育った祖母と娘、町で生まれた孫娘。イタリア留学の夢破れ適応障害になった孫娘・都の章。村の暮らしを嫌い町でガムシャラに働き生計を立てる娘・雅代の章。圧巻は祖母佳代の物語。美しい自然と豊かな山里の暮らしと幼なじみたちと過ごした少女時代。戦争で思う人を兵隊に取られ大切な妹との別れ。戦後、戦争から戻った孝光との暮らしを一変させたダム建設。切なくて悲しい最後だがとても心に残る一書。
読了日:03月12日 著者:辻堂 ゆめ
うたう (単行本文芸フィクション)うたう (単行本文芸フィクション)感想
大学軽音部でバンドを組んだ4人。卒業後2年で解散。ヴォーカルの絹枝は母を傷つけた記憶を引きずっていた。ギターの航治郎はバンド解散後もプロを目指すが挫折、ベースの知哉は結婚後もアルバイトの身で働く妻を支える日々。ドラムスの正道は資格試験に挑む。音楽を諦めた仲間が次の一歩を踏み出す。うーん、三部作の続きにしては少し薄味な印象。
読了日:03月13日 著者:小野寺史宜
ホルモー六景ホルモー六景感想
八月の御所グラウンド→鴨川ホルモー→ホルモー六景と読み、この世界観がたまらなく好きになった。玄武組二人静の鴨川(小)ホルモー、凡ちゃんのローマ風の休日、もっちゃん、同志社大学黄竜陣、丸の内サミット、長持の恋。面白かった!
読了日:03月14日 著者:万城目 学,岩瀬 聡
ななつのこ: 第3回鮎川哲也賞受賞作ななつのこ: 第3回鮎川哲也賞受賞作感想
加納さんのデビュー作で第3回鮎川哲也賞受賞作。私が加納さんの作品に出会ったのは「ささらさや」からだったのでこちらは未読だった。30年以上前の作品だけど、少しも古さを感じない。感性の瑞々しさと文章の平明さ、そしてミステリーの部分もさすが加納朋子さんと言える作品←上から目線失礼します!最新作ワンとのつながりも分かって大満足。名作は色あせないと思った。
読了日:03月15日 著者:加納 朋子
芸能界芸能界感想
芸能界の舞台裏を描いた7つの短編。読みやすいのでサクサク進む。50歳の女優がインスタにハマる「いいね」と震災の町からデビューした女子中学生と父親「娘は女優」が面白くて印象に残った。
読了日:03月15日 著者:染井 為人
ごはん食べにおいでよごはん食べにおいでよ感想
サッと流し読み。何となく説教くさく感じて乗れなかった。小手鞠るいさん、合う作品と合わない作品のブレ巾があってこれは今ひとつ。残念。
読了日:03月16日 著者:小手鞠 るい
六人の嘘つきな大学生六人の嘘つきな大学生感想
超人気企業の最終面接に残った6人の大学生。1ヶ月後までに最高のチームを作り上げグループディスカッションをし、結果次第では全員に内定が出るはずだった。本番直前に課題が変更され6人の中から1人の内定者を決めることに。仲良く全員で内定をもらおうとしていた仲間からたったひとつの席を奪い合うことに。本番に持ち込まれた6通の封筒、個人名が書かれた告発文。誰が嘘をついているのか?話題の作品、とても面白かった!地元図書館、蔵書が1冊だけだったので長いこと待ちました。
読了日:03月17日 著者:浅倉 秋成
殺した夫が帰ってきました (小学館文庫 さ 40-1)殺した夫が帰ってきました (小学館文庫 さ 40-1)感想
面白かった。崖から突き落とし殺したはずの夫・和希が5年後に現れた。果たして夫と名乗る男は何者?その目的は?アパレルメーカーで働く鈴倉茉菜の過去の罪と愛。無戸籍・ネグレクト・DV、重い内容に心が痛くなるが、ラストは希望がみえる方向でとても良かった。
読了日:03月18日 著者:桜井 美奈
殺める女神の島殺める女神の島感想
孤島に集められた7人のミスコンファイナリスト。外見も内面も美しく秀でた人物たちのはずが…。主催者が瀕死の重症を負い、美女たちも次々に殺される。美しい外見と裏腹に隠された内面の汚らしさが露わになる。犯人は7人の中のひとり、その目的は?中々面白かった。
読了日:03月18日 著者:秋吉 理香子
レイアウトは期日までにレイアウトは期日までに感想
職も住まいも失い崖っぷちのデザイナー・赤池めぐみは、SNSでスタッフを募集していた桐生青のところで住み込みで働くことに。天才・気まぐれと業界内での噂のたえない青、めぐみが最初に任されたのは電話番と4匹の猫の世話。デザイナーのプライドが傷つけられて凹むめぐみ。そんな二人がやがて良きパートナーとなり新しい未来へ。軽く読めて楽しめます。上手く行き過ぎかもしれませんが、小説として楽しむなら良いです。
読了日:03月19日 著者:碧野 圭
緊立ち 警視庁捜査共助課緊立ち 警視庁捜査共助課感想
群衆の中から手配犯を探す川東小桃は「カメラアイ」と呼ばれる特殊能力を持つ。佐宗燈は広域捜査を担う。二人の女性刑事の捜査と逮捕劇、犯人を見つけて追い確認して逮捕。とても緊迫感があり面白く読んだ。また二人の女性刑事の悩みにも触れ今までにない刑事ものになっているのが興味深い。これはシリーズになって欲しい!
