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ゆみねこ日記

日常日記です。

11月の読書記録

2024-12-01 13:27:44 | ブックレビュー
11月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:7208
ナイス数:2488

作家刑事毒島の暴言作家刑事毒島の暴言感想
作家刑事・毒島、シリーズ第4弾。うーん、何だろう。つまらなかったなあ…。
読了日:11月02日 著者:中山 七里
藍を継ぐ海藍を継ぐ海感想
5つのお話、すべてが良かった。地球の成り立ち、日本狼への畏怖、原爆の資料を収集した人物の思い、隕石と父への思い、ウミガメの誕生と遥かな旅。中でも一番好きなのは「狼犬ダイアリー」。作者の科学知識の豊かさが素晴らしい作品を生むのだと思う。短編で読むのはもったいない。
読了日:11月04日 著者:伊与原 新
青姫青姫感想
江戸時代、島原の乱も終わり戦とは遠ざかる時代に「青姫の郷」とよばれる誰の支配も受けず自由経済で成りたつ村があった。武士と悶着を起こし、青姫の郷に迷い込んだ若者・杜宇は、米作りを命じられ、田を拓くことになった。籤で選ばれたという頭領・満姫、村を武士として守る朔。秘密の井戸と薬師の分麻呂。杜宇を追って郷に現れた久四郎。郷を失い、その後の杜宇も良い。米作りファンタジーとしても楽しめた。
読了日:11月05日 著者:朝井まかて
灯 (単行本)灯 (単行本)感想
誰とも関わらずひとりでいることに心地よさを感じている高校生の相内蒼。起業家の母・めぐみは理解ある母親と世間には見られているらしい。しかし、この母親には全く共感出来ず、雪かきの大変さが理解出来るから特に母親には怒りを覚えた。母からの自立を目指し、歩き出す蒼。人に興味のない蒼に冬子と米田という存在がいて良かった!
読了日:11月06日 著者:乾 ルカ
いつかの花: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし (光文社文庫 な 43-2 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)いつかの花: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし (光文社文庫 な 43-2 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)感想
読み友さんの感想から手にした1冊。日本橋の菓子屋で働く小萩は、不器用ながらも一生懸命。中島久枝さんはアンソロジーで読んだ記憶はあるが、初めての作家さん。素敵なシリーズ、追いかけ決定!
読了日:11月07日 著者:中島久枝
なごりの月: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(二) (光文社文庫 な 43-3 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)なごりの月: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(二) (光文社文庫 な 43-3 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)感想
生まれ故郷に戻った小萩は、懸命に家族を説得し牡丹堂に戻ってくる。その牡丹堂に現れたのは、かつて見世にいた職人・鷹一。牡丹堂のほど近くに「天下無双」という菓子屋を開き、思わぬ騒動が…。シリーズ第2弾も美味しそうなお菓子が満載。面白かった!
読了日:11月08日 著者:中島久枝
罪名、一万年愛す罪名、一万年愛す感想
九州を中心にデパートで財を成した梅田家。創業者・梅田壮吾の米寿の祝いに長崎の九十九島のひとつ、野良島に招かれた探偵の遠刈田蘭平。豪華なディナーのあと、梅田翁が失踪してしまう。梅田家に隠された秘密と、悲しい愛の物語。とても良かった!
読了日:11月09日 著者:吉田 修一
母という呪縛 娘という牢獄母という呪縛 娘という牢獄感想
重く苦しい読書になった。ひとり娘のあかりに異常な期待をかけ、幼い頃から過剰に干渉し勉強を強いる母。医者になりたいというあかりの憧れに縛られ、地元の医大への合格にこだわり続けて9年…。ようやく看護の道を目指し進学したら、次は助産師になれと。殺さなければ母から逃れられないとまで追いつめられる娘。もっと周りに助けを求めていたらと。あかりさんが刑期を終え、父親の待つ場所で穏やかに暮らしてくれたらと思う。
読了日:11月10日 著者:齊藤 彩
サリエリはクラスメイトを二度殺すサリエリはクラスメイトを二度殺す感想
音大附属高校の卒業演奏会で出演者6人のうち、恵利原柊が首席のクラスメイト・雪川織彦を殺害。加賀美希子は右腕を傷つけられた。4年の時を経て、大学の卒業演奏会に、恵利原・雪川以外の4人が出演することになり、再び悲劇が起こる。第一の事件からずっと取材を続ける週刊誌の記者・石神。仲が良かったクラスメイトたちになぜ殺人事件が?最後まで一気に読んだけど、何だか切ない幕切れでモヤモヤした。
読了日:11月11日 著者:額賀 澪
死念山葬死念山葬感想
朝倉さんのホラー作品は初めて。やむを得ない理由で殺し屋の遺体運搬を手伝うことになった日置学。遺体の捨て場がいっぱいになり、新たな捨て場として学の祖母の故郷の山へ。そこは明治のはじめに廃仏毀釈で寺が壊され、山をご神体とする村。。うーん、怖いけど先が気になり一気に読了。でも、モヤモヤが残る。朝倉さんはいつものヒューマニズムあふれる作品の方が良い。
読了日:11月12日 著者:朝倉 宏景
おひとりさま日和 ささやかな転機 (双葉文庫 に 03-09)おひとりさま日和 ささやかな転機 (双葉文庫 に 03-09)感想
前作があったらしいが問題なく楽しめた。咲沢くれはさんは初読み。大崎梢「アンジェがくれたもの」岸本葉子「友だち追加」坂井希久子「リフォーム」咲沢くれは「この扉のむこう」新津きよみ「リセット」松村比呂美「セッション」。定年間近の女性教諭が保護猫と暮らし始める咲沢さんの作品と、坂井希久子さんの離婚式からの指輪をリフォームする物語が良かった。「セッション」面白いけど、やや上手く行き過ぎかな。
読了日:11月13日 著者:大崎 梢,岸本 葉子,坂井 希久子,咲沢 くれは,新津 きよみ,松村 比呂美
赫夜赫夜感想
平安時代初期・延暦19年の富士山噴火。駿河国司の家人・鷹取の目を通して描かれる当時の人々の混乱、焼灰・土石流・溶岩流と相次ぐ災害。当時は坂上田村麻呂の蝦夷討伐の時代。軍馬を養う官牧で働く牧子・安久利や冷静で知恵のある宿奈麻呂が魅力的に思えた。全体の感想としては大作であるけれど、読みにくさが勝ってしまっていた。
読了日:11月16日 著者:澤田瞳子
さかさ星さかさ星感想
戦国時代からの旧家・福森家で起きた陰惨な惨殺事件。4人が殺害され、犯人と目される人物は山中で自殺していた。福森家の親戚の中村亮太は祖母の依頼で霊能者の賀茂禮子とともに事件を調査する。次々に明かされる名品名宝にかけられた呪い。その因を作ったものの非道さ。福森家にかけられた呪いの凄まじさと最後の戦い。一気に読めたから面白かったことは確か。しかし、色々詰め込み過ぎてちょっとお腹いっぱい。
読了日:11月19日 著者:貴志 祐介
その時鐘は鳴り響くその時鐘は鳴り響く感想
愛媛県で30年前に起きた女子学生の事故死と、現代の東京で起きた資産家殺人事件。どこでこの二つがつながるのか?と一気に読む。純粋に音楽で結ばれた学生たちと、一途に殺人事件を追う女性刑事・黒光とワケアリはぐれ刑事の榎並。鍵は香り、面白かった!
読了日:11月21日 著者:宇佐美 まこと
私の最後の羊が死んだ私の最後の羊が死んだ感想
「颶風の王」で河﨑さんを知り、ずっと追いかけている私。なぜ、河﨑さんの作品に惹かれるのか?その答えが詰まっている本書。職業『羊飼い』とあったが、その羊飼いに憧れ、文系の大学を出てすぐにニュージーランドへ羊飼い修行に飛び出す行動力。生き物への畏敬と生命への思い。そして『羊飼い』をやめ専業作家になるまで。読みやすい文章で大好きなエッセイ。河﨑さんを知らない方にも、もちろん河﨑さんのファンの方にもお薦めの1冊。
読了日:11月22日 著者:河崎 秋子
珈琲屋の人々 遠まわりの純情 (双葉文庫 い 42-08)珈琲屋の人々 遠まわりの純情 (双葉文庫 い 42-08)感想
ワケアリのマスターが営む「珈琲屋」シリーズ第6弾。ある日店の前に置き去りにされた5歳の女の子・今日子。「珈琲屋のみなさんへ」という手紙に込められた意味。今日子の存在に思い当たる節のあるプレイボーイの島木と今日子の面倒を愛情たっぷりにする冬子。いきなり店を訪れてカウンターに座る行介の過去に興味がある人々。ちょっとマンネリ気味だと思ったが、今作は転換点になるのかな?次も読む予定のシリーズ。
読了日:11月22日 著者:池永 陽
シルバー保育園サンバ!シルバー保育園サンバ!感想
長年警備会社で勤務し、定年を迎えたときに妻から離婚された銀治。シルバー人材センターの仕事をしながら孤独で怠惰な日々を送っていたが、ひょんなことから保育園の嘱託職員に。強面で体の大きな銀治は女性や子どもが大の苦手だが、子どもたちや保育士たちと少しずつ打ち解けてゆく。障害児との関わりや今どきの保育園事情、中身はかなり重いのだが、疎遠になっていた一人娘・陽子の病のことも含め、銀治が変わってゆく姿が清々しかった。卒園式のシーンには泣かされた。
読了日:11月23日 著者:中澤 日菜子
ふたたびの虹: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(三) (光文社文庫 な 43-4 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)ふたたびの虹: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(三) (光文社文庫 な 43-4 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)感想
シリーズ第3弾。日本橋牡丹堂の人々の優しさあふれるお話。女房に先立たれ塞ぎ込んだ袋物屋の隠居を元気づけるためのお菓子。先輩職人・留助の恋、金沢から江戸の札差に嫁いだ若妻のための五色生菓子など温かい物語。小萩のお菓子修行はまだまだ。
読了日:11月23日 著者:中島久枝
鹿鳴館の花は散らず鹿鳴館の花は散らず感想
公家の娘として生まれた榮子(ながこ)は、岩倉具視の長男に嫁ぐも若くして死別。その後岩倉の勧めで侯爵で外交官の鍋島直大に嫁ぐ。外交官夫人としてイタリアに赴任、帰国してからは鹿鳴館で中心メンバーとして活躍するが、鹿鳴館外交は失敗に終わる。その後の磐梯山噴火から赤十字の活動、榮子の素晴らしい人格と行動力は読み応えがあった。男たちの無理解との戦いでもあり、まさに本物の貴婦人の生涯を描いた良書。
読了日:11月26日 著者:植松 三十里
禁忌の子禁忌の子感想
面白かった!第34回鮎川哲也賞受賞作、満場一致というのも納得。救急医・武田の元に搬送されてきた身元不明の遺体は、武田と瓜二つ。なぜ彼は死んだのか?自身との関係は?読み終えてタイトルの意味に納得!凄い作家が現れた。これからも追いかけたい。
読了日:11月27日 著者:山口 未桜
最高のウエディングケーキの作り方 (単行本)最高のウエディングケーキの作り方 (単行本)感想
老舗ホテルのラウンジ勤務から、元シェフの達也とともにパティスリーを開業することを決めた遠山涼音。いざ婚姻届を出そうという時に感じた違和感の正体?甘いケーキのお話かと思いきや、今の世の中の話題をしっかりととらえた力作。婚活に励む瑠璃の章が面白かった。達也と涼音のお店に行って美味しいケーキを食べてみたくなる。
読了日:11月28日 著者:古内 一絵
こぼれ落ちる欠片のためにこぼれ落ちる欠片のために感想
久しぶりの本多さん。県警捜査1課の和泉は駆け出しの平凡な顔立ちの刑事。とあるマンションでの殺人事件現場で出会った女性刑事・瀬良は目を見張るような美貌だが、コミュニケーションに難がある。しかしその観察力は優れていて、和泉と瀬良がコンビを組んで捜査や取り調べに当たる。3つの事件の結末は何とも言えないものばかりだったが、この2人のこれからをもっと読んでみたくなる。
読了日:11月29日 著者:本多 孝好
耳に棲むもの耳に棲むもの感想
補聴器のセールスマンだった父が亡くなり、かかりつけの耳鼻科医が取り出してくれた4つの耳の骨(カルテット)。父が集めていたコレクションが収まっていたクッキー缶。小川洋子ワールド全開の5つの物語。
読了日:11月30日 著者:小川 洋子

