杉の子のひとりごと

私の交友録などを中心に,思いを綴っていきます。

勇気ある告発

2010年10月03日 | 日記
大阪地検特捜部の隠蔽疑惑は、特捜神話の崩壊の瀬戸際に
立たされた感がある。

特捜解体論まで出る始末であるが、私は別の見方をしている。
たしかに、改ざん問題が時の特捜部長はじめ組織ぐるみの関与
が有ったとしたら、その追求と反省は厳しいものでなければ
為らないが、大事なことは事実がハッキリしない段階で勝手な
憶測を振りまいて世論を誘導しないことである。

時流に乗った検察批判は慎まなければならないと思っている。

しかし、組織全体の隠蔽が事実となるならば、国民の模範となる
検察だけに、その反省とケジメは厳しいものになるのは当然である。

私が注目するのは、現場の同僚検事による勇気ある告発である。
みなさんも、よくお分かりと思うが、組織にある者は同僚社員や
特に上司に対する意見、告発がどれほど自分たちのリスクを賭けた
勇気あることなのかと云う事である。

自分たちの将来を賭けての告発は、其処に至るまでの葛藤を含めて
大変な決断であったろうと推察する。
猫も杓子も一緒くたにして、検察全体の虚構と思わないことである。
この勇気ある現場の一線検事に、私は打ちひしがれた中にも光明を
見出しているのである。

この方々の、身を捨てた(出世を諦めた)正義感に感銘さえも受けている。
国民が、社会の人々が、冷静に最高検の捜査を見守る必要がある。
この一連の検察不祥事を眺めながら、私は自己が所属する組織と比較
しながら眺めている。

上司が、トップが決断した事、行おうとすることに異論を挟むことは
大変な勇気が居る。
まず、役員に名を連ねる会員に、異議を唱えて提言する者を見たことが
ない、全て、ごもっともで議事進行が図られている。

抜擢された若い会員が、口を挟むことは至難の業である。
その暁には、降格と村八分の厳しい掟が待っている筈だからである。
発言しなければ為らない年配会員こそが、上に対して直言することが
求められるが、この勇気ある行動を取る者は皆無である。
仮にも、納得いかない方針があったなら、自分の身体を賭けてでも反対
する姿勢が欲しいと思うのだが、出来ませんね !?

我が組織の役員諸氏の体たらくを見るほどに、
今回の大阪地検特捜部の告発検事の勇気は賞賛に値する。
だから、私は特捜部解体論には賛成出来ないのである。
彼ら若手検事の正義感で検察再建を図ってもらいたいと思っている。

私は、今、ひとりの検察OBの姿を思い起こしている。
先般、行き付けの書店で手に入れた手記がある。
創出版「検察との闘い」 元大阪高検公安部長 三井 環 その人である。
1944年、愛媛県生まれ。中央大学法学部卒業。72年、検事に任官。

私が、興味を持って(失礼をお詫びして)三井元検事さんを眺めるには
このような想いがある。

私は、幕末維新に活躍した、薩長土の武士に惹かれ尊敬する者であるが、
我が松山藩の日和見体質に、失望と、他藩に対して申し訳なく後ろめたい
気持ちが同居して今日まで至っている。

明治に入って、軍人秋山兄弟の活躍で胸を撫で下ろして、自信を取り戻した
感があるが、それでも総じて・・・
現代に及ぶ愛媛の政界、経済界には長いものに巻かれろ の気風が消えない。
勝ち馬に乗りたくて、反対側を皆で懲らしめる、一種の虐めがまかり通る。
これが一般的な、愛媛風土であり、私が最も忌み嫌うところである ?

私は、我が愛媛県に愛着は有りながら、今ひとつ自信を持てないのが、
この県人気質であった。
ところが、三井元検事の手記を読ませていただいて !
目からうろこが落ちた感がしている。

三井元検事は、検察「裏金」を内部告発。2002年4月には現職のまま
実名で新聞、テレビ「ザ・スク-プ」などで告発をしようとしたが、4月
22日朝、テレビ収録の数時間前、大阪地検特捜部に「口封じ」逮捕された。
詳細は手記に譲るが、

大阪地裁で懲役1年8カ月の実刑判決。08年8月に最高裁も上告棄却で
実刑が確定。同年10月に収監。大阪拘置所、さらに静岡刑務所で受刑し、
10年1月18日に満期出所。

私は、歴史の皮肉を痛感している。

この三井元検事を逮捕した大阪地検特捜部の今回の改ざん疑惑、そして
隠蔽疑惑と続く一連の逮捕劇は、何を示唆しているのであろうか ?

私は、この勇気ある告発に至った両者に、共通した正義感が根底に有ると
思っている。
このことの意義は大きい。

同じ愛媛県人として、時の権力に立ち向かう磐石な意志と勇気に、
私は、心震える自信を取り戻している。
時期到来の暁には、信念に満ちた、弱者の側に立つ、力強い弁護士の誕生を
我々は、見るに違いない。

松山城、坂の上の雲に向かって、またひとり勇気ある人間が、立っているに
違いない。

愛媛県人に生まれたことを誇りに思いたい。 ・・・。。。

                              合掌



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