読了日:03月20日 著者:乃南 アサ
山口恵以子のめしのせ食堂: こころとお腹を満たす物語と「ご飯のおとも」山口恵以子のめしのせ食堂: こころとお腹を満たす物語と「ご飯のおとも」感想
読んでいると目茶苦茶ご飯が食べたくなる!美味しいご飯とお味噌汁が2種類、あとは全国各地のお取り寄せ「ご飯のおとも」。デパートを定年退職した女性が自宅を改装してオープンした『めしのせ食堂エコ』。小説は短編だが中身は濃くて読み応えあり。山口恵以子さんと長船クニヒコさんの共著で気になるものはお取り寄せ出来るようになっている。
読了日:03月21日 著者:山口 恵以子,長船 クニヒコ
みとりねこみとりねこ感想
旅猫リポート外伝2編を含む7つの短編集。外伝は本編を思い出し涙がジワっと…。表題作「みとりねこ」は浩美と浩太が共に育つ姿にほっこりからのラストの切なさ。「シュレディンガーの猫」が一番有川さんらしくて楽しかった。猫って素晴らしい生き物だ😊
読了日:03月22日 著者:有川 ひろ
宿罪 二係捜査(1) (角川文庫)宿罪 二係捜査(1) (角川文庫)感想
捜査一課に「遺体なき殺人事件」を専任とするニ係がある。資料を読み込み小さな端緒を見つけ事件解決へと結びつける。15年前突然姿を消したひとりの女子高生。彼女の行方を追い続け、病に倒れた水谷早苗巡査。水谷の遺志を継ぎ事件を調べる香田警部はニ係の信楽京介に再捜査の協力を依頼する。事件は町田と相模原、警視庁と神奈川県警が絡む。執念で容疑者を追い込み、事件を解決する。しかし、証拠は無く、あの取り調べは…。事件そのものは鬼畜の所業、胸糞悪い。
読了日:03月23日 著者:本城 雅人
さっちゃんは、なぜ死んだのか?さっちゃんは、なぜ死んだのか?感想
小さな公園でホームレスの女性が殺害された。公賀沙知=さっちゃんはなぜ誰に殺されたのか?バブル崩壊と就職氷河期、女性の貧困と性搾取。ブログ作者、女性新聞記者、沙知の来し方を辿るが…。真梨さんの作品なのでややこしい。最後に死んださっちゃんはいったい誰?読み終えてもスッキリしない。
読了日:03月23日 著者:真梨 幸子
レーエンデ国物語レーエンデ国物語感想
家に縛られていた貴族の娘・ユリアは、騎士団長で英雄の父と共に旅に出る。そこは呪われた地、レーエンデ国。古代樹の森で出会ったのは寡黙な射手トリスタン。満月の夜に現れる銀の霧、体を銀色の鱗で覆われやがて死に至る銀呪病。とても壮大なファンタジー、どっぷりとその世界観に浸り、物語を堪能出来た。物語は長い歴史の序章、続編も読みたい。本屋大賞候補作。多崎礼さん、初読み。
読了日:03月25日 著者:多崎 礼
うまいダッツうまいダッツ感想
喫茶部に入部した4人の高校生。実態はおやつを持ち寄りダラダラと食べる「おやつ部」。アラタ・コウ・セラ・タキタが手軽に手に入るお菓子を食べながら日常の謎を解く。うまい棒、チロルチョコ、バカウケ、ブルボンのプチシリーズやホワイトロリータ、森永マリーなど知っているお菓子が登場し、高校生の会話なども含めて楽しく読めた。
読了日:03月26日 著者:坂木 司
うらはぐさ風土記うらはぐさ風土記感想