読書メーター

10月の読書記録

2024-11-02 09:51:42 | ブックレビュー
10月の読書メーター
読んだ本の数:21
読んだページ数:6717
ナイス数:2251

舞台には誰もいない (単行本文芸フィクション)舞台には誰もいない (単行本文芸フィクション)感想
女優・遠野茉莉子はゲネプロの最中に命を落とした。舞台女優として高い評価を得て、名声を博していた茉莉子。舞台関係者が一堂に会し彼女について語り、茉莉子の「生」が露わになる。演じることへの執着と狂気、自らが選んだ結末に舞台の上の茉莉子はきっと満足しているのだろう。岩井さんの新たな境地、とても面白く読了。
読了日:10月03日 著者:岩井 圭也
龍ノ眼 (単行本文芸フィクション)龍ノ眼 (単行本文芸フィクション)感想
砥石で豊かな暮らしを得た石場村。隠密同心の長澤多聞は翡翠のように美しい上物砥石の闇取引の実態を探るために江戸から村に派遣された。村には奇妙な風習があり、「おりゅうさま」への絶対的な信仰が根付いていた。50年ほど前からの信仰と、隠された悍ましい事実。ひとりの女の死で村ぐるみの悪習が浮かび上がる。村を変えたいと思うものと、富を手放すことへの執着。結末は悲しみを乗り越えて明るいもので読後感も良い。麻宮さん、読みやすくて好き!
読了日:10月04日 著者:麻宮 好
リボーン (幻冬舎文庫 い 18-21)リボーン (幻冬舎文庫 い 18-21)感想
リカ・クロニクル、ついに完結。気に入らないものは躊躇せずに殺してしまう稀代のモンスター。怖いもの見たさにずっと読んできたが、リカとは人が持つ悪意を具現化したものだと思った。
読了日:10月06日 著者:五十嵐貴久
サブ・ウェイサブ・ウェイ感想
試験導入された地下鉄の私服警備員の穂村明美は、明美がこの職に就いたキッカケは地下鉄駅の構内で何者かに命を奪われた恋人。未だ見つからない犯人の手がかりを探すという目的、駅や車内で遭遇する様々な事件。先が気になり一気読み。とても面白かった。上司の三木、明美の同僚たちも良い味で、シリーズになったら良いかも?
読了日:10月06日 著者:佐野 広実
夜叉神川夜叉神川感想
夜叉神川の上流から下流、そして沖縄の離島の海へと繋がる5つのお話。YAの棚にあったが、小学校高学年くらいの世代からぜひ手に取って読んでもらいたい1冊。心の中にある暗いものや不穏なもの、それと対峙して子どもたちは成長して大人になってゆく。怖いものもあるけど、読み心地は悪くない。大人が読むと忘れていた時代を思い出せるかも。
読了日:10月07日 著者:安東 みきえ,田中 千智
よむよむかたるよむよむかたる感想
小樽の「喫茶シトロン」で月に一度の読書会が開かれる。【坂の途中で本を読む会】最年長92歳・最年少78歳の超高齢読書サークルに、28歳の新人店長のやっくんが加わる。語り合うことで知る読書の楽しさ、メンバーへの愛おしさが溢れ、とても温かい気持ちで読み終えた。
読了日:10月09日 著者:朝倉 かすみ
森にあかりが灯るとき森にあかりが灯るとき感想
特別養護老人ホーム【森あかり】、新人介護士の星矢はお笑い芸人を諦めてこの道に。星矢の初めての夜勤の日に起きた酸素チューブ切断事件。施設長に疑われる星矢は自信を無くしやりがいも感じられなくなる。規則にがんじがらめの施設長の福見、職員からの信頼がない医師の葉山、様々な事情を抱える入所者たち。介護のリアルとそこで働く人たちの思いを描いた良作。お薦め!
読了日:10月10日 著者:藤岡 陽子
鳥と港鳥と港感想
入社した会社に馴染めず9ヶ月で退職した春指みなとと不登校の高校2年生・森本飛鳥。草むらで見つけた郵便箱から文通が始まり、2人を繋いだ文通を仕事に。【鳥と港】、手紙というスローなコミュニケーションが持つ温かさ。ややみなとの性格的なものにイライラしたり、ふたりとも恵まれた環境に置かれていることへの違和感を感じたりもしたが、概ね読後感は良好。誰かに手紙が書きたくなる1冊。
読了日:10月12日 著者:佐原 ひかり
共犯の畔共犯の畔感想
うーん、長くて疲れた…。群馬県の山間の町のダム建設にまつわる話。代議士秘書を人質にした立て籠もり事件かにどうつながるのか?政治と金、マスメディアのあり方、翻弄される人々。力作だと思うが、今は政治絡みの話は読みたくない気分で疲れだけが残ってしまった。読み手の私が悪いのだ。
読了日:10月15日 著者:真保 裕一
日向を掬う日向を掬う感想
四十路の売れない役者・大守良行のもとに突然現れた14歳の娘・都築日向実。かって恋人だった街子の依頼で精子提供をしていた。街子が亡くなり遺言にしたがって良行の家に。義理人情に厚い母の光枝や日向実を気遣い見守るいとこの惟吹。良行が軽すぎてイライラしたけれど、なぜ自分は生まれたのかと悩む日向実と惟吹の未来が明るいものであるようにと思いながらの読書。
読了日:10月15日 著者:朝倉 宏景
ぎんなみ商店街の事件簿 Sister編: Sister編ぎんなみ商店街の事件簿 Sister編: Sister編感想
こちらを先に読んでみた。ぎんなみ商店街の焼き鳥店の三姉妹、佐々美(ささみ)・都久音(つくね)・桃(もも)が商店街の事件の謎を解く。感想はBrother編を読んでそちらでまとめて。
読了日:10月16日 著者:井上 真偽
ぎんなみ商店街の事件簿 Brother編: Brother編ぎんなみ商店街の事件簿 Brother編: Brother編感想
Sister編に引き続いてBrother編へ。こちらは若くして亡くなった母と単身赴任中の父がいる4人の兄弟。同じ事件なのに視点が違うとまた面白く、とても楽しめた。イケメン料理人の長男・元太、高校生の次男・福太、頭脳明晰な中学生の三男・学太、末っ子の小学生・良太。宝石店の神山さんはこの商店街のことを何でも知っていた。三姉妹と四人兄弟、もう少し接点が多くても良かったかも。井上真偽さん、初読み。
読了日:10月17日 著者:井上 真偽
抹殺抹殺感想
南スーダンにPKO部隊として派遣された自衛隊員たち。その中でも精鋭部隊の「特戦群」のメンバーたちは南スーダン政府軍のエリート隊員たちが起こした暴行や略奪の中から一人の日本人女性を含む三人を救出した。その後事実は隠蔽され、隊員たちは自衛隊を追われた。その七年後救出された女性医師・長谷川麻衣子が帰国したことで、事態は大きく動き始める。あの自衛隊日報問題からの息詰まるサスペンス。こんなことが本当に裏で起きていたらと思うとゾッとする。読みながら、これって月村了衛さん作じゃないよね?って何度も思った😅
読了日:10月19日 著者:柴田 哲孝
野心 ボーダーズ 3 (集英社文庫)野心 ボーダーズ 3 (集英社文庫)感想
警視庁SCU(特殊事件対策班)シリーズ第3弾。朝比奈由宇がメインの今作は、特殊詐欺犯の容疑者の捜査。尾行中に爆発に巻き込まれた由宇は肩を骨折、現場対応問題を監察に聴取される。警視庁初の女性部長を目指すことを公言し、葛藤しながら事件と向き合う由宇。SCUの仲間たちや同期の柿谷晶、大友鉄・岩倉剛も登場。次作は誰がメインになるかな?綿谷さんかな?楽しみ。
読了日:10月20日 著者:堂場 瞬一
紺碧の海紺碧の海感想
アホウドリの羽毛で財を成した明治の実業家・玉置半右衛門。同郷の半右衛門に誘われ9歳で八丈島を出て横浜で奉公するようになった菊池留吉。留吉の目を通して語られる半右衛門の生涯。留吉が感じていた島の暮らしの閉塞感、半右衛門の飽くなき欲望。鳥島での乱獲と撲殺でほぼ全滅したアホウドリの哀れさと、なぜ南大東島に八丈島の文化が根付いているのかなどとても興味深く読んだ。
読了日:10月22日 著者:梶よう子
あらたなる日々 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-12)あらたなる日々 お勝手のあん (ハルキ文庫 し 4-12)感想
シリーズ第10弾。紅屋の奉公人から料理人となり、長屋住まいになったおやす。大旦那さまのご隠居祝いの宴を任され、見事にやり遂げる。桜田門外の変で井伊大老が亡くなり、不穏な時勢の中、おやすは横浜で西洋料理を食す機会を得る。様々な出会いとおやすを見守る人々、次はどのような展開になるか?楽しみに待ちたい。
読了日:10月23日 著者:柴田 よしき
ダブルマザーダブルマザー感想
列車に飛び込み亡くなった一人の女性。二人の女性が母親と名乗るが、やがて亡き女性が整形し二重生活を送っていたことが判明する。本当に亡くなったのは、誰なのか?二人の母親は娘のことを何も知らない。何ともいけ好かない母親たち。登場する男たちもロクでもない。先が気になり一気に読んだけど、辻堂さんにしては少し底が浅く感じてしまった。
読了日:10月24日 著者:辻堂 ゆめ
同居鮨 間借り鮨まさよ Ⅱ同居鮨 間借り鮨まさよ Ⅱ感想
「間借り鮨まさよ」シリーズ第2弾。親族の葬儀のためベトナムに一時帰国した母が戻らず、途方に暮れる小5の娘・舞依を助けるまさよ。解散のためのラストツアーをするロックバンドに帯同し、悩めるロックスターを救うまさよ。タイトル作は甲府で劇場型の高級寿司店を開業したものの、さっぱり客が入らない若夫婦を救うまさよ。どの話もまさよの握るお寿司が美味しそうでお腹が減る!問題を解決すると同時に颯爽と旅に出るまさよ姉さん、素敵すぎる!今作はまさよが間借り鮨を始めるキッカケが明かされる。
読了日:10月25日 著者:原 宏一
さいわい住むと人のいう (一般書)さいわい住むと人のいう (一般書)感想
豪邸に住む高齢の姉妹・桐子と百合子。ある日二人とも亡くなっていた。なぜ二人でこの豪邸に住まうことになったのか?2024年から20年ごとに遡り、姉妹の人生を語ってゆく。市役所に勤める青葉青年との関わり、二人が辿った道。じんわりと心に染みる素敵な1冊、お薦めです!
読了日:10月26日 著者:菰野 江名
背負い富士背負い富士感想
名前だけは良く知っているのに、何をした人かは曖昧だった「清水の次郎長」。その生涯を、同じ日に生まれ、次郎長を支え続けた音吉が語る。幕末から明治を生きた侠客、情に厚く、受けた恩は忘れない。確かに伝説の人物だと思った。
読了日:10月30日 著者:山本 一力
商い同心 人情そろばん御用帖商い同心 人情そろばん御用帖感想
シリーズものだったらしいが、問題なく読了。江戸市中の物の値が適正かどうかを調べる「諸色調掛同心」の澤本神人が子分の庄太とともに次々と起こる事件を調べる。鏡の秘密を暴く「母子像」が面白かった。
読了日:10月31日 著者:梶 よう子

