最近読んだ吉屋作品デス。
お嬢さん 吉屋信子
昭和廿一年発行。 (何年だと思う?!これで11年って読むんだって )
母や姉から「結婚」をせかされる規矩子。
働きたいとの思いで伯父の紹介により、九州の女学校の先生になった。
だが、働くうちに 自分の赴任のせいで、一人の老教師が辞めさせられた事や、
下宿の同居人(今で言うルームメイトだね)瀬田が 結核を患う恋人へ
自分の給料から仕送りをしている事、そしてその瀬田が妊娠してる事などを知り、
自分の安穏とした教師生活に疑問を持ち始める。
そんな折 以前からモーションをかけてくる男性・邦雄に
反発しながらも、次第に気持ちが動き始める規矩子。
邦雄の押しに負けを認めた規矩子は、女学校へ辞職の届けを送った。
題名通り「お嬢さん」ですね。
いや、「お嬢様」ですね。
某所で 「お帰りなさいませ。お嬢様」 なんて言われて
ウハウハ喜んでるオジョウサマとは訳が違います。
生まれながらのお金持ち
いいよなぁ~~。
やっぱりねーホンモノのお嬢様はちがうんだよね~。
お金に変に執着しない。
妊娠して退職する瀬田に対して、
「自分が仕事を続けて、下宿代の他は全部アナタに仕送りをする。」
ってんだよ!
フツーの人種じゃ出来ないよー。
それに、邦雄にしてもそうだ。
結婚を決めかねてる規矩子に向ってこう言うんだ。
「貴女は何故こう僕に向って言わないのです。
(貴方は偶然に金のある家に生まれて、労せずして財産を持って居るのよ、
だから、少し気の毒な私の女友達に支出して頂戴ー)
と・・・」
もう、自分から言っちゃってるもんなぁ。 金持ちだと。
一言で「お嬢様」と言っても、昔は今では想像もつかないくらいのお嬢様がいたんだろうね。
華族の出 とかさ。
吉屋作品は、そんな私の知らない(想像も出来ない?!)「お嬢様」の世界を
垣間見せてくれるから好きだわー。
装丁は、中原淳一 。
これまたステキです。