離婚を機にアメリカから帰国し、武蔵野の一角・うらはぐさの伯父の家に住むことになった沙希。母校の女子大で教職につき、うらはぐさ地区に縁のある人々やユニークな女子大生たちとの出会い。町なかの四季、美味しそうなごはん、変わりゆく町と変わらずに残したいもの。特に大きなことが起きるわけではないが、とても楽しい読書が出来た。
読了日:03月26日 著者:中島 京子
老害の人老害の人感想
老害をまき散らす迷惑な年寄りたち。昔話、自慢話、趣味の講釈に病気自慢、孫自慢…。戸山福太郎の老害ぶりに最初はドン引きしながらの読書。実の娘・明代に切れて叱られてもめげない。老害五重奏(カルテット)がコロナ禍にも負けず、サロンを立ち上げる。居場所があり楽しく過ごせる高齢者は幸せだと思う。我が家の老母も同じ話を繰り返し繰り返し😅
読了日:03月27日 著者:内館 牧子
アンサンブルアンサンブル感想
劇作家・島村抱月と女優・松井須磨子、この二人の恋愛沙汰と家庭内のいざこざを、若き日の中山晋平の目を通して描かれたもの。新しい演劇を作ろうとする当時の人々の熱、家庭では良き父親でたくさんの子どもに恵まれながら須磨子にのめり込む抱月。妻・市子が気の毒で抱月の身勝手さに辟易した。三角関係に巻き込まれた中山晋平の物語。
読了日:03月28日 著者:志川節子
17歳のビオトープ17歳のビオトープ感想
とある高校の校務員・平人生、彼のことを人生先生と呼び相談を持ちかける悩める高校生たち。若い年代の読者たちは共感し感動できる1冊になるかと。
読了日:03月29日 著者:清水 晴木
ヒポクラテスの悲嘆ヒポクラテスの悲嘆感想
シリーズ第5弾。光崎教授は出番少なめ、古手川刑事メインのような作品。引きこもりの40代の娘と70代の両親、同じく引きこもりの50代の息子と80代の両親。80代の認知症の妻を介護する70代の夫。引きこもりの60代と元気な90代の父。キャリア官僚の60代父とロスジェネ世代30代の息子。検視官が自死や事故死と判断しても納得出来ない古手川。光崎教授が真実を見つける…。しかし、恐ろしい企みが。。引きこもりが全員犯罪者予備軍ではないけれど、家庭の問題は難しい。
読了日:03月30日 著者:中山七里
別れの季節 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-11)別れの季節 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-11)感想
料理の道に邁進し、紅屋でおやすの存在は欠かせないものに。世間は戊午の大獄でざわつき不安に思う日々、そんな中、十草屋に嫁いだお小夜さまが病弱な息子のことで悩み、里帰りをして、おやすに心のうちを語る。タイトルに不安を感じながら読み切ると、おやすの健気な決意に涙が…。そして迎えた3月3日の雪の朝、おやすは時代の流れとどう関わってゆくのか?美味しそうな料理に空腹を感じながら読了。
読了日:03月31日 著者:柴田 よしき
フェスタフェスタ感想
北海道浦河の小さな牧場で生まれた「かむなび」。ステイゴールド→ナカヤマフェスタの血を引くこの馬にかける人々。生産者・馬主・厩務員・調教師・ジョッキー、関わるすべての人と目指す『凱旋門賞』。夢中で読み終えて大満足。面白かった!