読書メーター

9月の読書記録

2024-10-01 15:50:13 | ブックレビュー
9月の読書メーター
読んだ本の数:23
読んだページ数:7534
ナイス数:2697

ルーマーズ 俗ルーマーズ 俗感想
人気俳優の上杉彩奈が自室で急性薬物中毒で死亡。そして同じ室内で既婚の実力派俳優の馬場直人が意識不明の状態で発見された。果たしてふたりは心中したのか?その後彩奈の妊娠が判明、父親は馬場なのか?世間を騒がせる人気俳優同士の心中事件?この事件を取り上げる既存メディアと ネットニュース、そしてSNS上に溢れる噂話。不幸な事件の連鎖と静まらない事件への話題。ネット上のやり取り、ニュースや新聞記事のみで構成された作品。一気に読んだけどなんだか疲れてしまった。
読了日:09月02日 著者:堂場 瞬一
失踪人 磯貝探偵事務所ケースC失踪人 磯貝探偵事務所ケースC感想
元刑事の磯貝の探偵事務所に、失踪人探しの依頼が。依頼人は人気俳優の西條真奈、実姉で道知事の特別秘書を務めていた最上沙理奈が突然仕事を辞め、行く方がわからなくなったと。優秀で仕事が出来る姉はなぜ家族にも知らせず失踪したのか?姉妹の母親が29年前に失踪していた事実、政治家と警察との間にある闇。姉の無事が確認出来たのでひと安心だが、ここで終わりは少し物足りない。続きもあるのかな?
読了日:09月03日 著者:小路 幸也
なんどでも生まれる (一般書)なんどでも生まれる (一般書)感想
仲間に虐められて住処から飛び出したチャボの「桜」。優しく保護してくれた茂さんは、不向きな営業の仕事に心身をすり減らし、祖父母が営む金物店の二階で引きこもる。大好きな茂さんに元気になって欲しい桜の語りで進む物語は、明日町こんぺいとう商店街が舞台。やさしくてホッとする素敵な1冊。
読了日:09月04日 著者:彩瀬 まる
遠い町できみは (一般書)遠い町できみは (一般書)感想
母を亡くし、心を病んだ父。鳴海翔は父・英一と離れ宮城の海沿いの町にある母の実家に預けられることに。寂しさをこらえ懸命に新しい暮らしに慣れようとする翔。同じクラスには家庭に問題を抱えた大也と美波がいた。身勝手な大人に振り回される3人の子どもたち。過酷な現実を乗り越えるキッカケはサーフィン。翔の父方の祖母に怒りを覚え、大也の母・リカに呆れ、美波の母と義父にもおぞましさを感じたが、3人がそれぞれの道を歩み成長してゆくラストは清々しくて良かった。高遠ちとせさん、初読み。第12回ポプラ社小説新人賞特別賞受賞作。
読了日:09月05日 著者:高遠 ちとせ
ステイ!: ぼくとシェパードの5カ月の戦いステイ!: ぼくとシェパードの5カ月の戦い感想
幼い頃に両親を亡くし、伯母夫婦に引き取られた善治。自分が来たために10歳歳上の従兄の大我は大学進学をせずに全寮制の犬の訓練士の学校に進んだのではないかと思う日々。大学生になったある日、訓練所を営むようになった大我から元警察犬のシェパード・アレックスを預かることに。とある理由から犬が大の苦手な善治、伯母夫婦には従順なアレックスは善治の言うことを聞いてくれない。犬と大人になりきれない善治がどうやって心を通わせてゆくか?楽しく読めた1冊。青谷真未さん、初読み。
読了日:09月06日 著者:青谷 真未
死んだ石井の大群死んだ石井の大群感想
閉鎖された空間に集められた333人の石井姓の老若男女。理不尽なゲームがはじまり、次々に死んでゆく人々…。14歳の石井唯が語り手になって進むゲームの章。探偵の伏見と蜂須賀の元に舞台俳優の石井有一の捜索依頼が来た。ゲームの進行と石井有一の捜索、どういう結末になるのか。ラスト、そう来るか!この作者、2作目だけど、中々面白い。次が出たらまた飲むと思う。
読了日:09月07日 著者:金子 玲介
わたしの知る花 (単行本)わたしの知る花 (単行本)感想
ある日町に現れた絵を描く老人。老人に興味を持った女子高生の安珠は、彼のことを調べることに。葛城平という老人を、ある人は犯罪者と言い、関わるなと言う。理容店を営む悦子と平の物語は、切なくてそして温かい。町田そのこさんの新たな名作!今年のベスト本候補。
読了日:09月08日 著者:町田 そのこ
南アルプス山岳救助隊K-9 愛と名誉のためでなく (光文社文庫 ひ 17-1)南アルプス山岳救助隊K-9 愛と名誉のためでなく (光文社文庫 ひ 17-1)感想
K−9シリーズ第14弾。時系列的には「紅い垂壁」の前日譚になると。シリーズ開始から12年、しかし作者のあとがきによれば「クレヨンしんちゃん方式」で彼らの時間を止めて物語を書いているとのこと。メンバーも犬たちもいつまでも活躍してくれそうで安心。今作は8つの短編。犯罪者と対峙したり、米軍の訓練飛行で雪崩が起きて巻き込まれた人を決死の思いで救出したり。ハラハラドキドキもあり、犬たちの活躍も!ずっと読み続けたいシリーズ。
読了日:09月09日 著者:樋口明雄
リセット (幻冬舎文庫 い 18-19)リセット (幻冬舎文庫 い 18-19)感想
今作はリカ(結花)を引き取った舛元家のお話。従兄弟の晃は一目で結花に惹かれ恋に落ちてしまう。学校で次々に起こる不穏な死亡事件の陰には結花。しかし、晃の母親・奈緒美と義兄の孝司の企みはもっと悍ましい…。晃が萌香の忠告を受け入れていたら。。怖さは今までの作品より少し控えめ。
読了日:09月10日 著者:五十嵐 貴久
人質の法廷人質の法廷感想
駆け出しの弁護士・川村志鶴が引き受けたのは、荒川河川敷女子中学生連続殺人死体遺棄事件の容疑者・増山淳彦の弁護。2件目の殺害現場に落ちていたタバコの吸殻から増山のDNAが発見され、警察と検察の強権的な取り調べで「自白」を強いられた増山。ハラハラドキドキの法廷劇はとても読み応えがあり面白かった!分厚さと二段組にビビったけど、一気に読破出来た。冤罪がどう作られるのかが理解出来た気がする。
読了日:09月13日 著者:里見 蘭
銀河の図書室銀河の図書室感想
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」。宮沢賢治を研究する弱小同好会。部を立ち上げた風見先輩が「ほんとうの幸い」って何だろう?と言う言葉を残し、突然学校から消えた。先輩はなぜ消えたのか?チカ・キョンへ・マスヤス、3人の部員たちと見守る司書の伊吹さん、顧問の郡司先生そして校長。それぞれが抱える悩みや問題、「ほんとう」と直面して成長する高校生たち。清々しい名作、とても良かった。オススメ!
