最古の歴史書とされるヘロドトスの「ヒストリア(歴史)」、さらにやや後代にトゥキュディデスによって記された「戦史」は、いずれも歴史を綴った本ですが、実は哲学の書でもあります。
そこで語られている哲学とは「ヒュブリスへの諌め」です。
「ヒュブリス」とは「傲慢」「驕り」を意味するギリシア語、もしくはそれを司る神の事なんですが、人類誕生以来、これに打ち勝った者は一人としていないという恐るべき存在です。
一度ヒュブリスに囚われたが最後、誰に罰せられる訳でもなく、確実に自滅するのです。
歴史はそれを克明に記録していますし、我々の身の周りでも常に起きている事です。
「自分は社長なんだから、社員をどう扱おうが自由だ」
「俺は東大を出た超エリートだから、一般ピープルなんかよりいい仕事が出来るんだ」
「あいつらは仲間(家族)だから、多少ぞんざいにしても大丈夫だ」
「私は健康だから、多少無理したって病気になんかならない」
「俺は誰よりも強いんだから、暴れたって誰にも止められやしないさ」
このちょっとした驕りにヒュブリスは「ニヤリ」と笑い、その者を容赦なくどん底へ突き落とします。
抗うとしたら、「自覚」して「自戒」する以外にありません。
「最強の敵はいつも自分自身」なのです。
さて、今年最後の練習会は湖西のFNP。
日曜の賑わいに対して、今回は3人と寂しめ。
しかし、皆さん遠方から来ていただいてますので、ありがたい限りです。
3人だと何が大変かって、とにかく回さなければならないところです。
年末の大渋滞で湖西まで帰ってくるのに1時間以上かかってしまったので、会場に来た時にはKKさんとHDさんが2人で既にやり込んでいました。
2戦目から管理人も参加。
こないだ講習会で「通臂」の解説をして頂いたので、それを試そうと思ってやや背中と腕周りを張ってみたんですが、KKさんからは「ガチガチだな」という評価を受けました。
そのせいか、攻撃に対応出来なくて飛んできた手が目にヒット。
今までにも目に指を突っ込まれた事はありましたが、目玉が切れて出血したのは初めてだったのでかなり動揺しました(笑。
太極拳の要訣に「不去不頂(ふきょふちょう)(「去」の字は当て字)」というのがあります。
「不去」とは「手を離すな」という事で、「不頂」は「力に力で対抗するな(あるいは、点の力に点で対抗するな)」という意味です。
相手の手にいつも自分の手がくっついていれば、例え跳弾的に手が飛んできても急所へのヒットは避けられます。
しかし、相手の手が離れていたら、どこへ飛んでくるかは相手にすら分からない場合があります。
推手を始めた頃、先生からそうした注意を常にされていたんですが、いつしか自己流になっていた様です。
「ヒュブリスの諌め」身をもって受けた感があります。
HDさんとは切り替え単推手と四正推手をお相手願いました。
HDさんは太極拳を習っている訳ではないんですが、推手を熱心に練習されて今ではちょっと攻めたぐらいでは全然崩れてくれません。
何か秘術を駆使しなければなりませんね(笑。
(そんなものはないんですが)
といった感じで、今年最後の練習会をひっそりと終えました。
ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
さて、来週25日はいよいよ年末イベントです。
次期が次期だけにイマイチ人が集まりそうにないんですが、最後のご案内を致します。
●推手サークル・年末ハートフルプッシング2016
日時:12月25日(日)13時から16時30分まで
場所:湖西市新居地域センター 2階・大会議室
入場無料、出入り自由で、どなたでもご参加頂けます。
推手を中心に、武術談義、レクチャー、交流をお楽しみ頂くイベントです。
別に推手しなくてもお話しだけしたい、というのでもOKです。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。