酒ほど面白いものはない、
善人を悪人に変え
悪人を善人に変える
酒って奴は にくい奴
酒って奴は 可愛い奴よ
時折々で人の心を惑わせる
酒よ 酒よ 我が酒よ
几帳面良いか
のんびりいいか
ひとつお前が決めてくれ
聖人君子のはずなのに
女たらしに化けてくる
強面の兄ちゃんだって
無邪気にさせる
笑い上戸に
泣き上戸
其の上怒り金時真っ赤か
なけなしの 金をはたいて
暖簾をくぐり
手に . . . 本文を読む
あちらこちらで爆笑の渦 !
日頃、眉をひそめて論争し合う人間同士
が相好を崩して語り合う。
老いも若きも酒が入ると子供に戻る、
酔いが回る程に隠れた性格が分かる。
これを眺めるのが又楽しい !
十人十色、よくもまあ個性的である
ものよと微笑ましくなる。
自分と云うものをさらけ出して本音を
語るかと思うと、頑なに閉ざす者。
育った環境、経済状況、いろんな要因
の深層心理が表に表れる。
心理 . . . 本文を読む
遠慮気味にドアが開いた。
それほど遅くない時刻だったが、
店内を伺うようにサブが入って
きた、
ふたりのお客さんを連れていた。
残業を済ませて帰宅途中である、
此処へ来るまでに別の店で一杯
やってきたようで顔が赤かった。
「いらっしゃい !」
と言って私は迎え入れた。
サブ独特の愛嬌のある笑顔が
返ってきた。
其の当時我が店にいや其の頃は
カラオケと云うものがまだ
なかった頃で、
もっ . . . 本文を読む
面白い指摘を受けましてね。
人より早く来て準備をしなければ
いけません ?
出来ると思っていましたが、
何かおどおどして駄目ですね ?
そうですか ?
そんなことは簡単な事ですよ、
そう言うお方は細かな性格の人で
几帳面すぎるので周囲からは敬遠
されているお方。
他から、浮き上がっているのだが、
嫌われている事も本人はうすうす
感づいている様子。
どうしましょうかね ?
あたら . . . 本文を読む
サブの故郷は県境に近い山間部の町。
中学を卒業すると母に見送られて
港町の家具屋に丁稚奉公に入った。
厳しいながらも情のある親方夫婦と
兄弟子ふたりの小さな家具屋さん
だった。
工場の一角にある今にも崩れそうな
倉庫の上にサブの寝泊りする四畳半
一間があった。
兄弟子との同居生活は此処から
出発した。
朝が早くて眠い目をこすりながら
親方に叱られ、兄弟子に叩かれて
辛抱して仕事を覚えていっ . . . 本文を読む
昔、川中島の戦いで
敵に塩を送ったとかの
美談が言い伝えられて
いますが
その故事が
我等の社会生活に
於いても
生きている
私は情けを貰おうとは
思わないが
相手方には礼儀を
尽くしたい男
損か徳かと問われれば
一概には答えられないが
いつかは得で帰ってくる
あなたは何故に
相手方に合わせることが
出来るのですか
珍しいものを見るように
聞かれることがある
格別説明を要しないが
あえ . . . 本文を読む
楽しい打ち合わせ会が終わった、
攻守ところ変わって、
今度は、受けに回る番である。
私が常々言うように、
世の中は、人の運命は、歯車の
ごとく緩やかに回っている。
悲しい事ばかりでは有りません、
その後には、嬉しいことが巡って
まいります。
この繰り返しこそが人間社会の特徴、
私には、良い事はひとつも有りません、
悪いことばかりが続きます。
このように嘆く方がいます・・・?
ちょっと待って . . . 本文を読む
私の水商売を縁の下で支えてくれた女性達、
沢山の可憐な花々が苦労をともにしてくれた。
其の中では、不慮の事故で亡くなった女性、
結婚生活に敗れて傷心のまま故郷を後にした女性、
私の転居によって行方が分からなくなった女性、
それぞれ十人十色の人生を踏み越えて行った。
沢山の女性達が私の頭の中で笑顔を見せている、
其の中でMちゃんという地味でおとなしい女性を
私は忘れることが出来ない。
ある遊 . . . 本文を読む
Uさん! 相談に乗ってくれんかな ?
同僚先生から電話がかかって来た、
ある手続きの相談である。
仔細を電話で聞きFAXで資料到着を
待った。
本人が役所へ出向いて聞いたところでは
可能との感触を得たとのことだが、
一応周明け確認して報告することにした。
彼は別の手続き関係が専門で、この件は
不慣れなため私に依頼して来たのである。
このように私達は、単独で何もかも受け
持たない、それぞれ得 . . . 本文を読む
「サブちゃん、米びつに米がないよ?」
夏が終わりかけて秋に足を踏み入れる
残暑の季節・・・
給料日まで少し間が有った。
裏山の神社から蝉の鳴き声が、耳を
塞ぎたくなるほど聞こえて来た。
疲れた身体を近くの銭湯で癒そうと
タオルを取ったサブの肩越しに、
鈴の拗ねた声が聞こえてきた。
「そうかい、じゃちょっとパチンコへ
行ってくるわ !」
神社の崖の下にひなびた木造2階建の
ふたりの住むボロ . . . 本文を読む