読了日:03月31日 著者:馳 星周

読書メーター

2月の読書記録

2024-03-01 09:18:42 | ブックレビュー
2月の読書メーター
読んだ本の数:33
読んだページ数:11027
ナイス数:3601

ちぎれた鎖と光の切れ端ちぎれた鎖と光の切れ端感想
島原湾の孤島・徒島のコテージに集まった8人の男女。先輩を痛めつけられた恨みを晴らすため、自分以外の7人を殺害するつもりで毒を持ち込んだ樋藤清嗣。殺害を躊躇う樋藤、しかし参加者のひとりが殺され、次々に殺人事件が。第一部は何とも重苦しく読み難かったが、この大量殺人から3年、大阪に舞台を移してからの展開が面白かった。熊本から大阪に出てきた清掃センター職員の真莉愛と刑事の新田のコンビは良い。2作目でこのクオリティー、荒木さんこれからが楽しみ。
読了日:02月01日 著者:荒木 あかね
逆転正義逆転正義感想
6つの短編はどれもどんでん返しで結末に驚かされる。「保護」は雨の夜コンビニの前で濡れて佇む女をアパートに誘う男…、ラストは驚愕の!「ストーカー」これはあり得なすぎてイマイチ。秀逸なのは「死は朝、羽ばたく」。刑務所を出てきた男を恐喝する少年たち。殺人者の男の正体はまさかの。読みやすいのであっという間に読了。
読了日:02月01日 著者:下村 敦史
オイサメサンオイサメサン感想
小学生の夏休みに「視える」ようになった檜木鈴。赤い服を着た爪のない女に怯える鈴を救ったのは祖母から貰った「オイサメサン」の指輪。9年の後、アルバイト先のファミレスで出会ったのは「祓える」力を持った人物。殺人事件に巻き込まれたり、生き霊が視えたり、悪いものとの対峙の場面は恐ろしい。しかし霊より怖いのは生きている人間の悪意。怪しいなと思った人物はやはり…。
読了日:02月03日 著者:神津 凛子
椿ノ恋文椿ノ恋文感想
ツバキ文具店シリーズ第3弾。守景さんと結婚し、QPちゃんに妹と弟が。年子の小学校入学を機に代書屋を再開した鳩子。可愛かったQPは受験生になり反抗期真っ只中、先代の秘められた恋が発覚したり、気難しい隣人との関係に悩んだり。余命わずかな母から嫁ぐ娘への手紙、認知症になった自分にあてた手紙など、手書きの手紙の温かさにとても癒やされる。大好きなこのシリーズ、また続きが読めたら嬉しい。
読了日:02月03日 著者:小川 糸
ぼくは青くて透明でぼくは青くて透明で感想
両親との縁が薄く血の繋がらない継母と暮らす海。高校1年生の夏、転校した学校で出会った忍。イジメに遭っている璃子との奇妙な友情。多様性の時代と言われるようになっても普通と違うものを嫌悪する人。海に継母の美佐子さんがいてくれて良かった。
読了日:02月04日 著者:窪 美澄
昭和の焼きめし 食堂のおばちゃん(14) (ハルキ文庫 や 11-16)昭和の焼きめし 食堂のおばちゃん(14) (ハルキ文庫 や 11-16)感想
「はじめ食堂」の近所の焼き鳥屋が閉店し、そこに若い女性店主が経営するラーメン屋が開業。ランチにラーメンの提供を考えていた「はじめ食堂」にピンチ?ラーメン屋の店主・千歳さんの奮闘と、一子さんの格好良い啖呵!タイトルの昭和の焼きめしも、コロッケも美味しそう。このシリーズを読むと料理への意欲が湧いてくる気が…😅巻末のレシピ、いくつかは真似てみたい。
読了日:02月05日 著者:山口 恵以子
ラストエンペラーラストエンペラー感想
ガソリン車からEVへの転換期、大手自動車メーカー・トミタは、後世に残る最高級ガソリン車「エンペラー」の開発に取り掛かる。あまり関心のないジャンルなので、サクッと読了。
読了日:02月06日 著者:楡 周平
首都襲撃首都襲撃感想
世界中で立て続けに起きたテロ事件に対抗し[テロ撲滅世界会議]を東京で開催することに。その結果東京がテロの標的として狙われることに。都内のあちこちで爆破事件が起こり会議の目玉として招かれていた元少女兵母子の命が狙われることに。命を投げ出すことに躊躇いのないイスラム過激派と、彼らを支援する日本人。そして黒幕は…。とにかく人が大勢犠牲になる。こんな事態が起こらないことを願いつつ読了。ハラハラドキドキの1冊。
読了日:02月07日 著者:高嶋 哲夫
月のうらがわ月のうらがわ感想
子が亡き母の住む月へ向かおうとする物語[つきのうらがわ]。長屋の隣人・坂崎清之介の部屋で書きかけの本を見つけた13歳のお綾は、弟正太と近所の子おはると共に考え始める。3年前に母を亡くしたお綾と正太、両親を喪ったばかりのおはる。坂崎の優しさを慕う子どもたちと坂崎の負った心の傷。大切な人を思う気持ちと子どもたちの思い。心温まる素敵な1冊、期待に違わぬ麻宮さんの2作目。お薦め!