読了日:09月14日 著者:名取 佐和子
いつか月夜いつか月夜感想
父を亡くしてから得体のしれない不安(モヤヤン)に取り憑かれた会社員の實成冬至は、何も考えずひたすら夜道を歩いた。ある夜会社の同僚塩田さんと娘ではない中学生の女の子・クマと出会い共に歩くように。やがて元カノ伊吹や伊吹のマンションの管理人・松江さんも加わり、それぞれ問題を抱えながら、譲れないもののために歩き続ける。一人で暮らす実家の母親、妹が生まれることへの不安と喜びで複雑な思いの姪っ子。實成の優しさと強さ、ラストの明るさ、とても素敵な1冊。寺地はるな、やはり良い!
読了日:09月15日 著者:寺地 はるな
婚活食堂11 (PHP文芸文庫)婚活食堂11 (PHP文芸文庫)感想
めぐみ食堂の仕入れ先の娘が玉の輿婚の末、子連れで実家に戻る。同じ仕入れ先の若旦那は彼女に想いを寄せ、恵に恋の仲立ちを頼む。恵の計らいは「将を得んと欲せば」でキャンプへ。常連の女性は同時に2人の男性から想いを寄せられるが…。不穏な犯罪の影もちらつくが無事に解決。相変わらず料理は美味そうで参考にしたいものがたくさん!
読了日:09月16日 著者:山口 恵以子
二人の誘拐者二人の誘拐者感想
静岡県の廃村で発見された白骨遺体は、10年前に誘拐されたまま行方不明になっていた少女だった。再捜査にあたる刑事たちの手により、当時は判明し得なかった事実が明らかになる。隠されていた真実が切なかったが、命を扱い高い倫理感のある人物が陥った罠とそれを悔やみながら生きることの辛さが伝わってきた。久しぶりに読んだ翔田寛さん、読み応えがあり面白かった。
読了日:09月17日 著者:翔田 寛
Across the UniverseAcross the Universe感想
渋谷ハチ公前で起こったテロ事件からの3部作最終巻。うーん…何だかモヤモヤする幕切れ。AIアイコと全作で謎の失踪をしたあの人が繋がっていたとは!勢い込んで3部作をほぼ一気に読んだけど不満が残ってしまった。
読了日:09月18日 著者:秦 建日子
マザーマザー感想
今の時代の母親像は?5つの物語は、帯の中島京子さんの「母という禍、家庭という地獄」という一文に語り尽くされている。三世代家族の太陽のような母が家族にしたこと「セメタリー」、うつで医師をやめた兄の再婚相手「ワンピース」、ひとりで暮らす母の家に子供連れで転がり込む娘「ビースト」、胎内記憶がある娘「エスケープ」、子どもの独立を機に長年の夢を実現した母「アフェア」。どれもゾワッと怖く気持ちの良い物語ではないが読むのを止められない。さすがの乃南アサ!
読了日:09月19日 著者:乃南 アサ
魔者魔者感想
週刊誌記者の今井柊二には封印し、誰にも知られたくない過去があった。ある日、自分の過去が描かれている小説に出会い、この覆面作家を調べることに。柊二が行動を起こすと会社に過去を暴く電話がかかる。加害者家族の苦しみ、週刊誌報道のあり方、とても重い内容だけど、ラストはとても良かった。誰の心にも「魔物」はいる…。
読了日:09月22日 著者:小林 由香
ちゃっけがいる移動図書館 (単行本)ちゃっけがいる移動図書館 (単行本)感想
青森の町立図書館で非正規職員として働く小田桐実(みのり)。将来への不安から節約に努め笑顔のない日々を送っていたが、ある日山道で雑種の仔犬「ちゃっけ」を保護し、成り行きで里親が見つかるまで預かることに。実に自分の価値観を押し付ける母親や図々しい友人の友美にウンザリさせられたりしたが、無垢で可愛いちゃっけと暮らす日々が実を成長させてゆく。犬がいる移動図書館、良いなぁ!
読了日:09月23日 著者:髙森 美由紀
罪の年輪 ラストライン6 (文春文庫 と 24-24)罪の年輪 ラストライン6 (文春文庫 と 24-24)感想
玉川上水河川敷で発見された遺体は、元小学校教員の小村春吉87歳。入居していた施設を夜中に出て殺害された。その後自首してきた三嶋輝政も87歳、ガンさんにとって過去最高齢の容疑者だが、なぜか殺害の動機を語らない。被害者とは60年前からの知り合いだったというが、三嶋が殺人を犯した真の理由が解き明かされる…。途中から小村の悍ましい正体に気づいてなんともやり切れない思いで読了。ガンさん、定年延長でラスト10年。古巣の捜査一課に戻って新しい活躍に期待。
読了日:09月24日 著者:堂場 瞬一
可燃物可燃物感想
米澤さん初の警察もの。5編全部読み応えがあり、上手さを感じた。「命の恩」が切なかった。葛刑事の洞察力!凄い。
読了日:09月26日 著者:米澤 穂信
常夏荘物語 (一般書)常夏荘物語 (一般書)感想
深い感動と爽やかな余韻を堪能しながら読了。あのヨウヨとリュウカがついに…!峰尾の地で「おあんさん」として根を張る耀子に降りかかる試練、離れて暮らす娘の瀬里、異国で新しいパートナーと暮らす龍治。すべてを見守る義母・照子の大きな愛。自立と自律を教えてくれた青井先生。なでしこ屋に意地悪した輩に天罰をと思った私。その辺!ほんの少しもやもやが残ったけど、大好きな人たちが幸せになりそうなラストはやはり満足。
読了日:09月27日 著者:伊吹 有喜
臨床のスピカ臨床のスピカ感想
動物介在療法に携わるDI犬のスピカと看護師でハンドラーの凪川遥。様々な患者と家族に向き合う中で、遥自身の母との関係を見つめ、新たな一歩を踏み出すことに。スピカのように病院で活躍する犬が増え、そのことを理解する人が多くなれば良いと思った。病院の中の様子や病状の詳細さは、さすが現役看護師の前川さん。
読了日:09月28日 著者:前川 ほまれ
偽りの貌 警視庁監察ファイル偽りの貌 警視庁監察ファイル感想
今作は歌舞伎町トー横キッズ、薬物が絡み、読みながら心が痛くなるシーンが多々。タレコミを元に事前観察を命じられたジンイチの面々、若手の毛利を軸に進むストーリー。どこで内定中の警察官とトー横で暗躍する輩が繋がるのか?そうか!アイツがアイツだったのか!シリーズ中、一番面白かった。毛利が抱えていたものが明かされ、彼の成長と今後の活躍が楽しみに。ぜひとも続けて欲しいシリーズ。
読了日:09月30日 著者:伊兼 源太郎

