杉の子のひとりごと

私の交友録などを中心に,思いを綴っていきます。

ホワイトクリスマス

2009年12月25日 | 日記
その年は、喜びに満ち溢れたクリスマスだった。

前夜のイブから降り始めた雪が、
街一面に降り積もったホワイトクリスマス。

夕方になると、街の大通りから路地裏まで、
人通りの途絶えた静寂の街。

ふたりは、馴染みのスナックのドアを開けた、
中年の顔なじみのマスタ-が、
顔一杯の笑顔を見せて・・・
「いらっしゃい !?」と迎えてくれた。

店内の通路には、ママさん手作りの小さな
クリスマスツリ-が、
ボックス席をカウンタ-から隠している、
ふたりは、一番端のボックス席に腰を下ろした。

そこは、薄茶色の高目の衝立に囲まれた別天地、
その頃流行の、角瓶のハイボ-ルを2杯注文して、
つまみは、落花生とチョコレ-トの混ぜ合わせ。

お客は、他に若い男女の2組がカウンタ-席に、
真新しいジュ-クボックスは、
クリスマスソング一色で、ボリュ-ムいっぱいで最高潮。

ドアが開いて、中年男性と愛人風の御婦人が入ってきた。
その瞬間、ドアの隙間から粉雪が舞い込んできた。
「おお ! 寒い !?」 男は、肩をすぼめて入ってきた、
外は、真っ白、シンシンと雪が舞い下りていた。

彼は、ジュ-クボックスにコインを入れた、
ビング・クロスビ-の「ホワイトクリスマス」をリクエスト、
2曲の後の選曲である。

彼女は、その街では一番大きな公立病院の看護婦、
夜勤明けの休日だった。

ハイボ-ルとコ-クハイを数杯飲んで2時間後・・・
二人は勘定を済ませた。

人通りの絶えた、粉雪舞い散る風の音?
時折、タクシ-のクラックションが聞こえてきた !

商店街の一角にタクシ-会社の営業所がある、
ふたりは、そこまで肩を寄せて歩いた !?

話題が、何だったか ふたりの記憶は乏しい、
明日の日を夢見た会話だったようでもある。
・ ・・・・・・・・・
そんな二人の恋も! 長くは続かなかった !?
悲しい別れが其処に来ていた。
彼の新しい生活と、時間のすれ違いに・・・
絆を強めることが出来なかった。

失った恋を懐かしむように ?
彼は、時々「名曲喫茶〇〇〇」へ足を運んだ !?

2階の窓際のボックス席は、
街の通りを見下ろす夢追い席。

ニニ・ロッソの「夜空のトランペット」 
アメリカ映画 大砂塵 主題歌 ビクタ-・ヤングの
「ジャニ-ギタ-」
そしてビング・クロスビ-の「ホワイトクリスマス」

ジュ-クボックスから流れる曲に、
失ったものの大きさを思い知らされていた。
・ ・・・・・・・・・
月日は幾年月流れていった・・・

今年は、故郷 日帰りクリスマス !? 
雪ひとつ無いエメラルグリ-ンのクリスマス。

その街の大通りと路地裏を車は走った。
その街に、想い出の ふたつの店は、

もう無い・・・。

「メリ-クリスマス !」・・・。。。

                   合掌





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