読了日:02月08日 著者:麻宮好
あの光あの光感想
ハウスクリーニングの仕事をしている高岡紅は独立し、「開運お掃除サービス」を立ち上げる。紅のブログがインフルエンサーの目に留まり書籍出版とセミナー開催と一躍人気者に。自己啓発・承認欲求、中々考えさせられる内容に一気に引き込まれた。
読了日:02月08日 著者:香月 夕花
八月の御所グラウンド八月の御所グラウンド感想
全国高校駅伝、都大路を駆け抜ける超絶方向音痴の女子高生。八月、猛暑の御所グラウンドで開催される謎の草野球大会。京都なら、そういう不思議が起きても不思議ではない気がする。第170回直木賞受賞作!面白くて爽やかで大好きな作品。万城目さん、おめでとうございます。
読了日:02月09日 著者:万城目 学
キオクがない! (文研じゅべにーるYA)キオクがない! (文研じゅべにーるYA)感想
自転車の事故で記憶を失った中2の孝太郎。以前の自分はどういう人間だったのか?温かく見守る家族、隣に住むカンナやクラスメイトの倉持くん、そしてかって親友だった高城くん。中学年向きの1冊だが、大人が読んでも考えさせられる。
読了日:02月09日 著者:いとうみく
放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件(2024年本屋大賞ノミネート)放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件(2024年本屋大賞ノミネート)感想
知念さん初の児童書。小4のクラスメイト辻堂天馬・柚木陸・神山美鈴、通称[ミステリトリオ]が担任の真理子先生の依頼で学校プールに金魚が泳ぎ、楽しみにしていたプール授業が中止になった事件の謎を解く。小学生が初めて手に取るミステリーとしてはピッタリかも!2024年本屋大賞ノミネート作品。
読了日:02月09日 著者:知念実希人
放課後ミステリクラブ 2雪のミステリーサークル事件放課後ミステリクラブ 2雪のミステリーサークル事件感想
放課後ミステリクラブ第2弾。雪の校庭に出現したミステリーサークル。誰がどのような方法で描いたのか?その目的は?賢い天馬くん、運動神経抜群の美鈴ちゃん、合気道の達人陸くんのトリオが謎を解く。今作も楽しく読了。
読了日:02月10日 著者:知念実希人
あけくれの少女あけくれの少女感想
尾道の12歳の少女・真記。「どこで、どうやって生きていくのかうちは自分で決めたい」と誓ってから20年。大好きな英語を学び友情を育んだ中高、念願叶って進学した東京での大学生活からの大きな転換。必死で働き奨学金返済に努めた時期。真記の真っ直ぐな生き方に感動。とても良い読後感を味わえた。お薦め!
読了日:02月10日 著者:佐川 光晴
彷徨う者たち彷徨う者たち感想
震災からの復興とは何だろう?仮設住宅の一室で町役場の職員の他殺体が見つかり、捜査にあたる笘篠・蓮田の二人の刑事。震災で無くしたものの有無で隔たりはあるのか?蓮田の過去への悔恨と刑事としてのジレンマ。笘篠の鋭さは相変わらず、宮城県警シリーズの完結編。
読了日:02月11日 著者:中山 七里
夜明けを待つ夜明けを待つ感想
エッセイで佐々さんのユーモアにクスリとさせられ、ルポルタージュでは真摯に取材に臨む姿に感動を覚え心を揺さぶられた。「会えない旅」の無量さんとは再会して欲しいと切に思う。ご病気のことは最近知ったばかりで、あとがきに胸が痛くなってしまった。どうか奇跡が起きて快癒していただきたい。もっと佐々さんの渾身のルポルタージュを読みたいと思いながらの読了。