読書メーター

8月の読書記録

2024-09-01 18:26:17 | ブックレビュー
8月の読書メーター
読んだ本の数:24
読んだページ数:7682
ナイス数:2556

アンソロジー 舞台! (創元文芸文庫)アンソロジー 舞台! (創元文芸文庫)感想
5人の女性作家によるアンソロジー。舞台、2.5次元・バレエ・ミュージカル・ストレートプレイ、アマチュア演劇。舞台に立つ人、観劇する人、裏方で支える人。中々面白いテーマだった。乾ルカさんの「モコさんというひと」が良かった。笹原千波さんと雛倉さりえさんは初読み。
読了日:08月02日 著者:近藤 史恵,笹原 千波,白尾 悠,雛倉 さりえ,乾 ルカ
ひとつの祖国ひとつの祖国感想
第二次世界大戦敗戦後の日本は大日本国(西日本)と日本人民共和国(東日本)に分断され、東日本はソ連に支配されることに。ベルリンの壁崩壊で日本も一つの国に統一されたが、格差は埋まらない。東日本独立を目論むテロ組織に意図せず関わることになった一条と、その行方を追う幼馴染の自衛隊特務連隊の辺見。テロ組織MASAKADOに取り込まれた一条は人が良すぎて、最初からハラハラ。辺見との絡みがもっとあればと思った。最後はややモヤっと…。とにかく長かった。
読了日:08月04日 著者:貫井 徳郎
バタン島漂流記バタン島漂流記感想
江戸を立ち尾張に向かっていた颯天丸は、嵐に遭遇し日本の遥か西、バタン島へと流される。現地の住民に奴隷のような扱いを受け過酷な日々に心も折れそうになる。船大工を挫折し水夫となった和九郎を中心に、自らの手で船を作り故郷への航海に。乗員たちの中心だった船頭と楫取を失い、幼馴染の門平も亡くした和九郎の悲しみに胸が詰まる思いが。ようやくたどり着いた故郷。鎖国という幕府の施策は命がけで帰り着いた人には冷たく辛いものだと感じた。とても読み応えある漂流記だった。
読了日:08月06日 著者:西條奈加
犬は知っている犬は知っている感想
ピーボの可愛さにKOされた!患者の恐怖や苦痛を和らげるファシリティドッグのピーボには、裏の任務が。警察病院の特別病棟に入院する余命僅かな囚人患者から彼らが隠していた秘密を聞き出し、真相を探るというもの。ハンドラーの笠門とのバディは最強。続編が出たら読みたい。
読了日:08月07日 著者:大倉 崇裕
ソロキャン!(3) (朝日文庫)ソロキャン!(3) (朝日文庫)感想
シリーズ第3弾。ソロキャンを楽しむ千晶は持ち前のお節介を発揮して不登校の未来にアドバイスをしたり、後輩・花恵の悩みに寄り添ったり。焚き火をきっかけに家庭に問題を抱える少年と知り合う。そして高圧的な管理人のいるキャンプ場では彼女の持つトラウマと向き合う。ソロキャンを楽しみながら人間的にも成長する千晶のこれからが楽しみになる。キャンプ飯が美味そう!
読了日:08月08日 著者:秋川 滝美
夜と跳ぶ夜と跳ぶ感想
自らの不祥事で失業したスポーツカメラマンの与野丈太郎は、ある夜渋谷で金髪のスケボー少年に出会う。彼は2020東京のスケボーストリートの金メダリスト・大和エイジ、パリ五輪に出ようともせず渋谷の街で自由気ままに滑るエイジに反感を覚えながら、その魅力に惹かれ彼の専属カメラマン「フィルマー」として最高のトリックを追い求める。エイジの育った背景やストリートで滑ることへのこだわり、丈太郎自身の抱えている問題を絡め、様々なトラブルに巻き込まれていく。スケボーの歴史や文化、面白かった!額賀さんのスポーツものは良い。
読了日:08月09日 著者:額賀 澪
おむすび縁結び 食堂のおばちゃん(15) (ハルキ文庫 や 11-17)おむすび縁結び 食堂のおばちゃん(15) (ハルキ文庫 や 11-17)感想
ご近所のラーメン店の主・千歳とはじめ食堂に野菜を納めている松原団の結婚式からスタート。友人の病から遺伝子に関わる病を気に病む二三。霊能者が出て来た時はちょっと不穏な気配を感じたが、そこは山口先生、明るい結末に安堵。若い人たちが新たな一歩を踏み出す背中をそっと押すはじめ食堂のメンバー。食べ物は相変わらず美味しそう。
読了日:08月10日 著者:山口 恵以子
闇医者おゑん秘録帖-残陽の廓 (単行本)闇医者おゑん秘録帖-残陽の廓 (単行本)感想
前作から間をあけてしまったので、乗れるかと心配だったが、読み始めたら一気におゑんさんの魅力の虜に。吉原で相次ぐ謎の遊女の死、おゑんの家で預かっていた由利の悲劇。吉原に巣食う様々な情念が引き起こした問題と遊女の運命の過酷さ。あさのさんの描くダークで艶っぽい作品。次作はあまり間が置かずに読みたい。
読了日:08月11日 著者:あさの あつこ
クリームイエローの海と春キャベツのある家クリームイエローの海と春キャベツのある家感想
商社で働いていた津麦(つむぎ)は、ある日会社で倒れそれを機に退社して「家事代行業」の会社に転職する。家事代行歴3ヶ月のある日、5人の子どもを育てるシングルファーザーの織野家へと赴く。一歩家に入るとそこは洗濯物で溢れた「クリームイエローの海」が広がっていた。一人で家事育児仕事をこなそうとする父・織野朔也、また津麦も自らの常識にとらわれていて互いの心はすれ違うが、津麦の気づきと成長が状況を変えてゆく。とても素敵な物語、せやま南天さん初読み。
読了日:08月11日 著者:せやま 南天
赫き女王 Red Alveolata Queen赫き女王 Red Alveolata Queen感想
熱帯の無人島で起きた集団怪死事件。ある朝海洋生物総合研究所の研究員が立て続けに飛び降りて死亡した。生き残った研究員・高井七海は、所長が極秘に研究を進めていた事を突き止める。所長は何を目的におぞましい研究に手を染めたのか?熱帯のジャングルで次々に起こる恐ろしい生き物との遭遇。こいつは怪しいなと思った人物が気持ち悪すぎた。そしてラストシーンは鳥肌ものの恐ろしさ…。生命を勝手にイジってはいけない。恐ろしい本だった。
読了日:08月12日 著者:北里紗月
首木の民首木の民感想
運転する車の中から血の付いた他人の財布が見つかり、経済政策通として知られる大学の客員教授・久和が逮捕された。久和は公務員を信用していないからと取り調べは進まない。しかし、久和は取り調べにあたる佐久間に対し日本の財政についての講義を延々と語る…この辺で挫折しかけたが、志村署のメンバーたちは財布の持ち主の側から捜査を続けてゆくと、悪徳警察官や財務省の元高官などとのつながりが見えて、後半は一気に面白くなった。税金という首木に縛られた多くの民と、その上に君臨する一部の偉い人。。
読了日:08月14日 著者:誉田 哲也
南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁 (徳間文庫)南アルプス山岳救助隊K-9 紅い垂壁 (徳間文庫)感想
