男って奴は

今、私の手元に涙が溢れるほどの優しいメ－ルが届いている。
私とは親子ほど歳の違う若い同士の声である。

志同じく、我ら行政書士会の改革を誓う仲間の一人である。
私の拙いメ－ルに答えてくれた勿体無い言葉が綴られている。

先般、私は同じ行政書士会会員の事務所へお訪ねして、
美味しいコ－ヒ－を頂きながら一時間ほど談笑した。
この先生は、公務員を定年退職されて行政書士会へ入会されて
未だ何年目かのお方である。

長い間、武道に奮闘されて来たお方である、
一見強面の趣があるので一般会員には恐れられる面はあるが、
私は、早くからこの先生の真実の姿、男らしく正義感に溢れた
人間性を理解していた。

ある誤解を解くために出向いた次第であるが ？
かれの実直な気さくな人柄に魅せられて楽しい語らいとなった。
事務所は、想像以上に綺麗に整頓されて、私が感銘受ける書が
額縁に収められていた。

仕事を離れて、リラックスする時に逢いたい人間が居るものだが、
この同僚先生は、まさしくこの願いにぴったりの男である。
武道の腕も相当なものとお見受けしているので、一度型等
とくと拝見したいものと考えている。

私は、前にも触れたが、人様をじっと見詰めない人間である、
話の合間に視線を定めそして外す、其の繰り返しの中で相手の
動き、心の中を覗いている。

目ほど正直なものはない、そのよどみのない焦点、動き一つで
心の有様が見える、丹田に気は落ちているか、動揺はないか、
迷いは如何に ？ 面白いほど心の中が透けて見える。

先生との会話は、吉本漫才に似て楽しい、百年来の知己のように
打ち解けて話し込んだ、時間が来たようなので辞退することに
した。

偽りのない男同士の語らいほど意義のあるものはない。
又の出会いを楽しみに先生との時間を終えた。

この先生に、若い会員同士についてつい先日触れたのである。
男同士の心意気、判らずして何としょう ！
たとえ、しばしの出会いとしても充分心意気を読み取る事が
出来る。

男という奴は、いいね ！
喧嘩をしていても、一杯飲めばハイそれまでよ・・・！
江戸の敵は長崎では昔の話 ！

♪ 貴様と俺とは同期の桜、同じ兵学校の庭で咲く・・・
思わず鼻歌が出るような陽気になって ！
帰り道を急いだ。

今夜のメ－ルは、その時の話題の先生 ！
気難しい私の気持ちをくんでくれて、男の弧線が思わず
震えた、ありがたいね、勿体無いね ！

歳寄りは、若いものの障害になっては駄目である、
彼らのこれからが、間違いなきように後押ししてやらなくては
ならない。

今夜、別の同僚会員からもメ－ルが届いた・・・！
家族が大変な状態を迎えている ！
私が、親との別れに遭遇したあの時と同じ定めを迎えていた。

彼の心にのしかかる重圧は、泣きたい程の悲しみである。
私は、そっと彼と彼の家族を見詰めながら、その時が来たら、
一緒に泣いてやろうと思っている。

「男って奴は、同じ釜の飯よ ！ 」
「お前さんの悲しみは、わしのもんさ ネ ！？」
夜半の机に向かう男の胸は、張り裂けんばかりの慟哭に
必死に耐えているに違いない。

「見て於けよ ！ 我が身の辛さを見て於けよ ！」
親の残り火 目に焼き付けて「泣くなよ ！ 今は泣くなよ ！」
そう言う男が泣いていた ！ 彼を想い彼の親に想いを致して、
我が身の過去に泣いていた。

男って奴は ！ 辛いね。
石油スト－ブの青い火が、チリチリチリともらい泣き ・・・。。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 合掌