読了日:02月12日 著者:佐々 涼子
聖母の共犯者 警視庁53教場 (角川文庫)聖母の共犯者 警視庁53教場 (角川文庫)感想
実子を過失致死させた女性受刑者が、医療刑務所への移送中に脱走。翌日、卒業式真っ只中の警察学校に学生と助教官を人質に立てこもる。女は「彼女が起こしたとされる事件の真犯人を突き止めよ」と要求。女を支援する人物は?五味と綾乃は真相究明に乗り出す。相変わらず五味の推理は冴えている。そして恋の行方も急展開、結衣と高杉の親子デートも。
読了日:02月13日 著者:吉川 英梨
正義の翼 警視庁53教場 (角川文庫)正義の翼 警視庁53教場 (角川文庫)感想
捜一に復帰予定の五味、最後の教え子となる1300期の生徒たちが入校してきた。その夜府中市内で起きた交番襲撃事件、警官が殺され五味教場の卒業生も怪我をした。1300期は場長を中心にかってないまとまりの良さを見せるが、様々な問題が表面化する。交番襲撃の犯人を追う綾乃、生徒たちを徹底して守ろうとする五味と高杉。シリーズ最悪のモンスターと対峙する五味。今作も面白くて一気読み。
読了日:02月14日 著者:吉川 英梨
カラスの祈り 警視庁53教場 (角川文庫)カラスの祈り 警視庁53教場 (角川文庫)感想
シリーズ第5弾は前作で卒業させなかった悪魔のような男を抱え込んだ五味の苦悩が描かれる。信念を持って抱えたあの男のために教場も家庭も歪みが…。歴代の卒業生たちと綾乃があの男の犯罪の裏付けのために奔走し、証拠を固めてゆく。モンスターはなぜモンスターになったのか?結末に驚き、五味の愛情で彼が心を開く過程に心が震えた。順番に読んでこそ、このシリーズの良さがわかる。面白かった!
読了日:02月15日 著者:吉川 英梨
おつとめ 〈仕事〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)おつとめ 〈仕事〉時代小説傑作選 (PHP文芸文庫)感想
6人の女性作家による江戸のお仕事小説アンソロジー。許嫁を拒絶して大奥に入ったお利久は出世を志す=永井紗耶子「ひのえうまの女」と宮部みゆき「鬼は外」が良かった。桑原水菜・泉ゆたかは初読み作家。
読了日:02月16日 著者:宮部 みゆき,梶 よう子,永井 紗耶子,中島 要,泉 ゆたか,桑原 水菜
19471947感想
1947年米国の統治下の東京に、戦場で捕虜になり不当に斬首された英国軍人の兄の敵を打つため弟のイアンがやって来た。父ゆずりの差別主義者でプライドの高いイアンはあちこちで軋轢を生みながら敵を追う。GHQ、ヤクザ、在日韓国人、元軍人。様々な思惑が入り乱れ、誰が敵か味方か混沌とした戦いが展開する。分厚いけど読み始めると止まらない。長浦さんならではの作品。
読了日:02月18日 著者:長浦 京
もゆる椿もゆる椿感想
道場剣一筋の真木誠二郎は旗本の次男坊。ある日裏目付の佐野に見込まれある役目を言い渡される。尊皇攘夷派の黒幕を誅殺するために派遣される刺客の供を江戸から京までせよと。刺客の正体が驚きの…。可愛い顔して凄腕のお美津は12歳。道場では強くても真剣での立ち会いは未経験、血を見るのが怖い誠二郎がお美津の指南で力をつけてゆく。そして陰謀うごめく京都での闘い。読み友さん絶賛の本作、とても面白く一気読み!天羽恵さん、初読み。また、楽しみな作家さん誕生!お薦め本!