クライミングの滑落事故で宙吊りになり、自分の命を守るためにザイルを切ってバディを転落死させた川越。その事故現場を偶然に撮影し川越を脅迫する元同僚。この事件は夏実たちのいる北岳へと舞台を移す。母親に置き去りにされた少年、その母親と恋人の遭難に対処するK-9メンバーたち。今作では風変わりな新人・桐原も加わる。夏実たちの大ピンチを救うシーンは胸が熱くなる。ラストが不穏な感じで次作はどう展開するのか?相変わらず犬たちが可愛い!
読了日:08月15日 著者:樋口明雄
死んだ山田と教室死んだ山田と教室感想
猫を助けようとして車道に出て、そこに飲酒運転の車が突っ込み死んでしまった山田くん。穂木高2Eの人気者の突然の死に悲しむクラスメートたち…。ところが事故から3日後の新学期の教室に、突然山田の声が。スピーカーから聞こえる彼の声は、大好きな2Eの仲間たちともっと話をしていたいと。男子校ならではのおバカなネタに吹き出し、青春だなあと感じていたが、クラスメートたちは成長し、それぞれの道をゆく。山田を思いながら、いつまでも関わり続けることも出来ず。ラストは何だか切なくて泣けてきた。金子玲介さん初読み。
読了日:08月16日 著者:金子 玲介
骨と肉骨と肉感想
一族の抱える闇の連鎖…。千葉県警の刑事・八島武瑠は、臼原署管内で発見された連続女性惨殺事件の現場を見て約20年前の東京三鷹市の連続殺人事件との共通点に気づいた。時を同じくして従兄弟の願示から20年前の事件の真相を聞かされる。20年前の事件の真犯人は願示の亡くなった双子の弟で臼原の事件はその模倣だと。今回の事件も身内の犯行なのか?ネグレクト・カサンドラ症候群・アルコール依存症、重たくて暗い内容なのに読み始めたら止まらない。櫛木理宇ワールド、堪能した。
読了日:08月18日 著者:櫛木 理宇
私が愛した余命探偵 (小学館文庫 な 38-3)私が愛した余命探偵 (小学館文庫 な 38-3)感想
町の小さな洋菓子店で働く二葉には長期入院中の夫・一星がいる。腹部の肉腫で手術を繰り返し禁食で空腹の一星は、二葉が持ち帰るお店での出来事の謎を解く。タイトルから一星の病状が想像出来てしまい切なくなるが、美味しそうなケーキを想像し、二葉と一星の互いを想う気持ちに温かい涙が…。作者ご自身の体験がこの作品に昇華されたのだろう。素敵な1冊。
読了日:08月18日 著者:長月 天音
居酒屋ぼったくり おかわり! (3)居酒屋ぼったくり おかわり! (3)感想
要さんの美音に対する愛があふれる1冊。妹・馨と哲くんの結婚と新婚生活のあれこれ。猫をお迎えするカンジの話、そしてこのラストは…。仲良し夫婦二組、これはオメデタの予感しかない!「おかわり」もずっと続いてほしいな。
読了日:08月20日 著者:秋川滝美
モノモノ感想
東京モノレール、まだ乗ったことがない。これを読んで乗りたくてたまらなくなった。東京モノレールに勤める4人とその周辺の人々との物語、タク女の高原夏子さんや、小説家の小倉琴恵さんもちらっと登場。飛行機で旅に出る予定は今のところ無いけれど、空港の雰囲気を楽しむためにモノレールに乗ろう。
読了日:08月21日 著者:小野寺 史宜
天の台所天の台所感想
幼い頃に母と祖父を亡くし、家族を支えてくれていた祖母が急死した朝田家。料理が出来ない一家の食卓は出来合いの惣菜や弁当ばかりに。このままではいけないと感じていた小6の長男の天。ある日いい匂いに誘われ近所の「がみババ」の台所をのぞく。「がみババ」から料理を教わることになった天、台所に入れなくなった弟の陽、生意気でおしゃれな妹光と、涙もろく優しい父。料理を通して天も朝田家も成長してゆく。「おてんとう焼き」、作ってみたい!児童書だけど大人にもお薦め。落合由佳さん初読み。
読了日:08月22日 著者:落合 由佳
籠の中のふたり籠の中のふたり感想
父を亡くし恋人にも去られた弁護士の村瀬快彦は、傷害致死事件を起こし服役していた従兄弟・蓮見亮介の身元引受人となる。幼い頃に一度会っただけでほとんど他人の快彦と亮介は川越の村瀬家で同居を始める。人当たりも良く暴力とも無縁だった亮介はなぜ人を殺めたのか?家族に秘められた謎、罪を犯した人間との関わり、色々考えさせられた。クズのような人間でも殺人は罪…。二人は籠から出て生きていける。
読了日:08月22日 著者:薬丸 岳
鷹の飛翔鷹の飛翔感想
捜査一課の高峰と公安一筋で今は目黒中央署の海老沢。高峰は病を抱える不安、海老沢は公安の未来への心配を。そこに起こった殺人事件、犠牲者は元左翼の活動家。2012年になってから4人が殺害され、容疑者も特定されるが決め手はない。捜査一課と公安一課、それぞれの思惑はあるが警察の未来を見据え戦いに挑む。シリーズ全作を読んで来たがこのラストは納得。最近の堂場さん、定年間近の登場人物が多い。
読了日:08月25日 著者:堂場 瞬一
銀色のステイヤー銀色のステイヤー感想
日高の小さな牧場で生まれた芦毛の仔馬。頭が良く走力に恵まれたこの馬は、類まれなヤンチャぶりを発揮する。牧場主やクセの強い若手の牧場従業員、調教師と助手、乗り手である騎手、そして夫の急死で馬主になった女性。1頭の馬がそれぞれの人生を変え成長させてゆく。しかし、この物語の主役はやはりシルバーファーンだろう。面白かった!
読了日:08月27日 著者:河崎 秋子
ゆうびんの父ゆうびんの父感想
日本の郵便制度を作った人、前島密。新潟県出身ということは知っていたが、武家出身でもなく農家の生まれだったとは驚いた。生後すぐに父を亡くし、教育熱心な母のもとで育ち、旅に出て見聞を広げたが、中々世に出ることができなかった。幕末の動乱の中で前島密は様々な人と出会い、道を切り拓いた。欲を言えばもう少し郵便制度のことを読みたかった。郵便の話に到達するまでが長かった…。
読了日:08月30日 著者:門井 慶喜
谷から来た女谷から来た女感想
ダムに沈んだ村出身のアイヌ模様デザイナーの赤城ミワ。アイヌの誇りを背負い、まっすぐに生きる強い女。ミワと関わりのある大学教授やレストランのシェフ、専門学校時代の友人、ミワの両親の出会いの話、ミワのドキュメンタリーを撮るディレクター。時代を前後しながら綴られる一人の女の物語は深く心に残る1冊になった。
読了日:08月31日 著者:桜木 紫乃
スナック墓場スナック墓場感想
「襷がけの二人」で知った嶋津輝さん、こちらの短編集も絶妙な面白さ!一番面白かったのは「姉といもうと」、派遣の家政婦として働く姉と、指が欠損している妹の物語。「ラインのふたり」は日払いで倉庫内で働く女性。クリーニング店の夫婦と風変わりな客を描いた「カシさん」、「駐車場の猫」「米屋の母娘」「一等賞」「スナック墓場」。7つの物語、すべて味わい深く、どちらかというと苦手な短編集だが、これはとても良かった。
読了日:08月31日 著者:嶋津 輝

読書メーター

7月の読書記録

2024-08-01 14:47:42 | ブックレビュー
7月の読書メーター
読んだ本の数:30
読んだページ数:9883
ナイス数:3144

アルプス席の母アルプス席の母感想
甲子園を目指すために神奈川から大阪の新興校・希望学園に進んだ秋山航太郎。物語は母・菜々子の視点で進む。慣れない大阪での生活、野球部の父母会の理不尽なルール、監督とのぶつかり合い。それでも我が子のためにと頑張る菜々子。すごく面白くインパクトのある1冊。航太郎くんが良い子でこんな息子の母になりたいと思った。しかし、高校野球だけが特別なのだと思い知らされ、他のスポーツで頑張る高校生にももう少し光を当てて欲しいと毎年夏になると思う私。
読了日:07月01日 著者:早見 和真
東京ハイダウェイ東京ハイダウェイ感想
東京・虎ノ門の企業パラウェイに勤める矢作桐人、桐人の上司米川恵理子、恵理子の大学時代の友人の息子・大森圭太、同じく恵理子の友人でカフェの店長・植田久乃、転職してパラウェイにGMとしてやって来た瀬名光彦、桐人の同期の神林璃子。不安な気持ちを癒す隠れ家「ハイダウェイ」、プラネタリウム・美術館や水族館、登場する人たちが再生されてゆくのが心地よく、良い読書時間に。桐人と璃子が上手く行くと良いな。
読了日:07月02日 著者:古内 一絵
詐欺師と詐欺師 (単行本)詐欺師と詐欺師 (単行本)感想
あらら…何だかこの結末は。。海外で荒稼ぎをして久々に帰国した凄腕の詐欺師・藍と、復讐に命を賭けるみちる。とある政治家のパーティーで知り合った2人。藍がみちるに協力する形でストーリーが展開し、謎の切断された足首事件が絡んで。そして皆さんおっしゃるようにラストがスッキリしない。次の作品に期待しましょう。
読了日:07月03日 著者:川瀬 七緒
ドクター・デスの再臨ドクター・デスの再臨感想
前作で犬飼刑事に逮捕され収監されたドクター・デス。今作ではその模倣犯と思しきJKギルドと名乗るものがALSを患う女性、パーキンソン病に冒された国民的女優、小説家を安楽死させた。捜査に行き詰まった犬飼が取った奇策と最後のどんでん返し。途中で怪しいと思った人物がやはり…。安楽死については縷縷思うことはあるが、この作品に関してはイマイチ。警察がこんなだったらダメでしょ?
読了日:07月05日 著者:中山 七里
6days 遭難者たち6days 遭難者たち感想
日帰りで登山に出かけた3人の女子高生。1人は数ヶ月だけ登山部に所属、あと2人は登山経験なし。山頂でお昼を食べ、時間に余裕があるので気軽に温泉に立ち寄ろうとして道に迷う。軽装備、食料も少なく携帯の電波も届かなくなる。山を甘くみてはいけないということを突きつけられる。3人が無事で良かった。安田さん、2作目だがこれからも注目したい作家だ。
読了日:07月05日 著者:安田 夏菜
海を破る者海を破る者感想
承久の変と一族の内紛で没落した伊予の名門・河野家。現在の当主六郎通有は「海若」と呼ばれる。当時の日本を震撼させた元寇、二度目の弘安4年の蒙古軍との戦いを描いている。西域から奴隷として売られてきた令那や高麗の農民の繁との関わりも興味深く、読み応えがあった。六郎の人物像がとても魅力的。
読了日:07月07日 著者:今村 翔吾
暗殺暗殺感想
あの暗殺事件からちょうど2年の今日読了。選挙の応援演説中に元首相が凶弾に倒れた。聴衆や報道のカメラの前で起きた悲劇。その裏側にこの本で書かれているようなことがあったとしたら?未解決のまま35年を経た事件との関わり、事件を主導した勢力。恐ろしくても目が離せず一気に読み終えた。真実はどこにあるのか?柴田さんの渾身の一作、お薦め!
読了日:07月08日 著者:柴田 哲孝
じい散歩 妻の反乱じい散歩 妻の反乱感想
前作では89歳の新平じいさん、今作では92歳になり、病に倒れ介護が必要になった妻の英子さん。3人の息子(次男は自称長女)は相変わらず、長男は引きこもりのまま、三男は借金がかさみ親の金を当てにしている。次男が優しくて頼りになる存在で良かった。英子さんの看取りは切なかったけど、家族に見守られての最期は幸せだったかな?妻の反乱というほどのものではなかったけど、新平さんまだまだ死ねないかな?
読了日:07月09日 著者:藤野 千夜
深夜カフェ・ポラリス深夜カフェ・ポラリス感想
病院の近くに夜だけ営業する小さなカフェ「ポラリス」。食事を摂りそこねた人に美味しいものを提供し、朱里の会話で癒しを。子供の入院に付き添うシングルマザー、医大受験のため二浪している予備校生、夫に怒りを感じてプチ家出した主婦とその義母、朱里の友人の女医。とても良い話しなんだけど、この作品はあまり心に刺さらなかった。朱里の口調が好きじゃないのかも。
読了日:07月10日 著者:秋川滝美
梅雨物語梅雨物語感想
じとじとした湿度の高いこの時期にピッタリの1冊。「皐月闇」は命を絶った青年が遺した1冊の句集を巡り、そこに記された13句の解釈と隠された秘密の物語。「ぼくとう奇譚」は黒い蝶の夢と夢に取り込まれた男の運命、これは虫の記述が気持ち悪くてゾワゾワ。「くさびら」は突然庭に生えてきたキノコが伝えるメッセージ。好みは「くさびら」悲しいけどラストがとても良かった。
読了日:07月12日 著者:貴志 祐介
守護者の傷守護者の傷感想
神奈川県警「訟務課」、警察が訴えられた民事裁判の対応をする部署。春の異動で配属された水沼加穂留と弁護士から警察官になった新崎大也。強盗犯グループへの違法捜査を問う裁判で取り調べにあたった捜査一課を守るため公判に臨んだ加穂留と新崎。しかし法廷で警察官の嘘が暴露され、一審で警察側は敗訴してしまう。新崎がなぜ警察官になったのか?なぜ一課が違法な捜査に走ったのか?調べる中で神奈川県警に蔓延る悪しき集団に行き着く。今までにない警察小説、面白く読んだ。加穂留、やや突っ走り過ぎ。
読了日:07月13日 著者:堂場 瞬一
カモナマイハウス (単行本)カモナマイハウス (単行本)感想
空き家再生と家族の再生の物語。還暦間近の水原孝夫は不動産会社で空き家のメンテナンスに携わる。妻の美沙は両親の介護と看取りを終え、ロス状態に。一人息子のケンゾーは元戦隊ヒーローで今は小劇団で忍者ショーを主宰している。空き家を巡る様々な事情も垣間見え面白かった。ケンゾーの追っかけの「追っかけセブン」、最高(笑)
読了日:07月14日 著者:重松 清
おあとがよろしいようでおあとがよろしいようで感想
親元から離れたくて大学進学で群馬から上京した門田暖平。入学式で見かけた落研の部長にこたつを背負って歩いているところを助けてもらい、全く縁のなかった落語の世界へ。個性的な落研のメンバーと関わるうちにコミュ障気味の暖平も少しずつ変化してゆく。部長・碧が落語を始めるきっかけ、学祭。そして敬遠していた両親への思いも変わってゆく。清々しくとても読み心地の良い1冊。
読了日:07月15日 著者:喜多川 泰
サイレント・トーキョー: And so this is Xmas (河出文庫)サイレント・トーキョー: And so this is Xmas (河出文庫)感想
クリスマス直前の12月22日、恵比寿ガーデンプレイスで起きた爆破テロ事件。犯人の要求は首相との生放送テレビ対談、受け入れられなければ次は渋谷で無差別爆破テロを起こすと。そして起こってしまった惨劇。圧倒的な疾走感、なぜ犯人は爆弾を仕掛けるのか?犯人が分かり、動機を明かされるけど、なんか納得出来ない感満載。まあ、面白かったのですが。映画になったとのこと、確かに映像向きの作品。
読了日:07月16日 著者:秦建日子
娘が巣立つ朝娘が巣立つ朝感想
一人娘の真奈が婚約者の優吾を連れてやって来た。やや潔癖症だが好青年の彼、だが育った環境の二人が結婚に漕ぎ着けるまで様々な困難が立ちはだかる。二つの家族の価値観の相違、何と言っても優吾の両親、特に母親が強烈。そして高梨家の父、最初はこの人が一番まともかなと思いきや…。両家の両親たち、誰にも共感出来ず何だかスッキリしない読書になった。なでしこ物語のシリーズ最新刊を楽しみに待とう😅
読了日:07月17日 著者:伊吹 有喜
科捜研の砦科捜研の砦感想