読了日:02月19日 著者:天羽恵
水脈水脈感想
神田川の排水口から遺体が発見された。台風の雨で増水した影響で地下水路の暗渠を通って流された遺体。他殺体と確認され捜査にあたることになった真壁・宮下のコンビ。そこに修士論文作成のため捜査を見学させて欲しいとひとりの大学院生が加わる。迷路のような地下水路、更に2体の遺体も発見。殺害された被害者たちの正体と、隠された犯罪の闇。面白くないわけではないけど、なんかスッキリ出来なかった。
読了日:02月20日 著者:伊岡瞬
最後の光 警視庁総合支援課2 (講談社文庫)最後の光 警視庁総合支援課2 (講談社文庫)感想
総合支援課シリーズ第2弾。シングルマザー森野夏海の息子・蓮が交際相手の岡江に殺害された。我が子を亡くした夏海に寄り添う晶と心を閉ざしたままの夏海。夏海が隠していた蓮の父の登場とその失踪からの展開。中々重い真実に読み心地は良くない…。なんと言っても晶が苦手。
読了日:02月21日 著者:堂場 瞬一
鴨川ホルモー鴨川ホルモー感想
八月の御所グラウンドからこちらへ。京大の謎のサークル「京都大学青竜会」大真面目に展開する戦いや儀式の面白さ!そして青春😄「レナウン娘」やら「大木凡人」、リアルで知っているだけに噴き出すほど笑えた。凡ちゃんがだんだん可愛くなるのが愛おしかった。青い着物で走る人々を見てみたい。「ホルモー六景」も読んでみよう。
読了日:02月23日 著者:万城目 学
夏日狂想夏日狂想感想
明治生まれの野中礼子。モデルは中原中也と小林秀雄との三角関係で有名な長谷川泰子とのこと。女優になることを望み、夢破れ、書く女として生きた。女性が自立して生きることが困難な時代、生き辛かっただろうな…。
読了日:02月24日 著者:窪 美澄
鷹の惑い鷹の惑い感想
「日本の警察」シリーズも世紀末、平成第2弾に。30年間海外逃亡していたはずの極左の最高幹部が仙台で発見され、警視庁移送中に公安一課は痛恨のミスをおかす。捜査一課は目黒の空き家で元代議士秘書が殺害した事件の捜査に。一見無関係に思えた2つの事件をつなぐもの。海老沢が上司に命じられた極秘の特命捜査。オウム事件以降、変化した公安警察のあり方など考えさせられる内容。海老沢・高峰も中間管理職になり、平成の終わりもみえてくる本作。第6弾はどうなる?面白かった!
読了日:02月26日 著者:堂場 瞬一
マンション フォンティーヌマンション フォンティーヌ感想
墨田区鐘ヶ淵築60年の[マンション フォンティーヌ]は、中庭に噴水、真っ白なアーチのフランスにあるような建物。78歳・フランス人の大家さんとワケアリの住人たち。そして強面の管理人。こんなマンションに暮らしてみたくなる。小路さんの描く物語は、疲れた心を癒やしてくれる。シリーズにならないかな?嶌谷さんのその後の物語を読んでみたい。
読了日:02月26日 著者:小路幸也
私労働小説 ザ・シット・ジョブ私労働小説 ザ・シット・ジョブ感想
シット・ジョブ=クソみたいに報われない仕事。1985年の福岡、店員→ホステス→英国へ行きベビーシッター。クリーニング工場での深夜労働を経て英国、賄い厨房→保育士→貧困層へのボランティアやHIV病棟でのボランティア。作者が経験した数多の仕事と差別や格差、搾取する側される側。鋭い筆致で問題を突きつけるかのような文章。とても考えさせられた1冊。
読了日:02月27日 著者:ブレイディ みかこ
警官の酒場警官の酒場感想
道警シリーズ第1シーズン完結編。相変わらず遊軍として大通署にいる佐伯と新宮。機動隊にいる津久井、少年課の小島。競走馬の育成牧場の強盗殺人事件、スマホの引ったくり事件、自動車泥棒、それぞれ別の事案を追ういつものメンバーたち。事件のクライマックスはジャズバー・ブラックバード。それぞれの決断で新しい舞台へ。とても楽しく読ませて貰った。あの2人、やっと…😊
読了日:02月28日 著者:佐々木 譲
わたしたちに翼はいらないわたしたちに翼はいらない感想
同じ地方都市で生きる3人。中学時代に虐められていた園田は転勤で地元に戻る。虐めた側の大樹と妻の莉子、莉子と同じ保育園に娘を通わせているシングルマザーの朱音。虐められた方は決してその時の傷を忘れないが、虐めた方は悪気もなく生きている。ママ友マウント、モラハラ夫、毒親…。中々に重たく考えさせられる読書になった。朱音のキッパリした生き方が強くて清々しい。
読了日:02月29日 著者:寺地 はるな
南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山 (徳間文庫)南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山 (徳間文庫)感想
中編2作。「リタイア」アイドルの安西友梨香と作家の鷹森が成り行きで北岳の頂上を目指すことに。山が2人に与えた試練と生き方への覚悟は?「孤高の果て」不幸にも嵐の山で命を落とした若者の親が救助隊を逆恨み。とんでもない行動に出るが…。今作も楽しく読了。
読了日:02月29日 著者:樋口明雄

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