「科捜研の最後の砦」と呼ばれる土門誠。卓越した鑑定技術と幅広い知識を持つこの男、信じられないほどの無愛想。「人間は嘘をつくが、科学は嘘をつかない」、若き日の土門が妻の宏香と出会い結婚。そして科捜研を辞めることになった事件。【最後の鑑定人】の前日譚。
読了日:07月18日 著者:岩井 圭也
湯けむり食事処 ヒソップ亭3 (講談社文庫 あ 139-7)湯けむり食事処 ヒソップ亭3 (講談社文庫 あ 139-7)感想
シリーズ第3弾。老舗料亭から引き継いだ仕出し弁当が好評で店の経営が順調なヒソップ亭、ところが本体である温泉旅館・猫柳苑の客足が伸び悩み苦境に。常連客の高橋が定年を機にスタッフとして加わることになり、安曇のスィーツが人気を呼び、猫柳苑でデザートプランを始めて客足が戻ってくる。責めの姿勢で経営は上向き、安曇も正社員に。さて、アフタヌーンティーは上手くいくのか?次巻のお楽しみ。
読了日:07月19日 著者:秋川 滝美
いっそこの手で殺せたら (双葉文庫 お 45-04)いっそこの手で殺せたら (双葉文庫 お 45-04)感想
元教師でライターの筒見は妻と中学生の娘と何不自由なく暮らしていたが、ある日勤め先から妻が帰らず、そこからとんでもない事件に巻き込まれてゆく。性暴力は魂の殺人、許されるものではない。しかし、必殺仕置人のような復讐がそんなに上手くいくだろうか?日本の警察はもっと優秀かと…。
読了日:07月19日 著者:小倉 日向
古本食堂 新装開店古本食堂 新装開店感想
急逝した兄・滋郎が遺した「鷹島古書店」を引き継ぎ帯広から上京した珊瑚。姪孫の美希喜はその右腕。古びた店の一部を改装し、本の話をしながらコーヒーを提供するスペースも作り、店の経営は安定してきた矢先に珊瑚が思わぬ行動に。恋人への想いと長年暮らした故郷への思い、珊瑚の気持ちは理解出来なくもないが、美希喜の孤軍奮闘が痛々しく感じた。手助けしてくれる周囲の人たちが温かい。
読了日:07月20日 著者:原田 ひ香
girlsgirls感想
中高一貫校の中3で同じクラスの宙(ひろ)・美森・紗奈は、見た目も性格も全く違う。たまたま全員が母親と2人で暮らしている。それぞれが持つ母親への思い、男性に対する考え方。はじめは心が通じなかった3人が言葉を知り、女性が社会で直面する様々な生きづらさに気づいてゆく。柔らかな心の15歳たちの感性と成長に感動した。3人の母親たちもそれぞれ素晴らしい。中学生以上大人の皆さんにもお薦め!
読了日:07月21日 著者:濱野 京子
おもみいたします 凍空と日だまりとおもみいたします 凍空と日だまりと感想
盲目の揉み師・お梅、シリーズ第2弾。今すぐ主の腕が動くように療治してほしいという武士、その張り詰めた気配を感じたお梅は主のもとへ。生きる気力を無くした若き武士、彼は女郎と心中を計ったとして切腹を命じられていた。どちらも怪我もなく無事なのになぜ切腹しなければならないのか?天竺鼠の先生や十丸、そして仙五朗親分の力も借りて命を救うためにお梅が取った策は?心と身体は繋がっている、私もお梅さんにほぐしてもらいたい。
読了日:07月21日 著者:あさのあつこ
俺たちの箱根駅伝 上俺たちの箱根駅伝 上感想
面白い!箱根に挑む「学生連合」。率いるのは引退後商社マンになり、競技から離れていた甲斐正人。記録は残せないし、順位も認定されないこのチーム。寄せ集めの選手たちをまとめる明誠学園の隼斗。そして駅伝を放送するテレビ局側の視点も面白い。感想は下巻で!
読了日:07月23日 著者:池井戸 潤
俺たちの箱根駅伝 下俺たちの箱根駅伝 下感想
何度も目頭が熱くなる。寄せ集めチームが起こした素晴らしい結果。学生連合を見下すライバルチームや批判するマスコミ。タスキをつなぐ10人の選手一人ひとりのドラマと辛島アナの実況と甲斐監督の声かけに泣かされた。池井戸さんの「箱根駅伝」、たっぷりと堪能した。現時点今年のナンバーワン!皆さんにお薦め。
読了日:07月24日 著者:池井戸 潤
女の国会女の国会感想
国会のマドンナ議員「お嬢」が突然の自死。敵対する野党の「憤慨おばさん」こと高月薫は、ある法案について共闘関係にあった。なぜお嬢は死んだのか?高月の政策秘書、新聞記者、お嬢の地元の県の市議会議員、4人の女性たちが死の真相を探る。政治の世界は男中心、権力を巡る権謀術数や政界に巣食う魑魅魍魎。負けじと挑む女たちの戦いに胸が熱くなる。新川さん、数冊しか読んでいないが、これが一番面白い!
読了日:07月25日 著者:新川 帆立
あなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますかあなたの大事な人に殺人の過去があったらどうしますか感想
家族を殺害された被害者側の気持ちは、犯人がたとえ罪を償い心から反省していたとしても許せないと思う。自分の感情や思考を言葉にするのが苦手な藤沢彩、1年先輩の田中心葉、心葉と同期の佐藤千暁。ずっと仲良く交流して行けると思っていたある日、会社の朝礼で心葉が突然「僕は人を殺したことがあります」と告白した。この作品のテーマはタイトルの通り、考えさせられた。しかし、千暁の母親の殺害と真犯人の動機あたりから少しゴタゴタした感が。
読了日:07月27日 著者:天祢 涼
永田町のシンデレラ永田町のシンデレラ感想
人気キャスターだった松嶋玲子が与党の長老からのスカウトで代議士に。少子化担当大臣として着々とキャリアを積むが、ある日現職の総理が病に倒れて辞任。突然の総裁選挙が実施され玲子が担ぎ出され、初の女性総理に。政界に巣食う魑魅魍魎、腹の探り合い。エンタメとして楽しく読了。夫のナイスアシストが印象的。
読了日:07月27日 著者:西川 三郎
八秒で跳べ八秒で跳べ感想
高校バレー部のアタッカー・宮下景と漫画家志望の真島綾。ある日綾が学校のフェンスを乗り越える場面に驚き転倒して怪我をした景。ずっとレギュラーだった景の代わりに試合に出ることになった北村への思い、バレーを続ける意味に悩む景。綾は創作に行き詰まりを感じている。そんな2人の青春真っ只中のストーリー。8秒の意味、納得!運動部経験者には部活あるあるが懐かしく感じられた。坪田侑也さん、初読み。
読了日:07月28日 著者:坪田 侑也
Change the WorldChange the World感想
爆弾シリーズ第2弾。あの渋谷の惨劇から2年、世田・天羽のコンビは公園で殺害された小学校教師の事件の捜査にあたる。事件を追ううちに巷に出回る爆破シミュレーションゲーム「アイコ」の存在を知り、被害者と関わりあいのある人物の自宅の爆発事件で巻き込まれて重傷を負うかつての相棒・泉の恋人。連鎖する事件、世界的人気漫画【ツリー・ブランチ】との関わり。今回の敵はAI、どういう結末を迎えるのかと思ったら…この終わり方はモヤモヤする。続編読まなくちゃ。
読了日:07月29日 著者:秦 建日子
死蝋の匣死蝋の匣感想
気持ち悪くて仕方ないのに読むのをやめられない。まさに櫛木理宇の真骨頂!茨城県で滅多刺しの男女の死体と【死蝋のかけら】が発見される。翌日コンビニで女子中学生たちが殺傷され、現場の指紋から浮かび上がった椎野千草。千草は13年前に起きた無理心中事件の生き残りだった。次々に死体が見つかるが千草の行方はつかめない。元家裁調査官・白石と和井田刑事が事件を追う。とにかくクソのような大人、子どもを欲望のネタにして金儲けに走る輩や、親になってはいけない大人の存在に憤りながらの読書。白石が一歩踏み出せそうで良かった。
読了日:07月31日 著者:櫛木 理宇
みんなのヒーロー (幻冬舎文庫 ふ 40-1)みんなのヒーロー (幻冬舎文庫 ふ 40-1)感想
特撮ヒーローで主役を演じ人気者だった堂城駿真。すっかり人気が落ち、ある日大麻を吸ったあとに車を運転し人をひき逃げしてしまう。警察に怯える駿真の目の前に現れたのは事故を撮影していた熱狂的ファンの鞠子。その動画をネタに結婚を迫られ渋々承諾する駿真。鞠子の見た目にウンザリしながらも脅迫に従わざるを得なかったが、2人はTVのバラエティ番組をきっかけに人気者になるが。。思わぬ方向に話が進み意外なラストに。駿真がクズ過ぎてイライラしながらの読了。
読了日:07月31日 著者:藤崎 翔

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